spd クラス 1 と 2 の違い：知っておきたい基礎知識

spd クラス 1 と 2 の違いは、主にその保護性能と用途にあります。この二つのクラスは、電気機器を雷などの過電圧から守るためのサージ保護デバイス（SPD）の種類を分類する際に使われ、それぞれの特性を理解することが、適切な機器選定において非常に重要となります。

SPD クラス 1 と 2 の主な違い：徹底解説

SPD クラス1とクラス2の最も大きな違いは、どこで、どのような種類のサージを抑制するかにあります。クラス1は、建物の主幹ブレーカー盤など、電力線が建物に引き込まれる直近に設置され、外部からの直接的な雷サージのような、非常に大きなエネルギーを持つサージを対象とします。一方、クラス2は、各階の分電盤や機器の近くに設置され、クラス1で抑制しきれなかった、または内部で発生した比較的小さなサージを抑制する役割を担います。

クラス1 SPD の役割: 建物全体を保護するための初期段階の防御。
クラス2 SPD の役割: より詳細な保護、個別の機器を守る。

この違いから、 SPD クラス 1 と 2 の違い を理解することは、電気設備全体の信頼性を高める上で不可欠です。クラス1は、雷が建物に直撃した場合に発生する、数千ボルト、数万アンペアといった膨大なエネルギーのサージを吸収・放散させる能力が求められます。

クラス1: 大容量のエネルギー吸収能力
クラス2: より微細なサージへの対応

クラス	主な設置場所	対象サージ
クラス1	主幹ブレーカー盤	直接雷サージ（大容量）
クラス2	分電盤、機器付近	誘導雷サージ、内部発生サージ（比較的小容量）

保護レベルとエネルギー吸収能力の差

クラス1 SPD は、その名のとおり、最も強力な保護を提供するように設計されています。これは、外部からの侵入するエネルギーが最も大きい段階で、それを効果的に減衰させる必要があるためです。例えば、建物の屋上に設置された避雷針に雷が落ちた場合、そのエネルギーは配線を通じて建物内部に伝わろうとします。クラス1 SPD は、この巨大なエネルギーを大地に逃がすための「最初の砦」となるのです。

クラス1: 数十kA（キロアンペア）級のサージ電流に対応。
クラス2: 数kA～十数kA 級のサージ電流に対応。

このエネルギー吸収能力の差は、使用される素子（バリスタやアレスタなど）のサイズや構造にも影響します。クラス1 SPD は、より多くのエネルギーを安全に処理できるよう、大型で堅牢な設計になっていることが多いです。

SPD クラス 1 と 2 の違い を把握することで、どちらがどの場所に必要かを明確に判断できます。

クラス1は、建物の入り口での「粗い」保護。
クラス2は、各機器への「細かい」保護。

設置場所と保護範囲の違い

設置場所は、SPD のクラスを決定する上で最も分かりやすい指標の一つです。クラス1 SPD は、電力会社から供給される電力線が建物に入る最も初期の段階、つまり主幹ブレーカー盤に設置されることが一般的です。これにより、建物全体にサージが伝播するのを最小限に抑えます。

主幹ブレーカー盤: 建物の「玄関」にあたる場所。
分電盤: 各部屋への「廊下」にあたる場所。

一方、クラス2 SPD は、各階の分電盤や、雷サージの影響を受けやすい精密機器の近くに設置されます。これにより、クラス1 SPD を通過した、あるいは建物内部で発生した残存サージから、個々の機器を保護します。

SPD クラス 1 と 2 の違い は、保護の「レイヤー」をイメージすると理解しやすいでしょう。

クラス	主な設置場所	保護のイメージ
クラス1	建物入口（主幹ブレーカー盤）	建物全体を守る「シェルター」
クラス2	各フロアの分電盤、機器付近	各部屋・各機器を守る「ドアガード」

応答速度と保護特性

サージ保護デバイスは、サージが発生してからそれを抑制するまでの応答速度も重要です。クラス1 SPD は、非常に大きなエネルギーのサージを対象とするため、その応答速度は極めて速くなければなりません。ほんの一瞬のサージでも、機器に深刻なダメージを与えかねないからです。

応答速度: サージを検知してから動作するまでの時間。

クラス2 SPD も迅速な応答が求められますが、クラス1 SPD ほど極端に速い応答速度は必要とされない場合があります。これは、クラス1 SPD が初期の大部分のエネルギーを吸収してくれるため、クラス2 SPD が対応するサージのエネルギーレベルが相対的に低いからです。

SPD クラス 1 と 2 の違い は、応答速度の繊細さにも表れます。

クラス1: 究極の応答速度を追求。
クラス2: 迅速かつ的確な応答。

耐久性と寿命

SPD は、サージが発生するたびにエネルギーを吸収・放散します。この「サージ耐圧」や「最大放散エネルギー」といった仕様は、SPD の耐久性や寿命に直結します。クラス1 SPD は、より大きなエネルギーを処理するため、一般的に耐久性が高く設計されています。

サージ耐圧: どのくらいの電圧に耐えられるか。
最大放散エネルギー: 一度のサージでどれだけのエネルギーを吸収できるか。

クラス2 SPD も、一般家庭やオフィス環境での使用に十分な耐久性を持っていますが、クラス1 SPD ほど極端な条件に耐える必要はないため、仕様が異なる場合があります。

SPD クラス 1 と 2 の違い は、長期的な信頼性にも関わってきます。

クラス	耐久性に関連する仕様	期待される寿命
クラス1	高いサージ耐圧、大容量放散エネルギー	一般的に長寿命
クラス2	十分なサージ耐圧、標準的な放散エネルギー	使用頻度による

コストと導入の考え方

一般的に、クラス1 SPD の方が、その高い性能と複雑な設計のため、クラス2 SPD よりも高価になる傾向があります。しかし、これはあくまで一般的な傾向であり、製品のメーカーや詳細な仕様によって価格は変動します。

コスト: 一般的にクラス1 > クラス2。

建物の規模、立地条件（雷が多い地域かなど）、保護したい機器の重要度などを総合的に考慮して、クラス1とクラス2のSPDを適切に組み合わせることが、最も効果的で経済的な保護策となります。

SPD クラス 1 と 2 の違い を理解した上で、コストパフォーマンスも考慮しましょう。

初期投資 vs. 長期的な被害防止。
専門家への相談も有効。

SPD クラス1とクラス2の違いを理解することは、大切な電子機器を雷などの過電圧から守り、安定した電力供給を確保するための第一歩です。どちらか一方だけではなく、両方を適切に組み合わせることで、より強固な保護システムを構築できます。ご自身の環境に合わせた最適なSPDを選定し、安心して電気機器を使えるようにしましょう。