心拍数と脈拍の違いをスッキリ解説!意外と知らない?

「心拍数」と「脈拍」、どちらも私たちの健康状態を知る上で大切な指標ですが、実はこの二つ、全く同じものではありません。今回は、この「心拍数と脈拍の違い」を、分かりやすく、そして詳しく掘り下げていきましょう。

心臓の鼓動と血管の波、それぞれの役割

まず、心拍数とは、心臓が1分間にどれだけ拍動したかを示す回数です。文字通り「心臓の拍動の数」なので、心臓そのものの動きを表しています。一方、脈拍とは、心臓が血液を送り出すたびに血管が拡張し、その後に元に戻る、この「波」を指します。私たちが手首などで「脈を測る」というのは、この血管の波を感じ取っているのです。

この心拍数と脈拍の「違い」を理解することは、自身の体の状態を正しく把握するためにとても重要です。

  • 心拍数 :心臓のポンプ機能そのもの
  • 脈拍 :心臓の拍動によって生じる血管の動き

通常、心拍数と脈拍の回数はほぼ同じですが、時としてズレが生じることもあります。これは、心臓がきちんと血液を送り出せていない場合や、血管に何らかの問題がある場合に起こり得ます。

指標 意味 測定場所の例
心拍数 心臓が1分間に拍動する回数 心電図など(直接測定は難しい)
脈拍 血管が拡張・収縮する波の回数 手首、首、足首など

「心拍数」が示すもの:心臓の働き

心拍数は、私たちがどれだけ活発に動いているか、あるいはリラックスしているかを反映します。運動をすれば心拍数は上がり、安静にしていれば下がります。これは、体に酸素と栄養を運ぶために、心臓がより一生懸命働く必要があるからです。

  1. 安静時心拍数 :リラックスしている時の心拍数。健康な成人の場合、一般的に1分間に50~100回程度です。
  2. 運動時心拍数 :運動している時に上がる心拍数。運動強度によって大きく変動します。
  3. 最大心拍数 :理論上、これ以上は上げられない限界の心拍数。年齢によって計算方法が異なります(例:220 - 年齢)。

心拍数を把握することで、トレーニングの効果を測ったり、体調の変化に気づいたりすることができます。例えば、いつもより安静時心拍数が高い場合は、寝不足やストレス、体調不良のサインかもしれません。

心拍数は、主に心電図のような医療機器で正確に測定されます。しかし、最近ではスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスでも、おおよその心拍数を測定できるようになり、日常的に自分の心拍数を把握することが身近になりました。

「脈拍」が示すもの:血液の流れ

脈拍は、心臓から送り出された血液が血管を伝わる「波」を感じ取るものです。手首の橈骨(とうこつ)動脈や、首の頸動脈(けいどうみゃく)などで触れることができます。この脈拍を測ることで、心拍数だけでなく、脈の強さやリズムなども知ることができます。

  • 脈拍数 :心拍数と同様に、1分間の回数を数えます。
  • 脈拍の触れ方 :人差し指、中指、薬指の3本を使い、優しく触れて感じ取ります。

正常な脈拍は、規則正しく、一定の間隔で打っています。しかし、不規則な脈拍(不整脈)がある場合、それは心臓の異常や、その他の病気のサインである可能性も考えられます。

脈拍の特徴 考えられること
速い 運動、興奮、発熱、貧血、甲状腺機能亢進症など
遅い 安静時、体温低下、一部の薬剤の影響、徐脈など
不規則 不整脈、ストレス、疲労など

脈拍の速さやリズムに異常を感じた場合は、専門医に相談することが大切です。

心拍数と脈拍、いつも同じ?

ほとんどの場合、心拍数と脈拍の回数は一致します。心臓が1回拍動するごとに、その拍動によって血管が押し広げられ、それが脈として感じられるからです。しかし、稀に心拍数と脈拍の回数が一致しない「脈拍脱」という現象が起こることがあります。

これは、心臓が拍動しても、その拍動が弱すぎて末梢の血管まで血液を十分に送り出せず、脈として感じられない場合に起こります。例えば、心臓の病気などで心臓の収縮力が弱まっている場合などが考えられます。

  1. 心拍数 > 脈拍数 :脈拍脱の状態
  2. 心拍数 = 脈拍数 :正常な状態

この「脈拍脱」は、専門的な検査でしか正確には診断できませんが、自分で脈を測った時に、心臓の音(聴診器で聞く)と脈の数に大きな違いを感じる場合は、注意が必要です。

心拍数と脈拍を測るタイミング

「いつ、どのように測るか」も、健康状態を知る上で重要です。特に安静時心拍数や安静時脈拍を測る際は、いくつかのポイントがあります。

  • 朝、目覚めた直後 :まだ体が活動モードになっていない、最もリラックスした状態での測定が望ましいです。
  • 安静にした状態 :測定する数分前からは、激しい運動や、急激な体温変化(入浴など)を避け、落ち着いた状態で測定しましょう。

これらのタイミングで測ることで、より正確な基礎的な心拍数・脈拍を知ることができ、日々の体調管理に役立ちます。

心拍数と脈拍の「正常値」って?

「正常値」は、年齢や性別、活動量、体質によって個人差があります。しかし、一般的な目安として、以下のようになります。

年齢・状態 安静時心拍数・脈拍数(1分間あたり)
乳幼児 100~160回
子供(6~15歳) 70~110回
成人(18歳以上) 50~100回

ただし、これはあくまで目安です。普段から運動をしている人は、安静時心拍数が50回を下回ることも珍しくありません。大切なのは、自分の「普段の数値」を知り、そこから大きく外れた場合に注意することです。

また、運動中の心拍数は、目標とする運動強度によって変わります。例えば、脂肪燃焼を目的とするなら、最大心拍数の60~70%程度、心肺機能向上を目指すなら、70~80%程度が目安となります。

心拍数と脈拍、こんな時に測ってみよう!

普段から心拍数や脈拍を意識することは、健康管理にとても役立ちます。特に、以下のような時に測ってみると良いでしょう。

  1. 体調がいつもと違う時 :なんとなく体がだるい、頭が痛いなど、体調に異変を感じた時に測ると、原因の手がかりになることがあります。
  2. 運動前後の確認 :運動の強度や効果を測るために、運動前と後の心拍数・脈拍を比較してみましょう。
  3. ストレスを感じている時 :精神的なストレスは心拍数・脈拍を上昇させます。リラックスするためや、ストレスの度合いを知るために測るのも良いでしょう。

これらのタイミングで測定することで、体のサインにいち早く気づき、適切な対処につなげることができます。

まとめ:心拍数と脈拍の違いを理解して、健康な毎日を!

ここまで、「心拍数と脈拍の違い」について詳しく見てきました。心拍数は心臓の動き、脈拍は血管の動きを表し、通常は一致しますが、時としてズレが生じることもあるということがお分かりいただけたかと思います。それぞれの意味を理解し、自分の体の状態を正しく把握することで、より健康で充実した毎日を送ることができます。ぜひ、今日からあなたの心拍数と脈拍に、少しだけ注目してみてくださいね!

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