躁鬱病 と うつ 病 の 違い、知っておきたい大切なポイント

「躁鬱病(そううつびょう)」と「うつ病」は、どちらも気分に関わる病気ですが、その根本的な違いを理解することは非常に重要です。「躁鬱病 と うつ 病 の 違い」を把握することで、適切な理解とサポートにつながります。

気分の波の有無:躁鬱病とそうでないうつ病の最大の違い

「躁鬱病 と うつ 病 の 違い」を一番わかりやすく説明すると、それは「気分の波」の有無です。うつ病は、気分が落ち込む「うつ状態」が中心となる病気です。一方、躁鬱病は、うつ状態と、気分が異常に高揚する「躁状態(そうじょうたい)」または軽躁状態(けいそうじょうたい)を繰り返すのが特徴です。

この気分の波は、日常生活に大きな影響を与えます。うつ病の場合は、意欲の低下、悲しみ、不安などが長く続きます。しかし、躁鬱病では、うつ状態の時にはうつ病と同じような症状が現れますが、躁状態になると、活動的になりすぎたり、眠らなくても平気になったり、次々とアイデアが浮かんでくるような、普段とは全く違う状態になります。

この気分の波を理解することが、躁鬱病とそうでないうつ病を区別する上で、最も大切なポイントと言えるでしょう。

  • うつ病:うつ状態が中心
  • 躁鬱病:うつ状態と躁状態(または軽躁状態)の繰り返し

躁状態の具体的な症状

躁鬱病を理解する上で、躁状態の具体的な症状を知ることは欠かせません。躁状態では、気分が非常に高揚し、普段よりも活発になります。たとえば、眠らなくても全く疲れを感じなかったり、次々と新しい計画を立てて行動に移したりします。

また、会話が早口になったり、次から次へと話題が変わったりすることもよくあります。周りから見ると、とてもエネルギッシュで魅力的にも見えるかもしれませんが、本人にとっては、コントロールできないほどの興奮状態に陥っているのです。この興奮状態が、日常生活や人間関係に問題を引き起こすことがあります。

躁状態の主な症状は以下の通りです。

  1. 気分が高揚し、多幸感に満たされる
  2. 活動量が異常に増え、じっとしていられない
  3. 睡眠時間が短くなっても平気
  4. 次々とアイデアが浮かび、計画を立てる

うつ状態の症状:両者に共通する部分と違い

うつ状態は、うつ病と躁鬱病のどちらにも現れる症状です。そのため、一見すると見分けがつきにくいこともあります。しかし、うつ状態の背景に躁状態があるかどうかで、病気の診断は大きく変わってきます。

うつ状態の症状としては、以下のようなものが挙げられます。

精神的な症状 身体的な症状
気分の落ち込み、悲しみ 食欲不振または過食
意欲の低下、何もする気になれない 不眠または過眠
集中力や記憶力の低下 倦怠感、疲れやすさ
自分を責める気持ち(自責感) 頭痛、腹痛などの身体症状

うつ病の場合は、これらのうつ状態が長く続くことが特徴です。一方、躁鬱病の場合は、これらのうつ状態と、後述する躁状態が交互に現れます。

軽躁状態とは?躁状態との違い

躁鬱病には、「躁状態」と、それよりも軽い「軽躁状態(けいそうじょうたい)」があります。軽躁状態は、躁状態ほど極端ではありませんが、普段の自分とは違う、気分の高揚や活動性の増加が見られます。

例えば、いつもより少しだけ活発になったり、アイデアが湧きやすくなったりします。しかし、この状態は、周囲とのトラブルや社会生活への支障が、躁状態ほど深刻にならないことが多いです。そのため、本人が「少し調子が良い」と感じてしまい、病気であることに気づきにくい場合もあります。

軽躁状態の特徴:

  • 躁状態ほど激しくない気分の高揚
  • 活動性の増加、普段より多弁
  • 社会生活への支障が限定的
  • 病識を持ちにくい

診断の難しさ:自己判断は危険

「躁鬱病 と うつ 病 の 違い」は、専門家でも診断に時間を要することがあります。特に、軽躁状態が目立たない場合や、うつ状態が長く続いている場合などは、うつ病と診断されやすい傾向があります。

もし、ご自身や身近な方に気分の波があるように感じられる場合は、自己判断せず、必ず精神科医や心療内科医に相談することが大切です。早期に正確な診断を受けることで、適切な治療を開始し、病気の進行を抑えることができます。

診断のために医師が確認するポイント:

  1. 気分の変動のパターン
  2. 症状の持続期間
  3. 日常生活への影響
  4. 過去の病歴

治療法:病気の種類によって異なるアプローチ

躁鬱病とそうでないうつ病では、治療法も異なります。「躁鬱病 と うつ 病 の 違い」を理解することは、適切な治療法を選択するためにも不可欠です。

うつ病の主な治療法は、抗うつ薬による薬物療法や、カウンセリングなどの精神療法です。一方、躁鬱病の場合は、気分安定薬が中心となり、躁状態とうつ状態の両方を抑える効果が期待されます。また、病気についての理解を深めるための心理教育も重要です。

治療の主な違い:

  • うつ病:抗うつ薬、精神療法
  • 躁鬱病:気分安定薬、(必要に応じて)抗うつ薬や抗精神病薬、心理教育

まとめ

「躁鬱病 と うつ 病 の 違い」は、気分の波の有無、特に躁状態(または軽躁状態)の有無にあります。どちらの病気も、つらい症状に苦しむ方が多くいらっしゃいますが、適切な理解と治療によって、症状をコントロールし、より良い生活を送ることが可能です。もし気になる症状があれば、迷わず専門家に相談してください。

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