役員報酬と給与の違い、スッキリ解説!知っておきたい基本のキ!

「役員報酬」と「給与」、この二つの言葉、似ているようで実は大きく違うんです。今回は、この 役員報酬と給与の違い を、会社の経営者だけでなく、将来会社を経営したいと考えている皆さんにも分かりやすく解説していきますよ!

1. 役員報酬と給与、根本的な位置づけの違い

まず、一番大切なのは、誰が受け取るものか、という点です。給与というのは、会社で働く従業員、つまり「労働者」に対して支払われる対価です。皆さんが学校を卒業して会社に入ったときに、毎月もらうお給料がこれにあたります。一方、役員報酬は、会社の「経営を担う役員」に対して支払われる報酬のこと。役員は、会社の経営方針を決めたり、業務の指揮監督を行ったりする責任ある立場にあります。

このように、支払われる対象が従業員か役員かで、その性質が大きく変わってきます。 この違いを理解することが、税金や社会保険料の計算にも大きく影響するので、とっても重要なんです。

  • 給与 :従業員の労働に対する対価
  • 役員報酬 :役員の経営・監督業務に対する報酬

さらに、給与には労働基準法などの法律で最低賃金や労働時間などのルールが定められていますが、役員報酬には、そういった細かな労働法的な制約は原則としてありません。その代わりに、役員報酬の決定には、株主総会や取締役会といった会社の機関決定が関わってくることが一般的です。

役員報酬の決定プロセス

役員報酬は、誰でも勝手に決められるわけではありません。会社法などの法律に基づいて、正式な手続きを経て決定される必要があります。具体的には、以下のような流れで決められることが多いです。

  1. 株主総会での決議(特に大会社の場合) :会社の最高意思決定機関である株主総会で、役員報酬の総額や上限額などを決めることがあります。
  2. 取締役会での決議 :取締役会で、個々の役員の報酬額を具体的に決定します。
  3. 代表取締役による決定 :小規模な会社などでは、代表取締役が最終的な決定を行う場合もあります。

このようなプロセスを経ることで、役員報酬が客観的かつ公正に決定されることが期待されます。もし、この決定プロセスを無視して役員報酬を支払ってしまうと、税務調査で問題視される可能性も出てきます。

給与の決定プロセス

給与は、一般的に会社の就業規則や賃金規程に基づいて決定されます。これは、役員報酬と比べると、より従業員の労働内容や成果、会社の業績などを考慮して、人事考課などを通じて個別に決められることが多いのが特徴です。

項目 給与の決定要因
基本給 職務内容、経験、能力、学歴など
手当 通勤手当、住宅手当、家族手当など
賞与・インセンティブ 会社業績、個人業績など

会社によっては、組合との交渉によって給与水準が決まることもあります。給与は、従業員のモチベーション維持や生活の基盤となるものですから、明確で納得感のある決定プロセスが重要視されます。

税務上の取り扱い

役員報酬と給与では、税務上の取り扱いにも大きな違いがあります。まず、給与は従業員に支払われる給与所得として、会社は源泉徴収義務を負います。従業員は、支払われた給与から所得税や社会保険料が天引きされます。

一方、役員報酬は、会社の経費として認められるために、いくつかの厳しいルールがあります。特に、毎月同額を支払う「定期同額給与」という原則が重要です。これに反して、事業年度の途中で役員報酬を頻繁に変更したり、業績連動で変動させたりすると、税務上経費として認められない場合があります。

  • 給与 :従業員の所得税・社会保険料が源泉徴収される
  • 役員報酬 :定期同額給与などのルールを守る必要がある(守らないと経費にならない可能性)

また、役員報酬は、一定額を超えると社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)の計算基礎となる標準報酬月額の上限に影響を与えることがあります。これは、役員自身の社会保障だけでなく、会社が負担する社会保険料にも影響するため、注意が必要です。

社会保険料の計算

役員報酬と給与では、社会保険料の計算方法にも違いが生じます。給与の場合、毎月の給与額に基づいて社会保険料が決まります。一方、役員報酬も同様に、役員報酬月額によって社会保険料が決まりますが、役員報酬は「定期同額給与」の原則に基づいているため、毎月の変動が少ないのが一般的です。

しかし、役員報酬の金額によっては、社会保険料の負担が大きくなることもあります。特に、高額な役員報酬を設定している場合、健康保険料や厚生年金保険料の負担額もそれに比例して増加します。

役員報酬と給与を合わせると、従業員にとっても役員にとっても、社会保険料の負担は無視できない要素となります。会社の経営者としては、これらの社会保険料の負担も考慮して、報酬制度を設計する必要があります。

退職金との関係

役員報酬と給与は、退職金との関係でも異なってきます。従業員が退職する際に支払われる退職金は、一定の計算方法に基づいて支払われるのが一般的です。これには、勤続年数や役職、貢献度などが考慮されます。

一方、役員が退職する際に受け取る退職金は、「役員退職金」と呼ばれます。これは、役員としての功績に対する報酬という意味合いが強く、その金額は株主総会などで決定されることが多く、従業員の退職金とは異なる性質を持ちます。また、役員退職金は、税務上、一定の要件を満たせば、所得税の計算において退職所得控除が適用されるなど、有利な取り扱いを受けることができます。

このように、退職金という形で見ても、役員と従業員ではその制度や税務上の扱いが異なるのです。

さて、ここまで「役員報酬と給与の違い」について、その根本的な位置づけから税務、社会保険、退職金との関係まで、詳しく解説してきました。この違いをしっかりと理解することは、会社の経営者としてはもちろん、将来的に起業を考えている方にとっても、とても役立つ知識です。ご自身の状況に合わせて、賢く活用していきましょう!

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