知っておきたい!霰粒腫と麦粒腫の違いを徹底解説

「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」と「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」、どちらもまぶたにできる「できもの」として知られていますが、実は原因や治療法が異なります。 霰粒腫と麦粒腫の違い を正しく理解することは、適切な対処法を知る上で非常に大切です。

霰粒腫と麦粒腫、まず基本を知ろう!

まぶたにできる「ぷくっ」としたできもの。鏡を見て「またできちゃった!」とため息をつく方もいるかもしれません。これらは、霰粒腫と麦粒腫であることが多いのですが、どう違うのでしょうか。結論から言うと、霰粒腫は「マイボーム腺という油を出す腺の詰まり」、麦粒腫は「細菌感染」が主な原因です。この違いを理解することが、霰粒腫と麦粒腫の違いを把握する第一歩となります。

霰粒腫は、まぶたの縁にあるマイボーム腺という、涙の油分を出す腺が詰まってしまい、その中に分泌物が溜まって炎症を起こした状態です。最初はじんわりとしたしこりのように感じられ、痛みはあまりありません。しかし、大きくなるとまぶたの裏側や表面にでき、見た目が気になったり、目にゴミが入ったような違和感を感じたりすることもあります。

一方、麦粒腫は、いわゆる「ものもらい」の代表的なもので、細菌がまぶたの毛穴やマイボーム腺に感染して炎症を起こした状態です。こちらは、赤く腫れて痛みや熱感を伴うことが多く、膿が溜まってくると、黄色っぽく見えたり、自然に破れて膿が出てきたりすることもあります。初期段階では、霰粒腫と似ていることもありますが、痛みの有無や腫れ方が大きな違いと言えるでしょう。

  • 霰粒腫: マイボーム腺の詰まりによる分泌物の溜まり
  • 麦粒腫: 細菌感染による炎症

霰粒腫ができるメカニズム

霰粒腫は、まぶたの縁に並んでいるマイボーム腺という、目の乾きを防ぐための油分を出す小さな腺が詰まることから始まります。この腺の出口が、メイクの残りカスや古い皮膚、乾燥などによって塞がれてしまうのです。すると、腺の中に油分が溜まり、それが古くなって炎症を起こし、しこりのように触れるようになります。これが霰粒腫の基本的なメカニズムです。

この詰まりが起こりやすい人には、いくつかの特徴があります。例えば、普段から目をこすってしまう癖がある人、アイメイクをしっかり落としきれていない人、そして乾燥肌の人などが挙げられます。また、年齢とともにマイボーム腺の機能が低下してくることも、霰粒腫ができやすくなる一因となります。

霰粒腫ができる場所によって、症状の出方が少し変わることもあります。まぶたの裏側にできる「内霰粒腫」と、表面にできる「外霰粒腫」があります。内霰粒腫は、まぶたの裏側で大きくなるため、最初は気づきにくいこともありますが、大きくなるとまぶた全体が重く感じられたり、眼球に当たってゴロゴロしたりすることがあります。

  • 原因: マイボーム腺の詰まり
  • 症状: 痛みが少ないしこり、違和感
  • できやすい人: 目をこする癖がある人、メイクの洗い残しがある人、乾燥肌の人

麦粒腫の正体と症状

麦粒腫は、一般的に「ものもらい」と呼ばれるものの中で、最もよく見られるタイプです。これは、まぶたにあるまつ毛の毛根や、マイボーム腺といった油を出す腺に、細菌(主に黄色ブドウ球菌)が感染して炎症を起こした状態を指します。つまり、急性の「できもの」と言えます。

麦粒腫の初期症状は、まぶたの一部が赤く腫れ、触ると痛みを感じるようになります。ひどくなると、熱感やズキズキとした痛みを伴うこともあり、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。まぶたが重く感じられたり、涙が出やすくなったりすることもあります。

症状が進むと、腫れた部分に膿が溜まってきます。すると、まぶたの表面が黄色っぽく見えたり、自然に膿が出てきたりすることもあります。これは、体が細菌と戦っている証拠ですが、自分で潰したりすると、さらに炎症を広げてしまう可能性があるので注意が必要です。

  • 原因: 細菌感染(主に黄色ブドウ球菌)
  • 症状: 赤み、腫れ、痛み、熱感、膿
  • 注意点: 自己判断での潰瘍は避ける

霰粒腫と麦粒腫の見た目の違い

霰粒腫と麦粒腫の見た目の違いは、初期段階では分かりにくいこともありますが、進行すると見分けがつくようになります。まず、霰粒腫は、まぶたの縁にしこりとして現れることが多く、触ってもあまり痛みはありません。表面は滑らかで、赤みも少ないのが特徴です。しかし、大きくなるとまぶたの形が変わり、見た目に影響が出ることがあります。

一方、麦粒腫は、まぶたの一部が急に赤く腫れ上がり、触ると熱を持ったような痛みを感じることが多いです。表面はブツブツとしたり、膿が溜まっているのが分かるような黄色い部分が見えたりすることもあります。まるで、小さなニキビができたような印象を受けることもあります。

ただし、初期の霰粒腫が炎症を起こして赤みを帯びたり、麦粒腫が治りかけで痛みが引いてきたりすると、見た目だけでは判断が難しくなることもあります。そのため、症状が長引く場合や、心配な場合は、眼科医に診てもらうのが一番確実です。

症状 霰粒腫 麦粒腫
痛み 少ない 強いことが多い
赤み 少ない 強いことが多い
しこり 初期からある 炎症が落ち着くとできることも
進行 ゆっくり 比較的早い

治療法の違い:どう対処するのが正解?

霰粒腫と麦粒腫では、原因が異なるため、治療法も変わってきます。霰粒腫の場合、小さなしこりであれば、自然に治ることもあります。まずは、患部を清潔に保ち、温かいタオルなどで温める「温罨法(おんあんぽう)」を行うことで、血行が良くなり、詰まりが解消されるのを助けることがあります。市販の点眼薬や軟膏で炎症を抑えることもありますが、効果がない場合や大きくなる場合は、切開して内容物を出す手術や、ステロイド注射などが検討されることもあります。

一方、麦粒腫は細菌感染が原因なので、基本的には抗菌薬の点眼薬や内服薬が処方されます。痛みが強い場合は、痛み止めの薬が処方されることもあります。膿が溜まっている場合は、切開して膿を出す処置が行われることもあります。自己判断で患部を触ったり、潰したりすると、感染が広がる危険性があるため、必ず医師の指示に従うことが大切です。

  • 霰粒腫の治療: 温罨法、点眼薬・軟膏、手術、ステロイド注射
  • 麦粒腫の治療: 抗菌薬(点眼・内服)、切開排膿

予防策:繰り返さないためにできること

霰粒腫も麦粒腫も、普段からのケアで予防できることがたくさんあります。まず、どちらにも共通して大切なのは、まぶたを清潔に保つことです。アイメイクをした後は、専用のクレンジング剤を使って、丁寧に洗い残しがないようにしましょう。特に、まつ毛の生え際までしっかり落とすことが重要です。

また、目をこする癖がある方は、意識してやめるようにしましょう。目をこすると、まぶたの油腺の出口が傷ついたり、細菌が入り込みやすくなったりします。乾燥が気になる場合は、加湿器を使ったり、こまめに休憩を取ったりして、目を休ませることも大切です。

霰粒腫になりやすい方は、マイボーム腺の機能を助けるために、温かいタオルなどでまぶたを温める「温罨法」を日頃から行うのも効果的です。麦粒腫の予防には、手洗いをしっかり行うことが基本です。外出先から帰った時や、顔を触る前には、石鹸で丁寧に手を洗いましょう。

  1. まぶたを清潔に保つ(アイメイクの丁寧なクレンジング)
  2. 目をこすらない
  3. 乾燥対策・目の休息
  4. (霰粒腫予防)温罨法
  5. (麦粒腫予防)手洗い

注意すべき合併症と早期受診の重要性

霰粒腫や麦粒腫は、ほとんどの場合、自然に治癒したり、適切な治療で改善したりしますが、まれに合併症を起こすこともあります。例えば、霰粒腫が非常に大きくなって、まぶたの動きを妨げたり、角膜を圧迫して視力に影響を与えたりすることがあります。また、麦粒腫で細菌感染が重症化すると、まぶた全体が腫れ上がったり、稀に脳にまで感染が広がる「眼窩(がんか)蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という重篤な状態になる可能性もゼロではありません。

これらの合併症を防ぐためにも、症状が出たら早めに眼科を受診することが非常に重要です。特に、以下のような場合は、迷わず医師の診察を受けましょう。

  • 痛みが強く、我慢できない
  • 腫れが急速に広がっていく
  • 発熱を伴う
  • 視力に影響が出ている、または異物感で目が開けにくい
  • 数日経っても症状が改善しない、むしろ悪化している

自己判断で市販薬を使ったり、様子を見すぎたりすると、かえって治療が遅れてしまうことがあります。専門医の正確な診断と適切な治療を受けることが、早期回復への一番の近道です。

症状 受診の目安
強い痛み・急速な腫れ すぐに
視力低下・開けにくさ すぐに
数日経っても改善しない 早めに

まとめ:霰粒腫と麦粒腫、正しく理解して健やかな目を!

霰粒腫と麦粒腫は、まぶたにできる「できもの」として似ていますが、その原因は「腺の詰まり」か「細菌感染」かという大きな違いがあります。見た目や痛みの有無、進行の速さなどを注意深く観察し、ご自身の症状を把握することが大切です。そして、もし症状が出た場合は、自己判断せず、速やかに眼科を受診し、専門医の診断と治療を受けることを強くお勧めします。

日頃からまぶたを清潔に保つ、目をこすらないなどの予防策を心がけることで、これらの「できもの」を繰り返してしまうリスクを減らすことができます。健やかな目を保つために、霰粒腫と麦粒腫の違いを理解し、適切なケアを実践していきましょう。

「霰粒腫と麦粒腫の違い」について、今回の記事でご理解いただけたでしょうか。どちらも早期発見・早期治療が大切です。もし気になる症状があれば、迷わず眼科医に相談してくださいね。

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