「てんかん」と「痙攣」、この二つの言葉、なんとなく似ているようで、実は意味が違うんです。 てんかん と 痙攣 の 違い を正確に理解することは、もしもの時に落ち着いて対応するためにとっても大切。今回は、この二つの違いを分かりやすく、そして詳しく解説していきますよ!
痙攣とは?~体がおかしくなるサイン~
まず、一番広い意味を持つ「痙攣」から見ていきましょう。痙攣というのは、体の筋肉が自分の意思とは関係なく、意図せずピクピクしたり、ガクガクと震えたり、固くこわばったりする状態全般を指します。これは、脳や神経、筋肉のどこかに何らかの異常が起きたときに現れる、体からの「SOS」サインのようなものなんです。
痙攣が起こる原因は、実はとってもたくさんあります。例えば、
- 熱が出すぎたとき(熱性痙攣)
- 体に栄養が足りなくなったとき(低血糖など)
- 脱水症状
- 脳に強い衝撃を受けたとき
- てんかんの発作
など、一時的なものから、もっと注意が必要なものまで、様々です。だから、「痙攣」というのは、ある特定の病気ではなく、起こりうる現象の名前なんですね。
痙攣の症状も、起こる場所や原因によって異なります。体の一部だけがピクピクするような軽いものから、全身が硬直したり、激しく動いたりするものまで、その現れ方は千差万別です。重要なのは、痙攣そのものが病気なのではなく、 痙攣は、その背景にある原因を知ることが大切 だということです。
てんかんとは?~脳の電気信号の乱れ~
次に、「てんかん」についてです。てんかんは、脳の神経細胞が、突然、そして一時的に、異常な電気信号を発生させてしまう病気です。この異常な電気信号が、脳の様々な部分に広がることで、特徴的な「発作」が起こります。この発作が、先ほど説明した「痙攣」を伴うことが多いんです。
つまり、てんかんは、 「脳の電気信号の異常」という根本的な原因 があって、その結果として「発作」が起こる、ということです。この発作は、必ずしも全身の痙攣を伴うわけではなく、ぼーっとしてしまうだけ、手足がピクピクするだけ、といった、見た目では分かりにくい発作もあります。
てんかんの発作には、色々な種類があります。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
- 全般発作 :脳全体に異常な電気信号が広がるタイプ。全身の痙攣(強直間代発作)や、突然意識がなくなって固まる発作(脱力発作)、ぼーっとしてしまう発作(欠神発作)などがあります。
- 部分発作 :脳の一部分だけに異常な電気信号が起こるタイプ。手足のピクつき、顔のけいれん、感覚の異常(ピリピリするなど)、感情の変化などが起こることがあります。
てんかんは、一生治らない病気ではなく、適切な治療によって発作をコントロールし、多くの場合、普通の生活を送ることができます。しかし、発作がいつ、どこで起こるか分からないという不安は、本人にとっても周りの人にとっても大きいものです。
てんかんと痙攣の関係性:何が違うの?
では、ここで一番知りたい、 てんかん と 痙攣 の 違い を整理しましょう。一番大切なのは、「てんかんは病名」であり、「痙攣はその病気によって起こる症状の一つ」だということです。
具体的に言うと、
| てんかん | 脳の電気信号の異常が原因で起こる「病気」 |
|---|---|
| 痙攣 | 筋肉が意図せず動く「症状」で、てんかん以外にも様々な原因で起こる |
てんかんの患者さんの多くは、発作の時に痙攣を伴いますが、てんかんではない人も痙攣を起こすことがあります。逆に、てんかんの発作でも、痙攣を伴わないタイプもあるのです。
この違いを理解することで、例えば子供が突然倒れて体が震えていても、「これはてんかんかな?それとも熱が出たのかな?」と、原因を特定する手がかりになります。 てんかん と 痙攣 の 違い を理解することは、病気の重さや緊急性を判断するためにも役立ちます。
てんかん発作の兆候と対処法
てんかんの発作が起こる前には、人によって様々な「前兆」があることがあります。これは「前駆症状」や「前兆」と呼ばれ、発作が始まる数時間から数日前、あるいは数秒前に現れることがあります。
- いつもと違う感覚(ニオイや味がおかしい、体のしびれなど)
- 気分の変化(急に不安になったり、嬉しくなったり)
- 体のピクつき
- 頭痛や吐き気
このような兆候があったら、発作が起こる可能性があるので、安全な場所に移動したり、周りの人に伝えたりすることが大切です。
もし、目の前で誰かが痙攣を伴う発作を起こしているのを目撃したら、まず 落ち着いて、安全を確保すること が最優先です。具体的には、
- 周りに危険なものがないか確認し、あれば取り除く。
- 衣服がきつい場合は、緩めてあげる。
- 舌を噛まないように、口の中に物を入れようとしない。
- 発作が終わるまで、そばで見守る。
- 救急車を呼ぶかどうか判断する(初めての経験、長時間続く、怪我をしているなど)。
過度な心配は不要ですが、どのように発作が起こったのか、どれくらい続いたのかを覚えておくと、医師の診断に役立ちます。
てんかんの診断と治療
てんかんの診断は、医師が患者さんの症状を詳しく聞くことから始まります。発作の様子、頻度、そしていつから始まったのかなど、一つ一つの情報が大切です。それに加えて、脳波検査やMRIなどの画像検査を行い、脳に異常がないか、どのようなタイプのてんかんなのかを調べます。
てんかんの治療の基本は、薬物療法です。てんかんに効く様々な種類の抗てんかん薬があり、患者さんの発作のタイプや原因に合わせて、最適な薬が選ばれます。薬をきちんと飲むことで、発作の回数を減らしたり、なくしたりすることが目標です。
薬物療法で発作が十分にコントロールできない場合には、手術療法や食事療法(ケトン食療法など)といった、他の治療法が検討されることもあります。 てんかん は、決して見捨てられる病気ではなく、現代の医療で効果的に治療できる病気 なのです。
発作以外のてんかんの側面
てんかんの患者さんは、発作だけが悩みの種ではありません。発作が起きてしまうことへの不安、周りの人の偏見、日常生活での制限など、様々な心理的・社会的な課題に直面することもあります。
例えば、運転免許の取得や、一部の職業への就職が制限される場合があります。また、学校や職場での理解が得られず、孤立感を感じてしまう人もいます。だからこそ、 てんかん について正しく理解し、偏見なく接することが社会全体で大切 なのです。
てんかんと診断されたら、医師や看護師、そして患者さん同士のサポートグループなどを活用し、一人で抱え込まずに、上手に病気と付き合っていく方法を見つけることが重要です。
まとめ:てんかん と 痙攣 の 違い、もう大丈夫!
ここまで、 てんかん と 痙攣 の 違い について詳しく見てきました。てんかんは脳の電気信号の異常という病気、痙攣はその病気によって起こりうる症状の一つ。この二つの関係性を理解することで、もしもの時に冷静に対処し、周りの人の助けになることができます。てんかんは、正しく理解し、適切に治療すれば、多くの人が普通の生活を送れる病気です。この知識が、皆さんの安心につながれば幸いです。