確定申告と住民税申告の違いをスッキリ解説! 知っておきたいポイント

「確定申告」と「住民税申告」、名前は似ているけれど、一体何が違うの? と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。この二つの申告には、それぞれ目的や提出先、申告する内容に違いがあります。 確定申告と住民税申告の違いを理解することは、税金に関する手続きをスムーズに進める上で非常に重要です。

申告の目的と提出先:誰に、何を伝える?

まず、一番大きな違いはその「目的」と「提出先」にあります。確定申告は、国に所得税を納めるために行う手続きです。1年間の所得(稼いだお金)を計算し、そこから所得税をいくら納めるべきか、あるいは払いすぎた税金がいくら還付されるのかを申告します。

一方、住民税申告は、住んでいる市区町村に住民税を計算してもらうために行うものです。住民税は、住んでいる地域で行政サービスを受けるために必要な税金で、前年の所得に基づいて計算されます。つまり、確定申告が「国」に対する税金の申告なのに対し、住民税申告は「市区町村」に対する税金の申告と言えます。

これらの違いをまとめると、以下のようになります。

  • 確定申告
    • 目的:所得税の計算・納付
    • 提出先:税務署
    • 申告内容:1年間の所得全般
  • 住民税申告
    • 目的:住民税の計算・納付
    • 提出先:市区町村
    • 申告内容:前年の所得

申告が必要な人:みんながやるの?

次に、どのような人がこれらの申告を行う必要があるのかを見ていきましょう。一般的に、会社員で給与所得のみの方は、会社が年末調整をしてくれるため、原則として確定申告や住民税申告は必要ありません。しかし、以下のようなケースでは、自分で申告する必要が出てきます。

確定申告が必要なケースとしては、例えば以下のようなものがあります。

  1. 副業で年間20万円以上の所得がある場合
  2. 2か所以上から給与をもらっていて、年末調整を受けていない給与収入と、それ以外の所得の合計が20万円を超える場合
  3. 不動産収入や事業収入など、給与所得以外の所得がある場合
  4. 株式の譲渡所得や配当所得がある場合(申告することで有利になる場合もあります)

一方、住民税申告は、原則として前年の1月1日から12月31日までの所得について、住んでいる市区町村に申告する必要があります。会社員で年末調整を受けている場合でも、扶養控除等申告書などで配偶者控除や扶養控除の対象となる方がいる場合、住民税申告によってその情報が市区町村に伝わり、住民税の計算に反映されます。また、所得がない場合でも、住民税の免除や非課税証明書の発行を受けるために住民税申告が必要になることがあります。

申告が必要かどうかを判断するために、以下の表を参考にしてみてください。

ケース 確定申告 住民税申告
会社員(給与所得のみ、年末調整済み) 不要 原則不要(ただし、扶養家族がいる場合などは自治体にご確認ください)
副業所得が20万円超 必要 必要
個人事業主 必要 必要
所得がない(学生、専業主婦・主夫など) 原則不要 必要となる場合がある(証明書発行など)

申告の時期:いつまでにやればいい?

申告の時期も、それぞれの制度で決まっています。確定申告の期間は、原則として毎年 2月16日から3月15日まで です。この期間内に、前年1年間の所得について申告を行います。ただし、還付申告(納めすぎた税金が戻ってくる申告)は、1月1日から受け付けており、3月15日を過ぎても行うことができます。

住民税申告の時期は、確定申告の時期とは異なり、 原則として毎年1月1日から5月31日まで となっています。ただし、これはあくまで目安であり、お住まいの市区町村によっては、申告期間が異なる場合もあります。多くの市区町村では、前年分の所得について、その年の6月1日以降の住民税の計算の基礎とするため、この期間内に申告を求める形になります。

正確な申告時期については、お住まいの市区町村のホームページや広報誌などで確認することが大切です。

申告の根拠となる法律:何に基づいて決まっている?

確定申告は、「 所得税法 」という法律に基づいて行われます。所得税法では、個人の所得の種類、計算方法、税率、申告・納付の手続きなどが細かく定められています。この法律に基づき、国税庁が申告手続きのルールを定めています。

一方、住民税申告は、「 地方税法 」という法律に基づいて行われます。地方税法は、国税とは異なり、地方公共団体(都道府県や市区町村)が課税する税金に関するルールを定めています。住民税の税額計算の基礎となる所得の把握のために、住民税申告という手続きが設けられています。

このように、申告の根拠となる法律が異なるため、当然、手続きの内容にも違いが出てくるわけです。

申告書の内容:書くべきことは?

申告書に書く内容も、それぞれ目的によって異なります。確定申告書には、1年間の給与所得、事業所得、不動産所得、一時所得など、様々な所得の種類ごとに収入金額、経費、そして所得金額を記入します。そこから、所得控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除など)を差し引き、課税所得金額を計算して、最終的な所得税額を算出します。

住民税申告書は、確定申告書に比べると比較的シンプルな内容となっています。主に、前年の1月1日から12月31日までの所得(給与収入、事業収入、公的年金収入など)や、扶養している家族の状況などを記入します。この情報をもとに、市区町村が住民税額を計算します。

住民税申告書では、所得税の計算で用いられるような詳細な経費の計算は必ずしも必要ではありません。むしろ、住民税を計算するための基本的な所得情報や、所得控除の対象となる家族の情報を正確に伝えることが重要です。

申告書の提出先:どこに持っていけばいい?

申告書の提出先は、これまでも触れてきましたが、非常に重要な違いです。確定申告書は、 お住まいの地域を管轄する税務署 に提出します。税務署は、国税庁の出先機関であり、所得税や法人税などの国税に関する事務を行っています。

一方、住民税申告書は、 お住まいの市区町村の役所(税務課など) に提出します。市区町村の役所は、住民税や固定資産税などの地方税に関する事務を行っています。郵送で提出することも可能ですが、窓口で直接提出して相談することもできます。

提出先を間違えると、申告が正しく処理されない可能性がありますので、十分注意しましょう。

まとめ:賢く税金と付き合おう!

確定申告と住民税申告の違いについて、ご理解いただけたでしょうか? どちらも税金を正しく納めるために大切な手続きですが、目的、対象となる税金、提出先、申告時期などが異なります。これらの違いをしっかりと把握し、ご自身の状況に合わせて適切な申告を行うことで、税金に関するトラブルを防ぎ、場合によっては税金が還付されるといったメリットも得られます。不明な点があれば、税務署や市区町村の窓口、または税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

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