接骨 院 と 整形 外科 の 違い、あなたはどちらを選ぶ?

「なんだか体の調子が悪いな」「ケガをしてしまったかも」と思ったとき、まず思い浮かぶのは「接骨院」か「整形外科」ではないでしょうか。この二つ、似ているようで実は専門性や得意とする分野が異なります。ここでは、接骨院と整形外科の違いを分かりやすく解説し、あなたの症状に合った方を選ぶためのお手伝いをします。

それぞれの専門性と得意分野

接骨院と整形外科の最も大きな違いは、その専門性と治療法にあります。接骨院は、柔道整復師という国家資格を持った専門家が、主に骨折、脱臼、捻挫、打撲といった「外傷」に対して、保存療法(手術をしない治療法)を中心に行います。温めたり、電気をかけたり、手で筋肉や骨を整えたりといった手技療法が中心になります。

一方、整形外科は、医師免許を持った医師が、骨や関節、筋肉、神経などの運動器系の病気や怪我全般を診察・治療します。接骨院で対応できる外傷はもちろんのこと、レントゲンなどの画像診断機器を使った詳しい検査、薬による治療、リハビリテーション、そして必要であれば手術も行います。

つまり、 どちらを選ぶかは、あなたの症状の性質と、どのような治療を望むかによって決まります。

  • 接骨院が得意なこと:
    • 急性の外傷(捻挫、打撲、肉離れなど)
    • 慢性的な肩こりや腰痛(原因が明確な場合)
    • 保険適用で手軽に受けられる施術
  • 整形外科が得意なこと:
    1. 骨折、脱臼などの診断と初期対応
    2. レントゲンやMRIによる精密検査
    3. 薬物療法や注射
    4. 手術が必要な場合
    5. リハビリテーション

保険適用の違い

接骨院と整形外科では、保険の適用範囲にも違いがあります。接骨院で保険が適用されるのは、原則として「急性の外傷」で、原因がはっきりしているものに限られます。例えば、スポーツでの捻挫や、日常生活での転倒による打撲などです。

慢性的な肩こりや長年の腰痛など、原因が特定できないものや、疲労によるものと判断された場合は、健康保険が適用されないことがあります。そのため、施術を受ける前に、接骨院の先生に保険適用について確認することが大切です。

一方、整形外科では、医師の判断に基づいて、骨折や脱臼などの外傷はもちろん、変形性関節症のような慢性疾患、骨粗しょう症、関節リウマチなど、幅広い疾患に対して健康保険が適用されます。

保険適用の主な違い
施設 保険適用範囲(例)
接骨院 急性の捻挫、打撲、肉離れなど(原因が明確なもの)
整形外科 骨折、脱臼、捻挫、打撲、慢性疾患、変形性関節症など(医師の診断に基づく)

診断と検査方法

症状の原因を特定するための診断や検査方法にも違いがあります。整形外科では、医師が問診や触診を行った後、レントゲン、CT、MRIなどの高度な画像診断機器を用いて、骨や関節の状態を詳しく調べることができます。これにより、骨折の有無や、関節の損傷具合、靭帯の断裂などを正確に診断することが可能です。

また、血液検査や神経伝達速度検査など、幅広い検査を行うことができます。これらの精密な検査結果に基づいて、的確な診断と治療方針が立てられます。

接骨院では、柔道整復師の専門知識と経験に基づいた手技や触診によって、外傷の程度を判断します。しかし、レントゲンなどの画像診断機器は備えていないため、骨折などの疑いが強い場合は、整形外科の受診を勧められることがあります。

  • 整形外科での主な検査:
    1. レントゲン検査
    2. CT検査
    3. MRI検査
    4. 超音波検査
    5. 血液検査
    6. 神経学的検査
  • 接骨院での主な判断方法:
    • 問診
    • 触診
    • 徒手検査(関節の動きなどを確認)

治療内容とアプローチ

治療内容についても、それぞれの専門性を活かしたアプローチが取られます。整形外科では、薬物療法(痛み止めや炎症を抑える薬)、注射、物理療法(温熱療法、電気療法など)、そして必要に応じて手術を行います。また、運動機能の回復を目指すリハビリテーションも重要な治療の一環です。

医師は、患者さんの症状や病状に合わせて、これらの治療法を組み合わせて行います。例えば、骨折した場合は、ギプスで固定し、骨の癒合を待ち、その後リハビリで機能回復を目指します。

一方、接骨院では、柔道整復師による手技療法(整復、固定、後療法)が中心となります。具体的には、患部を温めたり冷やしたり、手で筋肉の緊張を和らげたり、関節の動きを改善させたりします。また、テーピングや包帯による固定、電気療法なども行われます。

  • 整形外科の主な治療法:
  • 薬物療法
  • 注射療法
  • 物理療法
  • 手術
  • リハビリテーション

施術者の資格と専門性

施術者の資格と専門性も、接骨院と整形外科を分ける重要なポイントです。整形外科には、医師免許を持つ医師が在籍しています。医師は、医学部を卒業し、医師国家試験に合格した、国家資格を有する医療専門家です。

医師は、人体の構造や機能、病気に関する深い知識を持っており、診断から治療、手術まで、幅広い医療行為を行うことができます。

一方、接骨院には、柔道整復師という国家資格を持つ専門家がいます。柔道整復師は、柔道整復術という、骨折、脱臼、捻挫、打撲などの外傷に対して、手術をせずに整復・固定・後療法を行う専門的な技術を持っています。

施術者の資格
施設 主な施術者 資格
接骨院 柔道整復師 国家資格
整形外科 医師 医師免許(国家資格)

受診の流れと通いやすさ

受診の流れや通いやすさも、それぞれの特徴として挙げられます。整形外科を受診する場合、基本的には保険証を持参し、直接病院へ行きます。紹介状がなくても受診できますが、大きな病院や専門性の高い科では、かかりつけ医からの紹介状があるとスムーズな場合もあります。

待ち時間が長くなることもありますが、総合的な医療サービスを受けられるのが整形外科のメリットです。

接骨院は、予約制のところも多く、比較的待ち時間が少ない傾向があります。また、保険適用範囲内であれば、窓口負担も少なく、気軽に通いやすいという特徴があります。

  • 受診のポイント:
    1. 急な強い痛みや、骨折・脱臼が疑われる場合: まずは整形外科を受診しましょう。
    2. 捻挫や打撲などの比較的軽度な外傷で、早期の痛みの緩和や回復を目指したい場合: 接骨院も選択肢になります。
    3. 慢性的な肩こりや腰痛で、原因がはっきりしない場合: 整形外科で原因を特定してもらうのがおすすめです。
    4. リハビリテーションが必要な場合: 整形外科や、提携しているリハビリ施設での治療が中心となります。

最終的に、どちらの施設を選ぶかは、ご自身の症状や状況、そして何を優先したいかで決まります。不安な場合は、まずは整形外科で正確な診断を受けることをお勧めします。

接骨院と整形外科、それぞれの違いを理解することで、あなたの症状に合った最適なケアを見つけることができるはずです。ご自身の体に合った選択をして、健やかな毎日を送りましょう。

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