派遣 と 請負 の 違い わかりやすく!知っておきたい労働形態の基本

「派遣」と「請負」、これらの言葉を聞いたことはありますか? 就職活動をしている人や、仕事を探している人にとって、これらの労働形態の違いを理解することはとても大切です。今回は、そんな「派遣 と 請負 の 違い わかりやすく」解説していきますね。それぞれの特徴を知ることで、自分に合った働き方を見つけやすくなりますよ。

派遣と請負、根本的な違いは「指揮命令」にあり!

まず、一番大事な違いは「誰の指示を受けて働くか」という点です。派遣の場合は、派遣会社から派遣されてきた先(派遣先企業)の指示を受けて働きます。つまり、日々の業務の指示や管理は、派遣先の担当者が行うのです。一方、請負の場合は、請負会社が仕事全体を請け負い、その請負会社から指示を受けて働きます。派遣先企業は、請負会社に対して「この仕事を完成させてください」と依頼するだけで、個々の作業員に直接指示を出すことはありません。 この指揮命令系統の違いが、派遣と請負を分ける一番のポイントと言えるでしょう。

具体的に見てみましょう。

  • 派遣の場合 :Aさん(派遣社員)は、B社(派遣先企業)の指示で、パソコン入力の仕事をします。B社の担当者から「このデータ、明日までにまとめておいてね」と指示されるのが一般的です。
  • 請負の場合 :Cさん(請負会社の社員)は、D社(依頼主)から「ウェブサイトを制作してほしい」と依頼された、E社(請負会社)の指示で働きます。D社はE社に「サイトのデザインはこうしてね」と指示しますが、Cさんに直接「このボタンの色を変えて」などと指示することはありません。

この違いは、働く上での自由度や責任の所在にも影響してきます。派遣は、派遣先の指示に従うため、ある程度決まった業務をこなすことが多いですが、請負は、請負会社が責任を持って仕事を進めるため、より専門的なスキルや、プロジェクト全体を見る力が求められることもあります。

項目 派遣 請負
指揮命令 派遣先企業 請負会社
給与 派遣会社から 請負会社から
責任 派遣社員は指示された範囲、派遣会社は契約 請負会社が仕事全体に責任

派遣のメリット・デメリットを掘り下げる

派遣の働き方には、いくつかのメリットとデメリットがあります。まずメリットとしては、 未経験の職種に挑戦しやすい という点が挙げられます。派遣会社が求人情報を集めてきてくれるので、自分の希望に合った仕事を見つけやすいですし、比較的短期間で様々な仕事を経験できることも魅力です。また、給与や休暇などの労働条件も、派遣会社と契約するため、ある程度安定していることが多いです。

一方、デメリットとしては、 契約期間が決まっている 場合が多いということが挙げられます。長期で働きたいと思っていても、契約期間が満了すると、また次の仕事を探す必要が出てくるかもしれません。また、派遣先企業との関係性によっては、正社員に比べて立場が弱くなるように感じてしまうこともあるかもしれません。

派遣の働き方をまとめると、以下のようになります。

  1. 多様な職種・企業を経験できる
  2. 未経験でも始めやすい求人が多い
  3. 契約期間が決まっている場合がある
  4. 派遣会社との雇用契約になる

派遣の求人を探す際は、契約期間や更新の有無などをしっかりと確認することが大切です。

請負のメリット・デメリットを掘り下げる

請負の働き方も、派遣とは異なる特徴を持っています。請負の大きなメリットは、 一つのプロジェクトや業務に集中して取り組める ことです。請負会社が仕事全体を責任持って進めるため、その一員として専門性を高めたり、やりがいを感じたりすることができます。また、請負会社との直接雇用になるため、会社によっては長期的なキャリア形成を目指しやすいという側面もあります。

デメリットとしては、 仕事の進め方や成果について、請負会社が責任を負う ため、個々の担当者にプレッシャーがかかる場合があることが挙げられます。また、派遣に比べて、未経験で新しい職種に挑戦するのが難しいケースもあります。請負の仕事は、ある程度の専門知識やスキルが求められることが多いからです。

請負の働き方のポイントは以下の通りです。

  • 仕事の専門性が高い場合が多い
  • プロジェクト全体に貢献できる
  • 請負会社との雇用契約
  • 成果に対する責任が伴う

請負の仕事に応募する際は、どのようなプロジェクトに関わるのか、どのようなスキルが求められるのかをしっかり理解しておくことが重要です。

指揮命令系統の違いをさらに詳しく

先ほども触れましたが、派遣と請負の最も重要な違いは、誰が「指揮命令」をするかです。派遣の場合、派遣先企業が業務の指示や進捗管理を行います。これは、派遣社員が派遣先企業の指示を受けて、その職場で働くためです。

一方、請負の場合は、請負会社が請け負った業務全体に対する責任を持ち、その会社の指示系統で作業が進められます。依頼主(発注元)は、請負会社に対して「この成果物を期日までに納品してください」と依頼するだけで、現場で働く作業員に直接指示を出すことは、法律で禁止されています。これを「偽装請負」と言い、問題になることがあります。

この指揮命令系統の違いは、以下のような図で表すことができます。

派遣

派遣会社

派遣社員

(派遣先企業からの指示を受ける)

請負

依頼主

請負会社

請負社員

この違いを理解することで、自分がどのような立場で仕事をするのか、より明確にイメージできるようになります。

労働者と企業の責任範囲の違い

指揮命令系統の違いは、そのまま責任の範囲の違いにもつながります。派遣の場合、派遣社員は派遣先企業の指示に従って業務を行います。業務上のミスがあった場合、その状況によりますが、派遣会社と派遣先企業で責任の所在が話し合われることになります。派遣社員自身は、指示された範囲で誠実に業務を遂行することが求められます。

請負の場合は、仕事の成果物に対する責任は、請負会社が負います。請負会社は、依頼主に対して「この仕事を期日までに、この品質で完成させる」という契約を結びます。そのため、請負会社は、自社の社員(請負社員)に指示を出し、プロジェクトを管理し、最終的な成果に責任を持つことになります。

責任範囲をまとめると、以下のようになります。

  • 派遣 :個人(派遣社員)は指示された業務の遂行、会社(派遣会社・派遣先企業)は契約内容と指揮命令の履行
  • 請負 :請負会社が仕事全体の成果に対して責任を負う

この責任範囲の違いは、仕事の進め方や、万が一トラブルがあった際の対応にも影響します。

雇用契約と就業契約の違い

派遣と請負では、雇用契約を結ぶ相手が異なります。派遣の場合、あなたは 派遣会社と雇用契約を結びます 。給与の支払い、社会保険の手続き、有給休暇の付与などは、すべて派遣会社が行います。そして、派遣会社は、あなたを派遣先企業に派遣し、派遣先企業はあなたに業務の指示を出します。

一方、請負の場合は、あなたは 請負会社と雇用契約を結びます 。請負会社は、依頼主から仕事を受注し、その仕事の一部または全部を自社の社員に担当させます。この場合、あなたは請負会社の指示を受けて、請け負った業務に従事することになります。

契約関係を整理すると、以下のようになります。

  1. 派遣 :①派遣社員 ⇔ ②派遣会社(雇用契約) ②派遣会社 ⇔ ③派遣先企業(業務委託契約・労働者派遣契約)
  2. 請負 :①請負社員 ⇔ ②請負会社(雇用契約) ②請負会社 ⇔ ③依頼主(請負契約)

このように、誰と契約を結ぶのかという点は、両者の大きな違いの一つです。

キャリアパスの考え方

派遣と請負では、キャリアパスの考え方も変わってきます。派遣は、先述したように、比較的短期間で様々な職種や企業を経験できるというメリットがあります。これは、自分の適性を見つけたり、スキルアップにつながる経験を積んだりする上で有効な手段となり得ます。将来的には、派遣先企業での直接雇用を目指したり、派遣会社でのコーディネーター職を目指したりする道も考えられます。

請負の場合は、一つの分野で専門性を深めていくキャリアパスが一般的です。請負会社が特定の分野に特化している場合、そこで長年経験を積むことで、その分野のプロフェッショナルになることが期待できます。また、プロジェクトマネジメントのスキルを身につけて、より責任のある立場を目指すことも可能です。請負会社によっては、社員のスキルアップを支援する制度が整っている場合もあります。

キャリアパスを考える上でのポイントは以下の通りです。

  • 派遣 :経験の多様性、適性発見、直接雇用の可能性
  • 請負 :専門性の深化、プロフェッショナル育成、プロジェクトマネジメント

どちらの働き方が自分の将来の目標に合っているのか、じっくり考えてみましょう。

いかがでしたでしょうか。「派遣 と 請負 の 違い わかりやすく」というテーマで、それぞれの特徴を解説しました。どちらの働き方が良い、悪いということはなく、それぞれにメリット・デメリットがあります。ご自身の希望する働き方やキャリアプランに合わせて、最適な方を選んでくださいね。

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