パステル と クレヨン の 違いを徹底解説!混同しやすい画材の秘密

「パステル」と「クレヨン」、どちらも色鉛筆のように紙に色を塗る画材ですが、実はその違いは意外と大きいんです。今回は、パステルとクレヨンの違いを詳しく解説し、それぞれの特徴や使い分けについて、分かりやすくご紹介します。この違いを知ることで、あなたの表現の幅がぐっと広がるはずですよ!

素材と製造方法から見るパステルとクレヨンの違い

パステルとクレヨンの最も大きな違いは、その素材と製造方法にあります。パステルは、顔料を少量の糊剤で固めて作られています。そのため、粉っぽく、触ると指に色がつきやすいのが特徴です。一方、クレヨンは、顔料にワックス(蝋)を混ぜて固めて作られています。このワックスが、パステルとは異なる独特の描き心地を生み出しているのです。

この素材の違いは、作品の仕上がりにも大きく影響します。パステルは、重ね塗りがしやすく、ぼかしやすいので、ふんわりとした柔らかな表現が得意です。グラデーションも美しく表現できるため、風景画や人物画などで、空気感や質感を出すのに適しています。 この「粉っぽさ」と「ぼかしやすさ」こそが、パステルの最大の魅力と言えるでしょう。

クレヨンは、ワックスのおかげで紙にしっかりと定着し、比較的乾いたタッチで描くことができます。重ね塗りも可能ですが、パステルのように簡単にはぼかせません。そのため、くっきりとした線や、力強い表現に向いています。

  • パステル: 顔料 + 少量の糊剤 → 粉っぽい、ぼかしやすい、柔らかな表現
  • クレヨン: 顔料 + ワックス → なめらか、定着しやすい、くっきりした表現

発色と表現力の違い

パステルとクレヨンでは、発色や表現力にも違いが見られます。パステルは、顔料そのものの色をそのまま活かせるため、非常に鮮やかで、絵の具のような深みのある発色をします。また、指や綿棒、パステル用の道具などを使って自由にぼかすことができるため、繊細な色の変化やグラデーションを表現するのに最適です。

例えば、空のグラデーションを描きたい場合、パステルなら淡い色から濃い色へと、自然に色が移り変わる様子を delicate に表現できます。また、光の当たり具合による色の変化なども、パステルなら繊細に描き分けることが可能です。

一方、クレヨンは、ワックスの性質上、パステルほど顔料の純粋な発色をそのまま出すのが難しい場合があります。しかし、その独特のテクスチャーが、素朴で温かみのある表現を生み出します。クレヨンで描くことで、力強いタッチや、子供のような自由な線で描かれたような、親しみやすい雰囲気の作品に仕上がることが多いです。

表現の幅という点では、パステルはより多様な技法に対応できます。

  1. 重ね塗り
  2. ぼかし
  3. 削り
  4. 擦り
これらの技法を組み合わせることで、絵画のような豊かな表現が可能になります。

耐久性と定着性の違い

パステルは、素材が粉状であるため、完成した作品は摩擦に弱く、色落ちしやすいという特性があります。そのため、作品を保護するために、フィキサチーフ(定着剤)をスプレーしたり、額装する際には、パステルが紙に触れないような工夫が必要です。このデリケートさが、パステルの「儚さ」や「絵画らしさ」を際立たせるとも言えるでしょう。

対してクレヨンは、ワックスによって紙にしっかりと定着するため、パステルに比べて摩擦に強く、色落ちしにくいという利点があります。そのため、子供の描いた絵など、比較的ラフに扱われる作品にはクレヨンが向いている場合が多いです。また、ワックスのおかげで、光沢感のある仕上がりになることもあります。

画材 耐久性 定着性
パステル 弱い 弱い
クレヨン 強い 強い

扱いやすさと描画感の違い

パステルは、指で直接触って色を伸ばしたりぼかしたりできるため、直感的な操作で描くことができます。絵の具のような感覚で、絵を描くプロセスそのものを楽しみたい人にはおすすめです。ただし、粉が舞いやすいので、換気をしっかり行ったり、マスクを着用したりするなどの注意も必要です。

クレヨンは、握りやすく、紙に直接描くため、手軽に使い始めることができます。特に小さなお子さんでも扱いやすいのが特徴です。描画感は、パステルに比べて滑らかで、紙の上を軽やかに滑るような感覚です。力加減で線の太さや濃淡を調整しやすいのも、クレヨンの魅力です。

水溶性の有無とその影響

パステルには、「ソフトパステル」と「オイルパステル」があり、それぞれ水溶性の有無が異なります。ソフトパステルは、水に溶けにくく、乾いた状態で描きます。一方、オイルパステルは、ワックス分が多く含まれており、水に溶けにくいものの、溶剤(ペトロールなど)を使うことでぼかしたり、絵の具のように使ったりすることができます。

クレヨンは、基本的に水に溶けません。そのため、水でぼかすといった技法は使えませんが、その代わりに、油絵のような質感や、独特の重厚感を表現することも可能です。

  • ソフトパステル: 水に溶けにくい、粉っぽくぼかしやすい
  • オイルパステル: 水に溶けにくいが、溶剤でぼかし可能
  • クレヨン: 水に溶けない、ワックスの光沢感

保存方法と適した用途の違い

パステルは、前述の通り摩擦に弱いため、完成後はフィキサチーフをかけ、額装するなどの丁寧な保存が必要です。そのため、完成した作品を長期保存したい場合や、美術館に展示するような作品制作には、パステルが適しています。また、その発色の良さとぼかしやすさから、繊細な表現が求められるイラストや絵画制作に多く用いられます。

クレヨンは、比較的丈夫なので、子供の落書きや、手軽に絵を楽しみたい場合に最適です。また、その鮮やかな発色と、独特のタッチを活かして、ポップなイラストや、子供向けの絵本などの制作にもよく使われます。油絵のような厚みや質感を表現したい時にも、クレヨンは一つの選択肢となります。

用途をまとめると、以下のようになります。

  1. パステル: 本格的な絵画、繊細な表現、風景画、人物画
  2. クレヨン: 子供の絵、手軽なイラスト、ポップな表現、素朴なタッチ
もちろん、これらはあくまで一般的な例であり、アーティストの技術次第で、どちらの画材でも無限の表現が可能です。

パステルとクレヨンの違いは、素材、発色、耐久性、扱いやすさなど、多岐にわたります。それぞれの特徴を理解し、描きたいものや表現したいイメージに合わせて画材を選ぶことが、より豊かな作品制作への第一歩です。ぜひ、この違いを参考に、色々な表現に挑戦してみてくださいね!

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