「腺腫」と「ポリープ」、この二つの言葉、なんとなく似ているような気がしますよね。でも、実はそれぞれに意味があり、 腺腫 と ポリープ の 違い を理解することは、私たちの健康を守る上でとても大切なのです。
ポリープとは?その正体と種類
まず、ポリープとは、体の中の粘膜からきのこのように飛び出している、いわゆる「できもの」のことです。お腹の中だけでなく、鼻の中や喉、子宮など、体のいろいろな場所で見られます。ポリープ自体は、病気というよりは、粘膜の異常によってできる「症状」や「状態」を指す言葉なのです。
ポリープができる原因は様々ですが、炎症が続いたり、細胞の分裂がうまくいかなかったりすることが挙げられます。ポリープの種類もたくさんあり、その形や性質によって大きく分けられます。
- 腺腫性ポリープ(せんしゅせいポリープ): 腺腫(後述)がポリープの形になったものです。
- 過形成性ポリープ(かけいせいせいポリープ): 炎症などによって粘膜が増えすぎてできたもので、良性であることがほとんどです。
- 炎症性ポリープ(えんしょうせいポリープ): 潰瘍などが治る過程でできるポリープです。
ポリープは、その種類によっては将来的にがんになる可能性(悪性化)があるので、注意が必要なのです。
腺腫とは?もっと詳しく見てみよう
では、腺腫とは何でしょうか。腺腫は、体の「腺」という部分の細胞が異常に増殖してできる「腫瘍(しゅよう)」の一種です。腺とは、汗や消化液などを分泌する役割を持つ部分のこと。例えば、胃や腸、皮膚など、体のあちこちに腺があります。
腺腫は、細胞の増え方が少しおかしくなったもので、良性のものと悪性のもの(がん)があります。ポリープという言葉は「できもの」全般を指すのに対し、腺腫は「腺の細胞が増えてできた腫瘍」という、より具体的な組織学的な分類なのです。
腺腫 と ポリープ の 違い を理解する上で重要なのは、腺腫が「がんになる可能性のあるポリープ」であることが多いという点です。
腺腫には、以下のような種類があります。
- 腺管腺腫(せんかんせんしゅ): 腺管という管状の構造を保ったまま増殖するもの。
- 充実腺腫(じゅうじつせんしゅ): 腺管構造が失われ、細胞がぎっしりと詰まったように増殖するもの。
腺腫は、特に大腸にできるものが有名で、大腸ポリープの多くは腺腫性ポリープ(腺腫がポリープの形になったもの)と考えられています。そして、この大腸の腺腫が、時間をかけて大腸がんへと進行することが知られています。
腺腫とポリープの決定的な違い
ここまでで、なんとなく違いが見えてきたのではないでしょうか。 腺腫 と ポリープ の 違い は、わかりやすく言うと、「ポリープ」は「できものの形」、「腺腫」は「そのできものの組織の種類」と捉えることができます。
つまり、腺腫はポリープの一種であることが多いのですが、全てのポリープが腺腫というわけではないのです。例えば、炎症によってできたポリープは、腺腫ではありません。
このように、ポリープという言葉は、見た目や状態を表し、腺腫という言葉は、その組織の性質を表していると考えると、理解しやすいでしょう。
| 言葉 | 意味 | がんとの関係 |
|---|---|---|
| ポリープ | 粘膜から飛び出した「できもの」の形 | 種類によってはがんになる可能性あり |
| 腺腫 | 腺の細胞が異常に増殖した「腫瘍」 | がんになる可能性が高いものが多い |
なぜ「腺腫」に注目するのか?
私たちが「腺腫」という言葉に注目するのは、それが将来がんになる可能性を秘めているからです。特に大腸の腺腫は、発見されたら切除することが推奨されています。これは、早期に腺腫を取り除くことで、大腸がんを予防できるという考え方に基づいています。
腺腫ががんになるまでには、一般的に数年から十数年かかると言われています。この長い時間をかけて、腺腫の細胞が少しずつ変化し、悪性化していくのです。
つまり、検診などでポリープが見つかった場合、それが腺腫なのか、それとも良性のポリープなのかを正確に診断することが、がん予防への第一歩となります。
検査と診断の重要性
腺腫 と ポリープ の 違い を正確に知るためには、医師による専門的な検査が不可欠です。内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)は、体の内部を直接観察し、ポリープや腺腫を見つけるための最も一般的な方法です。
検査でポリープや腺腫が見つかった場合、その場で切除したり、組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べたりします。この組織検査(病理検査)によって、それが良性なのか、悪性なのか、そして腺腫なのかどうかを確定診断することができます。
定期的な健康診断や、気になる症状がある場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。早期発見・早期治療が、健康寿命を延ばす鍵となります。
まとめ:知っておくことで安心できること
「腺腫」と「ポリープ」の違いについて、ご理解いただけたでしょうか。ポリープは「できものの形」、腺腫は「腺の細胞が増えた腫瘍」というように、それぞれ意味が異なります。そして、腺腫はがんになる可能性のあるポリープの一種であることが多いのです。
この知識を持つことで、検診で「ポリープが見つかりました」と言われても、過度に心配しすぎず、医師の説明をしっかりと聞くことができます。また、自分自身の体の状態に関心を持つきっかけにもなるでしょう。
健康な毎日を送るために、そして万が一の病気に備えるために、これらの基本知識を身につけておくことは、きっとあなたの力になるはずです。
体のサインに耳を傾け、定期的な検査を心がけることで、病気の早期発見・早期治療につなげ、健やかな生活を送りましょう。