要 介護 3 と 2 の 違いを徹底解説!あなたにぴったりの支援を見つけよう

介護保険制度を利用する上で、ご自身の状態に合った「要介護度」を知ることはとても大切です。今回は、多くの方が迷いやすい「要介護3」と「要介護2」の違いに焦点を当て、それぞれの特徴や支援内容について分かりやすく解説します。この情報が、より適切な介護サービス選択の一助となれば幸いです。

要介護3と2、何が違うの?その核心に迫る

「要介護3」と「要介護2」の大きな違いは、日常生活を送る上での「介助の必要度」にあります。要介護2は、日常生活の一部に介助が必要な状態ですが、要介護3になると、より多くの動作で介助が必要となり、自立して生活することが困難になってきます。 この介助の必要度の差が、受けられるサービスの内容や量に大きく影響するのです。

  • 食事 :要介護2では、見守りや一部介助で済むことが多いですが、要介護3になると、食事の準備や食べさせる行為に介助が必要になるケースが増えます。
  • 入浴 :要介護2では、浴槽への出入りや身体を洗う動作に一部介助が必要な場合がありますが、要介護3では、浴槽への移動から身体を洗うまで、ほとんどの工程で介助が必要になります。
  • 排泄 :要介護2では、トイレへの移動や衣服の着脱に介助が必要な場合がありますが、要介護3では、排泄の準備、後始末、おむつ交換などに常時介助が必要となることが一般的です。

具体的に、認定調査で評価される項目には以下のようなものがあります。

  1. 身体機能
  2. 生活機能
  3. 認知症
  4. 精神・行動
  5. 社会性

これらの項目において、要介護3の方がより多くの項目で「常時介助が必要」と判断される傾向にあります。例えば、移動の際に手すりを使っても転倒の危険がある、あるいは自分で立ち上がることが難しいといった状況が、要介護3と認定される要因となり得ます。

要介護度別 介助の必要度(例)
項目 要介護2 要介護3
食事 一部介助、見守り 常時介助
入浴 一部介助 常時介助
排泄 一部介助 常時介助

「身体機能」における具体的な違い

身体機能の低下は、日常生活動作(ADL)に直接影響します。要介護2と要介護3では、この身体機能の低下の度合いに明確な違いが見られます。

要介護2の方でも、例えば杖や手すりを使って移動することは可能ですが、長距離の歩行や階段の上り下りには不安があるかもしれません。しかし、要介護3になると、家の中での移動すら困難になり、ベッドからの起き上がりや立ち上がりにも介助が必要になることが多くなります。 この「立ち上がり」や「歩行」といった基本的な動作が、ご自身でどの程度できるかが大きな分岐点となるのです。

具体的に、身体機能の評価では以下のような点が考慮されます。

  • 歩行能力 :一人で歩ける距離、歩行速度、ふらつきの有無など
  • 起立・着座能力 :椅子からの立ち上がり、座ることの難易度
  • 手の機能 :物をつかむ、持つ、操作するといった動作の難しさ

これらの能力が著しく低下し、日常生活のほとんどの場面で介助が不可欠となっている場合、要介護3と判定される可能性が高まります。例えば、ベッドから車椅子への移乗に支えが必要、あるいは見守りだけでは不安な場合などが該当します。

「食事」の介助、どこまで必要?

食事は日々の生活の基本ですが、要介護度によって必要な介助のレベルが大きく変わります。要介護2では、食事の準備や配膳、後片付けなどに一部介助が必要な場合や、食事中の見守りが必要な場合が多いでしょう。

一方、要介護3になると、ご自身で食器を持つことや、食べ物を口に運ぶといった動作に介助が必要になることが一般的です。食事の形態(刻み食やミキサー食など)の変更や、とろみの調整なども含め、専門的な知識に基づいた介助が求められることもあります。 安全に、そして栄養をしっかり摂れるようにするためのきめ細やかなサポートが、要介護3ではより重要になります。

食事に関する介助の例をまとめると以下のようになります。

  1. 準備 :食材のカット、調理、配膳
  2. 摂食 :食器の持ち方、食べ物の口への運搬、咀嚼・嚥下への配慮
  3. 後片付け :食器の片付け、口腔ケア

食事を「見守る」だけで済むのか、それとも「実際に食べさせる」という行為が必要になるのかが、要介護2と要介護3を分ける大きなポイントと言えます。

「入浴」の介助:自立度との関係

入浴は、身体を清潔に保つだけでなく、リフレッシュ効果も期待できる大切な行為です。要介護2の場合、浴槽への出入りや、身体を洗う動作に一部介助が必要な程度であることが多いです。例えば、洗面器を持ったり、背中を流したりといったサポートがあれば、ご自身で入浴できるケースも少なくありません。

しかし、要介護3になると、浴槽への移動自体が難しくなり、転倒のリスクも高まります。そのため、浴室の出入り、衣服の着脱、身体を洗うといった一連の動作すべてに介助が必要となることがほとんどです。 介助者の有無によって、安全に入浴できるかどうかが大きく左右されるのが、要介護3の特徴です。

入浴介助における具体的なサポート内容:

  • 移動介助 :浴室までの移動、浴槽への出入り
  • 身体洗浄 :背中、足などの手が届きにくい部分を洗う
  • 安全確保 :滑りやすい浴室での転倒防止、温度調整

ご自身で身体を清潔に保つことが難しくなり、専門的な介助なしでは入浴が不可能になる、という点が要介護3への移行で現れる顕著な変化と言えるでしょう。

「排泄」の介助:プライバシーと尊厳を守るために

排泄の介助は、身体的な負担だけでなく、精神的な負担も大きいものです。要介護2では、トイレへの移動や衣服の着脱に一部介助が必要な場合や、尿意・便意の訴えが難しいといった状態が考えられます。

対して、要介護3になると、ご自身でトイレに行くことが困難になり、おむつを使用したり、ポータブルトイレを利用したりすることが一般的になります。排泄の準備、後始末、おむつ交換といった一連の行為に、常時介助が必要となります。 ご本人の尊厳を守りながら、清潔を保つためのきめ細やかな介助が、要介護3では不可欠です。

排泄介助におけるポイント:

  1. タイミングの把握 :排泄のサインを察知し、適切なタイミングで介助を行う
  2. 清潔の保持 :排泄物の処理、皮膚の清潔を保つ
  3. コミュニケーション :ご本人の意思を尊重し、安心感を与える

ご自身で排泄をコントロールすることが難しくなり、他者の介助なしには排泄を完了できない、という状況は、要介護3の重要な特徴の一つです。

「認知症」の影響とその度合い

認知症の症状は、要介護度にも大きく影響します。要介護2の方でも、物忘れがひどくなったり、日付や曜日が分からなくなったりすることがありますが、日常生活の大部分はご自身でこなせる場合が多いでしょう。

しかし、要介護3になると、認知症の症状がより顕著になり、徘徊や興奮、妄想といった行動が見られることがあります。そのため、日常生活の管理だけでなく、安全確保のための見守りや、精神的なサポートもより重要になってきます。 ご本人の安全を守り、穏やかに過ごせるようにするための専門的なアプローチが、要介護3では求められます。

認知症における症状の例:

  • 記憶障害 :短期記憶の低下、同じことを繰り返し話す
  • 見当識障害 :時間、場所、人が分からなくなる
  • BPSD(行動・心理症状) :徘徊、幻覚、妄想、攻撃的言動など

これらの症状が日常生活に支障をきたし、見守りや専門的な関わりが常時必要となる場合、要介護3と判定されることがあります。

「コミュニケーション」や「社会性」の変化

日頃から人との関わりを持つことは、心身の健康維持に大切です。要介護2の方でも、言葉での意思疎通はある程度可能で、簡単な会話を楽しむことができるでしょう。しかし、疲労などから集中力が続かなかったり、伝えたいことをうまく言葉にできなかったりすることもあります。

要介護3になると、コミュニケーション能力の低下がより顕著になることがあります。言葉での意思疎通が難しくなり、ジェスチャーや表情でしか意思を伝えられなくなったり、対人関係を築くことが困難になったりすることもあります。 ご本人が孤立しないように、周囲が積極的に関わり、安心できる環境を作ることが、要介護3では特に大切になります。

コミュニケーションにおける変化:

  1. 言語能力 :言葉が出てこない、話すスピードが遅くなる
  2. 理解力 :言っていることが理解できない、話が通じない
  3. 感情表現 :喜怒哀楽をうまく表せない、感情の起伏が激しくなる

人との関わりを以前のように楽しむことが難しくなり、生活への意欲が低下しやすいことも、要介護3で見られる傾向です。

要介護3と2の違いは、単に介助が必要な動作の数が増えるだけでなく、ご本人の心身の状態や、生活の質に大きく関わる部分です。ご自身の状況やご家族の状況に合わせて、最適な介護サービスを選び、より豊かな毎日を送れるよう、この情報を活用していただけたら嬉しいです。

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