カメラレンズの世界には、オートフォーカス（AF）の駆動方式を示す「USM」と「STM」という略語があります。この二つ、いったい何が違うのか、そしてどちらを選べば良いのか、迷っている方もいるのではないでしょうか？この記事では、そんな「usm と stm の 違い」について、分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
USMとSTMの基本：それぞれの特徴とメリット
まず、USMとSTMの根本的な違いから見ていきましょう。USMは「Ultrasonic Motor」の略で、超音波モーターを搭載しています。一方、STMは「Stepping Motor」の略で、ステッピングモーターを使用しています。このモーターの種類が、AFの速度や静粛性、そして消費電力に大きな影響を与えるのです。
USMの最大の特徴は、その 高速かつ静かなAF駆動 です。超音波の振動を利用してレンズを動かすため、滑らかでレスポンスの良いフォーカシングが可能です。特に、動きの速い被写体を捉えたいスポーツ撮影や、一瞬の表情を逃したくないポートレート撮影などでその威力を発揮します。また、動作音が非常に静かなので、静かな環境での撮影にも向いています。
STMは、USMに比べてAF速度はやや劣りますが、 静粛性と省電力性 に優れています。ステッピングモーターは、電気信号によって一歩ずつ回転するため、非常に静かで滑らかな動きを実現します。動画撮影においては、AF動作の音が気になりにくいというメリットがあります。また、消費電力がUSMよりも少ない傾向にあるため、バッテリーの持ちが良いという点も嬉しいポイントです。
- USM : 超高速・静音AF、動きの速い被写体に強い
- STM : 静音・滑らかなAF、動画撮影や省電力性に優れる
AF速度で比較する：USM vs STM
オートフォーカスの「速さ」は、カメラ選びやレンズ選びにおいて非常に重要な要素です。usm と stm の 違いを具体的に理解するために、AF速度に焦点を当ててみましょう。
USMは、その仕組み上、非常に素早いピント合わせが可能です。レンズを大きく動かす必要がある場合でも、超音波モーターのトルクと反応速度の速さによって、あっという間にピントが合います。これは、例えば、遠くから急に近づいてくる被写体や、予測不能な動きをする動物などを撮影する際に、決定的な差を生み出すことがあります。
一方、STMは、一歩ずつ正確に回転するステッピングモーターの特性上、USMほどの爆発的な速さはありません。しかし、近年のSTMは技術の進歩により、十分実用的な速度でピントを合わせることができます。特に、中・望遠レンズなど、フォーカス移動量が比較的少ないレンズにおいては、その差は体感しにくい場合もあります。 静止画撮影においても、STMは十分なAF速度を発揮します 。
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AF速度の傾向
- USM：圧倒的に速い
- STM：実用的で十分速いが、USMには及ばない場合がある
静粛性で比較する：USM vs STM
静かな環境での撮影、特に結婚式や発表会、野鳥撮影など、音を立てることが望ましくない場面では、AFの静粛性が重要になります。usm と stm の 違いは、この静粛性にもはっきりと表れます。
USMは、超音波の振動を利用するため、原理的に駆動音が非常に小さいのが特徴です。モーター自体の動作音がほとんどしないため、被写体に気づかれずに撮影できる場面が多いです。これは、例えば、警戒心の強い動物を撮影する際や、静かなコンサートホールで演奏者を撮影する際に、非常に大きなメリットとなります。
STMもまた、ステッピングモーターの特性から、静かなAF駆動を実現しています。一歩ずつ正確に動くため、ギクシャクした音や大きな駆動音が発生しにくいのです。特に動画撮影においては、AF駆動音がマイクに拾われにくいため、クリアな音声記録に貢献します。 STMは、静かな動画撮影をしたいユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となります 。
| 駆動方式 | AF静粛性 |
|---|---|
| USM | 非常に静か |
| STM | 静か |
動画撮影におけるAF：USM vs STM
近年、スマートフォンの普及とともに、カメラで動画を撮影する機会が増えています。動画撮影におけるAFの性能は、usm と stm の 違いを理解する上で、さらに重要なポイントとなります。
STMは、その静かで滑らかなAF動作から、動画撮影との相性が抜群です。ピントが移動する際も、カクカクとした動きではなく、滑らかに被写体に追従するため、映像に違和感を与えにくいのです。また、AF動作音が小さいため、声や環境音をクリアに録音することができます。 動画撮影においては、STMの特性が最大限に活かされます 。
USMも動画撮影に使用できますが、その高速AFゆえに、ピントが合焦する際の動きがSTMよりもやや速く感じられることがあります。これは、状況によってはダイナミックでかっこいい映像になることもありますが、滑らかさを重視する場合には、STMの方が適していると言えるでしょう。ただし、最新のUSMはSTMに迫る滑らかさを実現しているモデルもあります。
- 動画撮影のポイント :
- STM: 滑らかなAF、静かな駆動音で動画撮影に最適
- USM: 高速AFで動きの速い被写体にも対応できるが、STMほどの滑らかさではない場合がある
消費電力とバッテリー持ち：USM vs STM
カメラを持ち出して撮影する際、バッテリーの持ちは気になるところです。usm と stm の 違いは、消費電力にも影響を与えます。
一般的に、STMはUSMよりも消費電力が少ない傾向にあります。ステッピングモーターは、必要な時にだけ動くように制御しやすいため、効率的に電力を消費します。これは、長時間の動画撮影や、頻繁にAFを行う静止画撮影において、バッテリーの持ちを良くする効果が期待できます。
USMも、以前に比べて消費電力は改善されていますが、STMと比較すると、やや消費電力が大きい場合があります。特に、AFを多用する状況では、STMの方がバッテリーの消耗を抑えることができるでしょう。 バッテリー切れを心配せずに撮影を楽しみたいなら、STM搭載レンズも検討してみてください 。
レンズのサイズと重量：USM vs STM
usm と stm の 違いは、レンズの設計やサイズ、重量にも影響を与えることがあります。ただし、これは一概にどちらが優れているとは言えません。
STMは、比較的小型・軽量なレンズ設計に適している場合があります。ステッピングモーターは、その構造上、小型化しやすい傾向があり、携帯性に優れたレンズの開発に貢献しています。特に、スマートフォンのような小型カメラとの組み合わせを想定したレンズなどでは、STMが採用されることが多いです。
USMも、小型化は進んでいますが、高性能を追求した大口径レンズや、望遠レンズなどでは、そのパワーを発揮するために、ある程度のサイズと重量が必要になることがあります。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、レンズの光学設計や搭載される機能によって大きく異なります。
まとめ：あなたにぴったりのAF駆動方式は？
ここまで、usm と stm の 違いについて、様々な角度から解説してきました。どちらの駆動方式にも一長一短があり、どちらが優れているかは、あなたの撮影スタイルや目的に大きく依存します。高速AFで決定的瞬間を捉えたいならUSM、静かで滑らかな動画撮影やバッテリー持ちを重視するならSTM、といったように、ご自身のニーズに合わせて最適なレンズを選ぶことが大切です。