躁鬱 と 鬱 の 違いを分かりやすく解説!あなたの疑問に答えます

「躁鬱(そううつ)病」と「うつ病」。どちらも心の調子が悪くなる病気ですが、実はその症状には大きな違いがあります。今回は、この 躁鬱 と 鬱 の 違い を、専門的な言葉をなるべく使わずに、皆さんに分かりやすくお伝えしていきます。

症状の波が一番の違い:躁鬱病は「上がり下がり」が特徴

まず、躁鬱病と聞くと「気分がすごく高揚したり、逆にすごく落ち込んだりする」というイメージがあるかもしれません。そのイメージは、実はかなり当たっています。躁鬱病の最大の特徴は、気分の波が激しいことです。元気で活動的すぎる「躁(そう)」の状態と、何もやる気が起きない「うつ」の状態を繰り返します。これは、うつ病が主に気分の落ち込みに苦しむのとは、大きく異なる点です。

うつ病の場合は、気分がずっと落ち込んだままだったり、やる気が出なかったりする状態が続きます。まるで、どんよりとした曇り空が晴れないようなイメージです。一方、躁鬱病では、その曇り空の合間に、まるで太陽が燦々と輝くような、異常に気分が高揚する時期がやってきます。

この気分の波は、日常生活に大きな影響を与えます。躁の状態では、普段ならしないような大胆な行動をとったり、眠らなくても平気なほど活動的になったりします。しかし、この状態が長く続くと、借金をしてしまったり、人間関係でトラブルを起こしてしまったりすることもあります。 この気分の波を理解することが、躁鬱 と 鬱 の 違いを知る上で非常に重要です。

病名 主な症状
うつ病 気分の落ち込み、やる気の低下、悲観的になる
躁鬱病 気分の高揚(躁)と気分の落ち込み(うつ)の繰り返し

躁の状態ってどんな感じ?

躁鬱病の「躁」の状態というのは、具体的にどのようなものでしょうか。先ほども少し触れましたが、これは単に「元気で楽しい」というレベルを超えたものです。まず、気分が異常に高揚し、自信に満ち溢れます。普段は控えめな人が、急に饒舌になったり、リーダーシップを発揮したりすることもあります。

活動量も大幅に増えます。眠らなくても平気になり、次々とアイデアが湧いてきて、それを実行しようとします。しかし、そのアイデアが現実的でなかったり、衝動的な行動につながったりすることも少なくありません。例えば、突然仕事を辞めて起業しようとしたり、高価なものを買い漁ったりすることがあります。

また、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったりすることもあります。周りの人が自分の思い通りにならないと、激しく怒ってしまうことも。このように、躁の状態は、本人にとっては力がみなぎってくるような感覚かもしれませんが、周囲から見ると「いつもと違う」「大丈夫かな?」と心配になるような状態なのです。

  • 異常な気分高揚
  • 過剰な自信
  • 活動量の増加
  • 睡眠欲の低下
  • 多弁(おしゃべりになる)
  • 空想やアイデアの増加
  • 衝動的な行動
  • イライラ、怒りっぽさ

うつの状態も違う?

躁鬱病における「うつ」の状態は、うつ病のうつ状態と似ている部分もありますが、いくつかの違いがあります。躁鬱病のうつ状態は、うつ病のうつ状態よりも、気分の落ち込みが激しかったり、何もかもが面倒に感じられたりすることがあります。しかし、躁鬱病の場合、このうつ状態は、躁の状態の後にやってくることが一般的です。

うつ病のうつ状態では、悲しい気持ちや絶望感、罪悪感などが強く表れます。何もかもが楽しくなくなり、将来への希望も持てなくなります。食欲がなくなったり、逆に過食になったり、眠れなくなったり、逆に眠りすぎてしまったりと、身体的な症状も現れます。

一方、躁鬱病のうつ状態でも、これらの症状は現れますが、躁の状態があったからこそ、その落差がより大きく感じられることもあります。例えば、躁の時にあれほど活動的だったのに、うつの時にはベッドから起き上がることもできない、といった極端な変化が見られることがあります。

  1. 気分がひどく落ち込む
  2. 楽しみにしていたことも楽しめなくなる
  3. 自分を責めてしまう
  4. 疲れやすく、やる気が出ない
  5. 眠れない、または寝すぎる
  6. 食欲がない、または食べすぎる
  7. 集中力や判断力が低下する

診断の難しさ:専門家による判断が不可欠

躁鬱 と 鬱 の 違い を理解することは大切ですが、自分で「これは躁鬱病だ」「これはうつ病だ」と断定するのは非常に難しいことです。なぜなら、どちらの病気にも共通する症状があるからです。例えば、どちらも気分の落ち込みや、やる気の低下、不眠といった症状が現れることがあります。

特に、躁鬱病の初期段階では、うつ状態だけが目立って、うつ病と診断されるケースも少なくありません。これは、躁の状態を経験していない、あるいは躁の状態を「調子が良い」と勘違いしてしまう場合があるためです。そのため、専門家による丁寧な問診や、長期間の経過観察が不可欠となります。

医師は、単に現在の症状を聞くだけでなく、過去の気分の波や、家族歴なども考慮して診断を行います。もし、ご自身や周りの人に、気分の大きな変動が見られる場合は、一人で悩まず、専門機関に相談することが大切です。

診断においては、以下の点が重要視されます。

  • 過去の躁状態の有無
  • 気分の変動のパターン(頻度、期間、程度)
  • 家族歴
  • 本人の自覚(躁状態を「調子が良い」と感じるかなど)

治療法も異なる

躁鬱病と診断された場合、治療法もうつ病とは異なります。うつ病の治療では、主に抗うつ薬が中心となることが多いです。しかし、躁鬱病の場合、抗うつ薬だけを使用すると、かえって躁の状態を誘発してしまう可能性があります。

そのため、躁鬱病の治療では、気分を安定させる「気分安定薬」が中心となります。この薬は、躁の状態を抑え、うつ状態を安定させる効果があります。もちろん、うつ状態が強い場合には、抗うつ薬が補助的に使われることもありますが、その場合も慎重な判断が必要です。

また、精神療法(カウンセリングなど)も、どちらの病気にも有効ですが、躁鬱病の場合は、気分の波を理解し、自己管理能力を高めることに重点が置かれることがあります。病気への理解を深め、再発を防ぐためのスキルを身につけることが、治療の重要な柱となります。

治療の選択肢としては、以下のようなものがあります。

  1. 薬物療法(気分安定薬、抗うつ薬、抗精神病薬など)
  2. 精神療法(認知行動療法、対人関係療法など)
  3. 休養、生活習慣の改善

見過ごされがちな「軽躁」という状態

躁鬱病には、強い「躁」の状態だけでなく、「軽躁(けいそう)」と呼ばれる、比較的軽めの躁の状態もあります。軽躁は、本人にとっては「調子が良い」「やる気が出る」と感じられることが多く、周囲からも「いつもより元気だな」程度にしか見られないこともあります。

しかし、この軽躁の状態が繰り返されることで、仕事で成果を上げたり、次々と新しいことに挑戦したりと、一見すると良い方向に向かっているように見えることもあります。そのため、本人が「これは病気だ」と認識しづらく、治療に至らないケースも少なくありません。 この軽躁の状態を見過ごすことが、躁鬱病の診断を遅らせる原因の一つとなります。

軽躁の状態では、以下のような特徴が見られます。

  • 気分は高揚しているが、異常ではない
  • 活動量は増えるが、衝動的になりすぎることは少ない
  • 自信はあるが、過剰ではない
  • 睡眠時間は短くても、日中の活動に支障はない
  • おしゃべりは増えるが、周りを不快にさせるほどではない

もし周りの人が…

もし、あなたの家族や友人が、気分の大きな変動を繰り返しているように見えたら、どのように接すれば良いのでしょうか。まず、本人の話をよく聞くことが大切です。「大丈夫?」と心配していることを伝え、安心できる環境を作ってあげましょう。無理に励ましたり、感情をぶつけたりするのは逆効果になることがあります。

そして、一番大切なのは、専門家への相談を促すことです。本人が病気だと認識していない場合や、受診をためらっている場合でも、まずは家族や友人が相談機関に連絡してみるのも良いでしょう。病気について正しい知識を得ることで、どのようにサポートすれば良いかが分かってきます。

周りの人ができることとして、以下の点が挙げられます。

  1. 本人の話を傾聴し、共感する
  2. 安心できる環境を提供する
  3. 無理強いせず、専門家への相談を促す
  4. 病気について正しい知識を身につける
  5. 本人のペースを尊重し、見守る

躁鬱病と診断された場合、その波を乗り越えていくためには、本人の頑張りだけでなく、周囲の理解とサポートが不可欠です。

躁鬱病とうつ病は、どちらも心の健康に関わる大切な病気です。それぞれの違いを理解し、もし気になる症状があれば、専門家へ相談することが、回復への第一歩となります。一人で悩まず、周りの人と協力して、心の健康を取り戻していきましょう。

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