「結石」と「胆石」、どちらも体の中に石ができる病気ですが、実はその成り立ちやできる場所が異なります。ここでは、 結石 と 胆石 の違い を分かりやすく解説し、それぞれの特徴や注意点についてお伝えしていきます。
結石と胆石、どこが違うの?
まず、一番大きな違いはその「できやすい場所」です。結石は、腎臓や尿管、膀胱といった「尿の通り道」にできる石のことを指します。一方、胆石は、肝臓で作られた「胆汁」をためておく「胆嚢(たんのう)」や「胆管」にできる石のことです。この「できる場所の違い」が、症状や原因、治療法にも大きく影響してきます。
結石ができる原因は様々ですが、水分不足による尿の濃縮や、食生活の乱れなどが挙げられます。例えば、
- カルシウムの摂りすぎ
- シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草、チョコレートなど)の過剰摂取
- 動物性タンパク質の摂りすぎ
胆石の場合は、胆汁の成分(コレステロールやビリルビン)のバランスが崩れることでできます。特に、
- 肥満
- 急激なダイエット
- 加齢
- 妊娠・出産
結石の種類と原因
結石には、いくつかの種類があります。それぞれ成分やできやすさが異なります。
| 結石の種類 | 主な成分 | できやすい場所 |
|---|---|---|
| 尿路結石 | カルシウム、シュウ酸、リン酸など | 腎臓、尿管、膀胱 |
| 腎臓結石 | 上記と同様 | 腎臓(腎盂) |
| 尿管結石 | 上記と同様 | 尿管 |
| 膀胱結石 | 上記と同様 | 膀胱 |
尿路結石は、その名の通り尿の通り道にできる結石の総称です。中でも、腎臓にできるものを腎臓結石、尿管にできるものを尿管結石、膀胱にできるものを膀胱結石と呼びます。それぞれの場所によって、現れる症状にも違いが出てくることがあります。
結石ができる原因は、先ほどもお伝えしたように、水分不足や食生活が大きく関係しています。例えば、
- 1日に2リットル以上の水分を摂る
- 塩分や動物性タンパク質の摂りすぎを控える
- シュウ酸の多い食品は、カルシウムと一緒に摂る
また、遺伝的な要因や、感染症、代謝の病気などが結石の原因となることもあります。そのため、一度結石ができた方は、原因を特定するために医師に相談することが大切です。 原因を理解することが、効果的な予防策を立てる上で非常に重要です。
胆石の主な原因とリスクファクター
胆石は、胆嚢や胆管にできる石ですが、その原因は胆汁の成分バランスの崩れにあります。主にコレステロール胆石と色素胆石の2種類があります。
コレステロール胆石は、胆汁中のコレステロールが結晶化してできるものです。
- 肥満
- 高コレステロール血症
- 急激な体重減少
- 女性ホルモンの影響(妊娠、経口避妊薬の使用など)
一方、色素胆石は、胆汁中のビリルビン(赤血球が壊れるときに出る色素)が固まってできるものです。
- 肝硬変
- 溶血性貧血
- 胆管炎
胆石は、初期には自覚症状がないことが多いですが、石が大きくなったり、胆管を塞いだりすると、激しい腹痛(疝痛発作)や吐き気、嘔吐などの症状が現れることがあります。 これらの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
胆石のリスクファクターを理解し、日頃から健康的な食生活を心がけることが、予防に繋がります。
- バランスの取れた食事
- 適度な運動
- 規則正しい生活
結石と胆石の症状の違い
結石と胆石では、できる場所が違うため、現れる症状も異なります。
尿路結石の場合、最も特徴的な症状は、 激しい腰背部痛 です。石が尿管を移動する際に、尿管が詰まってしまい、強い痛みを引き起こします。この痛みは「疝痛」と呼ばれ、波があるのが特徴です。その他にも、
- 血尿
- 吐き気・嘔吐
- 頻尿
- 残尿感
一方、胆石の場合、症状が出ないことも多いのですが、石が胆管を塞いだり、炎症を起こしたりすると、 右脇腹やみぞおちの痛み が現れます。この痛みも、結石による痛みと同様に「疝痛」と呼ばれることがありますが、場所が異なります。また、
- 吐き気・嘔吐
- 発熱
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
このように、痛む場所や随伴する症状が異なるため、自己判断せずに、医師に正確な状況を伝えることが大切です。 正確な診断は、適切な治療への第一歩となります。
結石と胆石の検査方法
結石と胆石の検査は、それぞれの病気の特徴に合わせて行われます。
結石の検査では、まず問診で症状などを詳しく伺います。その後、
- 尿検査
- 血液検査
- レントゲン検査
- 超音波(エコー)検査
- CT検査
胆石の検査でも、問診や血液検査は行われますが、
- 超音波(エコー)検査
- CT検査
- MRI検査
- MRCP(磁気共鳴胆管膵管造影)
これらの検査を組み合わせることで、結石と胆石を正確に診断し、適切な治療法を選択することができます。 早期発見・早期治療が、合併症を防ぐ上で非常に重要です。
結石と胆石の治療法
結石と胆石の治療法は、石の大きさ、数、場所、症状の程度によって異なります。
結石の治療では、
- 水分をたくさん摂って自然に排出を促す
- 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
- 内視鏡手術
- 開腹手術
胆石の治療では、
- 症状がなければ経過観察
- 薬物療法
- 体外衝撃波胆石破砕術(ESWL)
- 内視鏡手術(EST:内視鏡的胆道結石除去術など)
- 腹腔鏡下胆嚢摘出術
- 開腹手術
どちらの結石も、治療後は再発予防のために、生活習慣の改善が重要となります。 日頃からの健康管理が、長期的な安心に繋がります。
結石や胆石は、早期に発見し、適切な治療を受けることで、重症化を防ぐことができます。不安な症状がある場合は、迷わず医療機関に相談しましょう。