「クーラント液」と「ラジエーター液」、この二つの言葉、実はほとんど同じものを指していることが多いんです。でも、微妙なニュアンスの違いや、より広い意味で使われる場合があることを知っておくと、車のメンテナンスがさらに分かりやすくなりますよ。今回は、この「クーラント液とラジエーター液の違い」について、分かりやすく解説していきます。
「クーラント液」と「ラジエーター液」の基本的な意味合い
まず、一般的に「ラジエーター液」という言葉は、その名の通り、車が熱くなりすぎないように冷やす役割を持つ、ラジエーターの中に入っている液体のことを指します。一方、「クーラント液」は、より広い意味で「冷却液」全般を指す言葉として使われます。つまり、ラジエーター液はクーラント液の一種と言えるわけです。 この両者の違いを理解することは、愛車のエンジンを適切な温度に保ち、故障を防ぐ上で非常に重要です。
- ラジエーター液:ラジエーター内を循環し、エンジンを直接冷やす液体。
- クーラント液:冷却液全般を指す、より広い概念。
多くの自動車部品店や整備工場では、「クーラント液」という言葉が一般的になってきています。これは、単にラジエーターだけでなく、エンジンの他の部分の冷却にも関わる液体の総称として、より包括的に使われるようになったためと考えられます。
クーラント液(ラジエーター液)の役割とは?
クーラント液は、エンジンの「体温調節」をしてくれる、とても大切な役割を担っています。エンジンは、ガソリンを燃やしたり、たくさんの部品が動いたりすることで、どうしても熱が発生します。その熱をそのままにしておくと、エンジンはオーバーヒートしてしまい、大きな故障につながりかねません。
- エンジンの冷却 :発生した熱を吸収し、ラジエーターに運び、外気に放熱させる。
- 凍結防止 :冬場に液が凍ってしまうと、配管が破裂するなどの危険があるため、凍りにくくする働きがある。
- 防錆・防食作用 :エンジンの内部は金属でできているため、錆びたり腐食したりしやすい。クーラント液には、これらの発生を抑える添加剤が含まれている。
これらの働きがあるおかげで、エンジンは最適な温度でスムーズに動き続けることができるのです。もし、クーラント液が不足したり、性能が落ちたりすると、エンジンの寿命を縮めることにもなりかねません。
クーラント液の種類と特徴
クーラント液には、いくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。車に合ったものを選ぶことが大切です。
- エチレングリコール系 :最も一般的で、高い冷却性能と凍結防止性能を持っています。
- プロピレングリコール系 :エチレングリコール系に比べて環境負荷が低いとされています。
また、色によっても区別されることがあります。例えば、緑色、青色、赤色(ピンク色)などがありますが、これはメーカーが独自に添加している着色料であり、性能に直接的な差があるわけではありません。しかし、 異なる色のクーラント液を混ぜてしまうと、成分が沈殿してしまい、冷却効果が低下する恐れがある ため、基本的には同じ色・同じ種類のものを補充するのがおすすめです。
| 色 | 主な成分 | 特徴 |
|---|---|---|
| 緑 | エチレングリコール | 一般的、高い冷却性能 |
| 赤・ピンク | エチレングリコール・プロピレングリコール | 長寿命タイプが多い |
ラジエーター液の交換時期と方法
クーラント液は、時間とともに劣化していきます。そのため、定期的な交換が必要です。交換時期は、車の取扱説明書に記載されていることが多いですが、一般的には以下のような目安があります。
- 新車購入後、初回は2年、それ以降は1~2年ごとの交換が推奨されています。
- 走行距離でいうと、2万km~5万kmごとが目安となる場合もあります。
交換は、自分で行うことも可能ですが、専門知識や道具が必要になる場合もあります。自信がない場合は、整備工場やディーラーに依頼するのが安心です。交換の際は、古いクーラント液を抜き取り、新しいものを規定量まで補充します。 古いクーラント液は、環境に影響を与える可能性があるため、適切に処理する必要があります。
クーラント液の役割:冷却以外にも?
クーラント液の主な役割はエンジンの冷却ですが、実はそれ以外にも重要な役割があります。先ほど少し触れましたが、冬場の凍結防止もその一つです。
- 凍結防止 :冬の寒い時期、ラジエーター液が凍ってしまうと、膨張してラジエーターや配管を破損させる可能性があります。クーラント液は、主成分であるエチレングリコールなどの働きで、液体の凍結温度を大幅に下げています。
- 防錆・防食 :エンジンの内部は、高温になる金属部品で構成されています。クーラント液には、これらの金属部品が錆びたり、腐食したりするのを防ぐための添加剤が含まれています。これにより、エンジンの寿命を延ばすことができます。
- 消泡作用 :エンジンが作動すると、クーラント液の中に気泡が発生することがあります。この気泡が大量に発生すると、冷却効果が低下したり、ポンプの故障につながったりすることがあります。クーラント液には、これらの気泡の発生を抑える働きも含まれています。
このように、クーラント液は単に冷やすだけでなく、エンジンの健康を維持するために多角的な役割を果たしているのです。
クーラント液の「濃度」って何?
クーラント液の性能を語る上で、「濃度」という言葉が出てきます。これは、クーラント液の主成分であるエチレングリコールなどの濃度を指します。
- 濃度が高い場合 :凍結防止性能は高まりますが、冷却性能が低下する傾向があります。
- 濃度が低い場合 :冷却性能は高まりますが、凍結しやすくなります。
一般的に、市販されているクーラント液は、使用する地域や季節に合わせて、水で希釈して使用することを前提としています。取扱説明書や製品の指示に従い、適切な濃度に調整することが重要です。 「原液」のまま使用したり、薄めすぎたりすると、本来の性能を発揮できず、トラブルの原因になる ことがあります。
クーラント液の「補充」と「交換」のタイミング
クーラント液が減ってきたら、補充が必要です。ただし、補充だけで済ませるのではなく、定期的な交換も忘れないようにしましょう。
- 補充のタイミング :リザーバータンク(サブタンク)の液量が「LOW」と「FULL」の間にあるか確認し、少なくなっていたら補充します。
- 交換のタイミング :製品の寿命や車の使用状況にもよりますが、一般的には2年~5年、または数万kmごとが目安です。
補充する際は、必ず車のエンジンが冷えていることを確認してください。熱い状態では、ラジエーターのキャップを開けると、熱いクーラント液が噴き出す危険があります。また、交換は、古いクーラント液を完全に抜き取り、新しいものを規定量までしっかりと補充することが大切です。
このように、「クーラント液」と「ラジエーター液」は、ほとんど同じものを指しますが、その役割や重要性を理解することで、愛車との付き合い方がより一層深まるはずです。定期的な点検とメンテナンスで、愛車をいつまでも元気に保ちましょう!