VGAとD-sub、これらの言葉を聞くと「あれ?同じものじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。実は、VGAとD-subは厳密には少し違いがあります。この二つの違いを理解することは、パソコンやモニターの接続で迷わないために、とっても役立つんですよ。
VGAとD-sub、似ているけどちょっと違う関係性
まず、結論から言うと、一般的に「VGAコネクタ」と呼ばれているものは、正式には「D-sub 15ピン」という規格なのです。つまり、D-sub 15ピンという「形」があって、その中でも映像信号を送るための規格の一つがVGA(Video Graphics Array)というわけです。なので、「VGAとD-subの違い」というのは、厳密には「D-sub 15ピンというコネクタ形状の規格」と「VGAという映像信号の規格」の違い、または「VGA信号を伝送するのに使われるD-sub 15ピンコネクタ」と、D-subというコネクタ形状全般のことを指して使われる場合がある、というニュアンスで捉えると分かりやすいでしょう。
D-subコネクタには、他にも色々なピン数や用途のものがあります。例えば、パソコンとプリンターを繋ぐD-sub 25ピン(パラレルポート)や、シリアル通信に使うD-sub 9ピンなどです。これらは、映像信号を送るVGAとは全く違う役割を持っています。
このように、 VGAは映像信号の規格、D-subはコネクタの形状や規格 という点が、両者の関係性を理解する上で重要です。
- D-sub 15ピン: コネクタの形
- VGA: 映像信号の規格
D-sub 15ピンコネクタの構造
VGA信号を伝えるために使われるD-sub 15ピンコネクタは、その名の通り、15個のピンが配置されています。このピンの1本1本が、赤、緑、青といった色信号や、水平・垂直同期信号といった映像を構成するための重要な情報を運んでいます。
コネクタの形状は、アルファベットの「D」の字に似ていることから「D-sub(D-subminiature)」と名付けられました。そして、15ピンのものは「DE-15」とも呼ばれます。この形状は、しっかりとした接続を確保するために考えられています。
D-sub 15ピンコネクタには、オス(ケーブル側)とメス(機器側)があり、互いにカチッと嵌合(かんごう)するように作られています。この接続部分に、ネジで固定できる「ネジ穴」が付いていることも多いです。これは、ケーブルが抜けてしまうのを防ぐための工夫なんですよ。
D-sub 15ピンコネクタのピン配置は、以下のようになっています。
| ピン番号 | 役割 |
|---|---|
| 1 | 赤 (R) |
| 2 | 緑 (G) |
| 3 | 青 (B) |
| 13 | 水平同期 (Hsync) |
| 14 | 垂直同期 (Vsync) |
VGA規格とその信号
VGA(Video Graphics Array)は、1987年にIBMが発表したパソコンのグラフィック表示規格です。この規格が登場したことで、それまでの限られた色数や解像度から、より多彩な表現が可能になりました。
VGA規格では、主に以下の解像度と色数がサポートされていました。
- 640x480ピクセル(VGA解像度):256色
- 320x200ピクセル:16色
もちろん、VGA規格を拡張したものが後に出てきたり、D-sub 15ピンコネクタを使ってVGAよりも高解像度や多色を表示することも可能でしたが、VGAという名称は、この基本的な規格と、それを伝送するD-sub 15ピンコネクタを指す言葉として広く定着しました。
VGA信号は、アナログ信号として伝送されるのが特徴です。そのため、デジタル信号でやり取りされることが多い最近の映像機器とは、変換が必要になる場合があります。
D-subコネクタの多様性
先ほども少し触れましたが、D-subコネクタは15ピンだけではありません。用途に応じて、様々なピン数のものが存在します。それぞれのピン数によって、伝送できる信号の種類や量が変わってきます。
代表的なD-subコネクタの種類をいくつか見てみましょう。
- D-sub 9ピン (DE-9): パソコンのシリアルポート(COMポート)によく使われました。マウスやモデムなどの接続に使われていました。
- D-sub 15ピン (DE-15): これがVGA信号を伝送するのに使われるコネクタで、一般的に「VGAコネクタ」と呼ばれています。
- D-sub 25ピン (DB-25): パソコンのパラレルポート(LPTポート)によく使われました。プリンターなどの接続に使われていました。
このように、D-subというコネクタ形状は、映像だけでなく、様々な種類の信号を伝送するために利用されてきました。
VGAからHDMIへの進化
VGA(D-sub 15ピン)は、長らくパソコンの映像出力の標準でしたが、時代の流れとともに、より高画質で便利な規格が登場しました。その代表格がHDMI(High-Definition Multimedia Interface)です。
HDMIは、映像信号だけでなく音声信号も一緒に伝送できるデジタルインターフェースです。そのため、ケーブル1本で高画質な映像とクリアな音声を楽しむことができます。
HDMIは、VGAのようなアナログ信号ではなく、デジタル信号でやり取りされるため、信号の劣化が少なく、より鮮明な映像を表示できます。
VGAとHDMIでは、コネクタの形状も大きく異なります。VGAはD-sub 15ピンですが、HDMIはよりコンパクトで、様々な形状(Type A, Type C, Type Dなど)があります。
- VGA: アナログ信号、映像のみ
- HDMI: デジタル信号、映像+音声
D-subコネクタの互換性と注意点
D-sub 15ピンコネクタは、VGA信号を伝送するためのものではありますが、全てのD-sub 15ピンコネクタがVGA信号を伝送できるわけではありません。なぜなら、D-sub 15ピンコネクタには、VGA以外の用途で使われるものも存在するからです。
ただし、一般的にパソコンとモニターを接続する際に使われる「青いコネクタ」は、ほとんどがVGA信号用のD-sub 15ピンです。この場合、VGAとD-sub 15ピンはほぼ同義で使われます。
注意点として、古い機器ではVGA(D-sub 15ピン)しか搭載されていない場合があります。一方、最近の機器はHDMIなどのデジタルインターフェースが主流ですが、互換性を持たせるためにVGAポートを備えていることもあります。
もし、VGAポートしかない機器と、HDMIポートしかない機器を接続したい場合は、別途「VGA-HDMI変換アダプタ」などが必要になります。
互換性について、以下にまとめました。
- VGA信号はD-sub 15ピンコネクタで伝送されることが多い。
- D-sub 15ピンコネクタが必ずしもVGA信号用とは限らない。
- 古い機器と新しい機器を接続する際は、変換アダプタが必要になる場合がある。
さて、VGAとD-subの違いについて、なんとなくイメージが掴めたでしょうか?簡単に言うと、VGAは「映像の信号の種類」、D-subは「コネクタの形」を指すことが多いのですが、VGA信号を伝えるのにD-sub 15ピンコネクタがよく使われるため、混同されやすいのです。どちらも、パソコンの歴史とともに進化してきた大切な技術なんですね。