肺気腫 と 肺 気胸 の 違いを分かりやすく解説!症状や原因、治療法まで

「肺気腫(はいきしゅ)」と「肺気胸(はいききょう)」、どちらも肺に関わる病気ですが、そのメカニズムと影響は大きく異なります。 肺気腫 と 肺 気胸 の 違い を理解することは、それぞれの病気を正しく把握し、適切な対応をとる上で非常に重要です。

肺気腫:肺の「しぼみ」と「弾力低下」

肺気腫は、肺の中にある「肺胞」という小さな袋が壊れてしまう病気です。肺胞は、私たちが息を吸うときに酸素を取り込み、吐くときに二酸化炭素を外に出すための、いわば「空気の交換所」のような役割をしています。肺気腫になると、この肺胞が壊れてしまい、本来持っている弾力性を失ってしまいます。まるで、風船が古くなってしぼみやすくなってしまうようなイメージです。

この肺胞の破壊と弾力性の低下によって、空気を十分に吸い込んだり、吐き出したりすることが難しくなります。特に、息を吐き出すときに肺胞がしぼんでしまい、空気が通りにくくなるのです。この状態が続くと、肺の中に古い空気が溜まりやすくなり、息切れや咳といった症状が現れます。

肺気腫の主な原因は、長年の喫煙です。タバコの煙に含まれる有害物質が肺胞を傷つけ、徐々に破壊していきます。その他にも、大気汚染や粉塵などを吸い込むことも原因となることがあります。

  • 原因
    • 長期の喫煙(最も多い)
    • 大気汚染
    • 粉塵の吸入
  • 主な症状
    • 息切れ(特に体を動かしたとき)
    • 慢性的な咳
    • 痰(たん)

肺気胸:肺に「穴」が開く?

一方、肺気胸は、肺に穴が開いてしまい、肺がしぼんでしまう病気です。肺は、胸の中の「胸膜腔(むねまくくう)」という空間に、真空パックのようにぴったりと張り付いています。しかし、肺気胸になると、この胸膜腔に空気が入り込んでしまい、肺が押されてしぼんでしまうのです。まるで、風船が破れて空気が抜けてしまうような状態です。

肺気胸には、大きく分けて「自然気胸」と「外傷性気胸」があります。自然気胸は、特に原因がはっきりしないのに突然起こるもので、若い痩せ型の男性に多い傾向があります。外傷性気胸は、交通事故などで胸を強く打った場合や、医療行為(例えば、気管支鏡検査など)が原因で起こることがあります。

肺気胸の症状は、突然現れることが多く、突然の胸の痛みや息切れが代表的です。 場合によっては、血の混じった痰が出たり、脈が速くなったりすることもあります。症状の程度は、肺がどれくらいしぼんでしまうかによって大きく変わります。

病名 主なメカニズム 主な原因
肺気腫 肺胞の破壊と弾力性の低下 長年の喫煙
肺気胸 胸膜腔に空気が入り、肺がしぼむ 自然発生、外傷、医療行為

肺気腫の進行と治療

肺気腫は、一度壊れてしまった肺胞は元に戻らないため、残念ながら完治は難しい病気です。しかし、病気の進行を遅らせたり、症状を和らげたりするための治療はあります。

  1. 禁煙 :これが最も重要です。喫煙を続けると、肺へのダメージがさらに進んでしまいます。
  2. 薬物療法 :気管支を広げて息を楽にする薬や、痰を出しやすくする薬などが使われます。
  3. 呼吸リハビリテーション :正しい呼吸法を学んだり、体力維持のための運動を行ったりすることで、息切れを改善します。
  4. 在宅酸素療法 :重症の場合、自宅で酸素を吸入することで、日常生活を送りやすくします。

肺気腫の患者さんは、風邪などをひくと症状が悪化しやすいので、注意が必要です。

肺気胸の診断と処置

肺気胸になった場合、まずは病気の程度を診断するために、レントゲン検査などが行われます。軽度であれば、自然に空気が抜けて治ることもありますが、多くの場合、治療が必要になります。

  • 胸腔ドレナージ :胸に細い管(チューブ)を入れて、胸膜腔に入り込んだ空気を外に逃がします。これにより、しぼんだ肺が再び膨らむのを助けます。
  • 安静 :症状が軽い場合は、安静にすることで自然に治ることもあります。
  • 手術 :再発を繰り返す場合や、重症の場合は、手術で肺に穴が開いた部分を塞ぐこともあります。

治療後は、しばらくの間、激しい運動や長時間の飛行機旅行などを控える必要があります。

生活習慣と予防

肺気腫と肺気胸、それぞれ原因やメカニズムは違いますが、どちらも肺の健康に関わる大切な病気です。特に、肺気腫は長年の生活習慣が大きく影響します。タバコを吸っている方は、今すぐにでも禁煙を始めることが、肺を守るための最善の方法です。

また、肺気胸の予防としては、転倒や事故に注意し、胸に大きな衝撃を受けないようにすることが大切です。特に、スポーツなどをしている方は、無理のない範囲で活動することが重要です。

まとめ

「肺気腫」は肺胞が壊れて弾力を失う病気、「肺気胸」は肺に穴が開いてしぼむ病気、という点が 肺気腫 と 肺 気胸 の 違い の最も大きなポイントです。どちらも息切れや胸の痛みを引き起こすことがありますが、原因や治療法は異なります。

これらの病気について正しく理解し、気になる症状がある場合は、早めに医師に相談することが大切です。肺の健康を守るために、日頃から健康的な生活習慣を心がけましょう。

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