「要支援」と「要介護」、この二つの言葉、介護保険サービスを利用する上でとても大切ですが、具体的にどう違うのか、迷ってしまうこともありますよね。今回は、この 「要支援」と「要介護」の違い を、分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
「要支援」と「要介護」の基本的な違い
まず、一番大切なのは、どちらも「日常生活を送る上で、何らかの支援や介護が必要な状態」を指す言葉だということです。しかし、その「必要とされる支援の度合い」に大きな違いがあります。要支援は、比較的軽度な支援で済む状態を指し、要介護は、より専門的で手厚い介護が必要な状態を指します。
この違いを理解することは、適切な介護サービスを受けるために非常に重要です。なぜなら、利用できるサービスの種類や、負担する金額が変わってくるからです。まるで、風邪の時と肺炎の時で、もらうお薬や治療法が違うのと同じように、支援の度合いによって、提供されるサポートも変わってきます。
具体的には、以下のような点で違いが見られます。
- 日常生活の動作： 食事や入浴、排泄などの日常生活動作（ADL）について、どの程度自分でできるか。
- 身体能力： 立ち上がる、歩く、腕を上げるなどの身体的な動きがどの程度困難か。
- 認知機能： 物忘れや判断力、意欲などの認知機能の低下がどの程度あるか。
認定の仕組みと基準
「要支援」か「要介護」かは、市の職員や委託されたケアマネージャーなどが、ご自宅を訪問して聞き取り調査や、医師の意見書などを元に、専門家が審査して決定します。この審査では、いくつかの段階が設けられており、その基準によって、どちらに該当するかが決まります。
認定の基準は、大きく分けて「身体機能」と「生活機能」の二つから評価されます。身体機能では、歩行や起居動作、両手の動作などが評価され、生活機能では、認知症の状況や、人とのコミュニケーションなどが評価されます。
この審査結果によって、利用できる介護保険サービスの内容が大きく変わってくるため、ご自身の状態を正確に伝えることが大切です。
「要支援」で受けられるサービス
「要支援」と認定された方は、日常生活のちょっとした困りごとを軽減し、自立した生活を長く続けられるようにするための支援が中心となります。具体的には、以下のようなサービスが利用できます。
- 介護予防訪問介護： 自宅に訪問して、掃除、洗濯、調理などの家事や、安否確認、薬の受け取りなどの生活援助を受けられます。
- 介護予防通所介護（デイサービス）： デイサービスセンターなどで、食事や入浴の介助、レクリエーションや体操などを通じて、心身機能の維持・向上を目指します。
- 介護予防福祉用具貸与： 歩行器や手すり、ポータブルトイレなどの福祉用具を借りて、自宅での生活を便利に、安全にします。
「要介護」で受けられるサービス
「要介護」と認定された方は、より手厚く、専門的な介護が必要な状態です。そのため、利用できるサービスの種類も幅広くなり、介護の専門家による直接的な介助が中心となります。例えば、以下のようなサービスがあります。
| サービスの種類 | 内容 |
|---|---|
| 訪問介護 | 身体介護（食事介助、入浴介助、排泄介助など）や生活援助（掃除、洗濯、調理など）を自宅で受けられます。 |
| 通所介護（デイサービス） | 日帰りで施設に通い、食事や入浴の介助、リハビリテーション、レクリエーションなどを利用できます。 |
| 短期入所生活介護（ショートステイ） | 数日から数週間の間、施設に宿泊して、食事や入浴、排泄などの介助や、レクリエーションなどを利用できます。 |
「要支援」と「要介護」の申請・更新について
「要支援」や「要介護」の認定を受けるためには、お住まいの市区町村の窓口に申請を行う必要があります。申請後、認定調査員が自宅などを訪問して、心身の状況などを調査します。その後、主治医の意見書などを参考に、介護認定審査会で審査され、結果が通知されます。
認定の有効期間は、原則として6ヶ月または12ヶ月です。期間が満了する前に、更新の手続きを行う必要があります。更新の手続きも、新規申請と同様の流れで行われます。ただし、状態が大きく変化した場合は、期間内でも区分変更の申請をすることができます。
自己負担額の違い
介護保険サービスを利用する際には、原則としてサービス費用の1割（所得によっては2割または3割）が自己負担となります。この自己負担額は、利用できるサービスの上限額によっても変わってきます。「要支援」の場合は、月額利用限度額が「要介護」よりも低く設定されています。つまり、利用できるサービスの内容や量に違いがあるため、自己負担額も自然と変わってくるのです。
この利用限度額は、地域によっても若干異なる場合がありますので、お住まいの市区町村にご確認ください。
まとめると、「要支援」は、自立した生活を支援するための軽度なサービス、「要介護」は、より手厚い専門的な介護サービスが中心となり、それぞれ利用できるサービスの内容や金額に違いがあるということが、 「要支援」と「要介護」の違い の大きなポイントです。
「要支援」か「要介護」か、そしてどのようなサービスが必要になるかは、個々の状況によって異なります。もし、ご自身やご家族のことで、介護保険サービスについて疑問や不安がある場合は、お住まいの市区町村の窓口や、地域包括支援センターに相談することをおすすめします。専門家が、あなたの状況に合ったアドバイスをしてくれますよ。