「脳溢血」と「脳梗塞」、どちらも恐ろしい脳の病気ですが、その原因やメカニズムにははっきりとした違いがあります。この二つの病気、 脳溢血 と 脳 梗塞 の 違い を正確に理解することは、日々の健康管理や、万が一の際に適切な対処をするために非常に重要です。
脳の血管に何が起こる?:脳溢血と脳梗塞の基本
脳の血管が切れたり破れたりして出血してしまうのが「脳出血」であり、私たちが一般的に「脳溢血」と呼ぶものです。脳の血管は非常にデリケートなので、高血圧などの影響で弱くなると、突然破れてしまうことがあります。この出血した血液が脳の組織を圧迫し、機能を損なってしまうのです。
一方、「脳梗塞」は、脳の血管が詰まることで起こります。血管が詰まると、その先に血液が流れなくなり、脳の細胞は酸素や栄養を受け取れなくなって死んでしまいます。この原因となる詰まりには、主に以下の3つがあります。
- 血栓(血液の塊)が血管に詰まる
- コレステロールなどが血管にこびりついて狭まり、血流が悪くなる
- 心臓などでできた血栓が血流に乗って脳まで運ばれ、血管を詰まらせる
このように、脳溢血は「血管が破れて出血する」のに対し、脳梗塞は「血管が詰まって血が流れなくなる」という、根本的に異なるメカニズムで発生します。 この違いを理解することが、病気の予防や治療の第一歩となります。
原因となる高血圧:脳溢血との強い関係
脳溢血の最も大きな原因は、高血圧です。血圧が高い状態が続くと、血管の壁に常に大きな負担がかかります。特に、脳の血管は細くてデリケートなので、高血圧に長年さらされると、血管がもろくなり、破裂しやすくなってしまいます。まさに、風船をパンパンに膨らませすぎると破裂してしまうようなイメージです。
高血圧は、自覚症状がないことが多いのが厄介な点です。そのため、自分が血圧が高いことに気づかず、知らず知らずのうちに脳溢血のリスクを高めている人が少なくありません。定期的な健康診断で血圧をチェックし、もし高血圧と診断されたら、医師の指導のもとで適切な治療や生活習慣の改善を行うことが不可欠です。
脳溢血のリスクを減らすためには、以下のような対策が有効です。
- 塩分を控えた食事を心がける
- 適度な運動を習慣にする
- 禁煙、節酒を心がける
- ストレスを上手に解消する
動脈硬化:脳梗塞の影の立役者
脳梗塞の原因として、動脈硬化は非常に重要な役割を果たします。動脈硬化とは、血管の壁が硬く、厚くなってしまう状態のことです。これは、血管の壁にコレステロールなどがたまることで起こります。血管が狭くなると、血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。
動脈硬化が進むと、血管の表面がデコボコになり、そこに血液の塊(血栓)が付着しやすくなります。この血栓が大きくなったり、剥がれて血流に乗って脳の細い血管に詰まると、脳梗塞を引き起こすのです。また、動脈硬化によって血管自体がもろくなると、脳出血の原因になることもあります。
動脈硬化の主な原因は、以下の通りです。
| 原因 | 説明 |
|---|---|
| 高血圧 | 血管に常に高い圧力がかかることで、壁が傷つきやすくなる |
| 脂質異常症(高コレステロール血症など) | 血液中の悪玉コレステロールが多いと、血管壁にたまりやすい |
| 糖尿病 | 血糖値が高い状態が続くと、血管が傷つきやすくなる |
| 喫煙 | 血管を収縮させ、動脈硬化を促進する |
症状の違い:見分けるためのサイン
脳溢血と脳梗塞は、どちらも突然起こり、命に関わる病気ですが、症状に違いが見られることがあります。しかし、どちらの病気も、初期症状は似ていることが多く、自己判断は非常に危険です。
一般的に、脳出血の場合は、出血した部位の脳細胞が直接圧迫されるため、急激な頭痛や吐き気、嘔吐、意識障害などを伴うことが多いと言われています。突然の激しい頭痛は、脳出血のサインかもしれません。
一方、脳梗塞の場合は、血管が詰まった場所の脳細胞がダメージを受けるため、体の片側の麻痺(顔がゆがむ、手足が動かしにくい)、ろれつが回らない、言葉が出にくい、片方の目が見えにくい、めまいなどの症状が現れることが多いです。これらの症状は、数分から数十分かけてゆっくり現れることもあります。
どのような症状であっても、これらのサインが現れたら、 一刻も早く救急車を呼ぶことが最も重要です。 「様子を見よう」などと油断していると、手遅れになる可能性があります。
治療法:原因によって異なるアプローチ
脳溢血と脳梗塞では、原因が異なるため、治療法も大きく異なります。脳出血の場合は、出血を抑え、脳の腫れを引かせるための治療が中心となります。薬物療法や、場合によっては手術で血腫を取り除くこともあります。
脳梗塞の場合は、詰まった血栓を溶かす薬(t-PA療法)や、カテーテルを使って血栓を取り除く治療(血栓回収療法)など、血流を再開させるための治療が時間との勝負で行われます。発症から治療開始までの時間が早いほど、後遺症を軽減できる可能性が高まります。
このように、 脳溢血 と 脳 梗塞 の 違い を理解することは、適切な治療法を選択するために不可欠なのです。
予防策:健康な血管を保つために
脳溢血と脳梗塞のどちらにも共通する予防策は、生活習慣の改善です。規則正しい生活を送り、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。具体的には、
- 塩分、脂肪分の摂りすぎに注意する
- 野菜や果物をたくさん食べる
- 適度な運動を習慣にする
- 禁煙、節酒を心がける
- 十分な睡眠をとる
- ストレスを溜め込まない
といったことが挙げられます。
また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの持病がある方は、しっかりと治療を継続することが、脳血管疾患の予防に繋がります。
まとめ:脳の健康を守るためにできること
「脳溢血」は血管が破れて出血する病気、「脳梗塞」は血管が詰まって血が流れなくなる病気。この 脳溢血 と 脳 梗塞 の 違い を理解した上で、日頃から健康的な生活習慣を心がけることが、脳の血管を守るための最善の方法です。もし、体に異変を感じたら、迷わずすぐに医療機関を受診しましょう。