知っておきたい!総合課税と分離課税の違いを徹底解説!

「総合課税」と「分離課税」、この二つは税金の種類を理解する上でとっても大切なキーワードです。 総合課税と分離課税の違い をしっかり理解することで、ご自身の税金がどう計算されているのか、どうすれば税負担を抑えられるのかが見えてきますよ!

総合課税と分離課税、基本の「キ」!

まず、一番の違いは「どうやって税額を計算するか」という点です。総合課税は、一年間の所得を全部まとめて、その合計額に対して税率をかけて税金を計算します。一方、分離課税は、特定の所得だけを他の所得とは別に、それぞれに定められた税率で計算するんです。

例えるなら、総合課税は「お皿に全部のおかずを盛り付けて、その量で値段が決まる」イメージ。分離課税は「ステーキだけ、お寿司だけ、それぞれ別々の値段で売られている」ようなものです。この違いが、私たちの手元に残る金額に大きく影響してくるんですよ。

この違いを理解することは、賢く税金と付き合っていくためにとても重要です。

  • 総合課税のメリット・デメリット
    • メリット:所得が低い場合、税率が低く抑えられる可能性がある。
    • デメリット:所得が多い場合、累進課税制度により税率が高くなる。
  • 分離課税のメリット・デメリット
    • メリット:特定の所得にかかる税額を、他の所得の状況に関わらず一定にできる。
    • デメリット:所得の大小に関わらず、定められた税率がかかる。
  • 具体例で比較
    課税方式 対象となる所得 税率
    総合課税 給与所得、事業所得、一時所得など 累進課税(所得が多いほど税率が上がる)
    分離課税 退職所得、山林所得、譲渡所得(土地・建物)、配当所得(特定口座)、利子所得など 原則として超過累進税率(所得税+住民税)

給与所得の総合課税を深掘り!

普段、私たちが会社からもらうお給料(給与所得)は、基本的に総合課税の対象になります。一年間の給与の総額から、給与所得控除(お仕事をする上で必要経費となるものを差し引く制度)などを引いたものが、課税される所得金額となります。

この所得金額に、所得税の税率(累進課税)と住民税の税率がかけられて、税額が決まります。つまり、お給料がたくさんもらえるほど、税金も増えていく仕組みなんです。

給与明細を見ると、「所得税」「住民税」という項目がありますよね。あれが、まさに総合課税として計算された税金なんです。確定申告で他の所得と合算される場合も、この給与所得はまとめて計算されます。

給与所得以外の所得がある場合、総合課税として合算されることで、全体の所得が増え、結果的に税率が上がる可能性があります。

  1. 一年間の総所得金額を計算する。
  2. そこから所得控除(基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除など)を差し引く。
  3. 残った金額に税率をかけて税額を計算する。

分離課税の代表格:退職所得

退職金は、長年働いたことへの感謝の気持ちとして支払われるものですから、税金面でも優遇されています。退職所得は、原則として分離課税となり、他の所得とは別で計算されます。

退職金から「退職所得控除」という、勤続年数に応じて計算される大きな控除を差し引くことができます。さらに、残った所得に対しては、他の所得とは異なる、比較的低い税率が適用されるんです。これにより、退職金にかかる税金はぐっと抑えられます。

退職所得が分離課税であることによって、多額の退職金を受け取っても、他の所得と合算して高い税率がかかることを避けられます。

  • 計算方法:
    • ① 退職金総額 - 退職所得控除額 = 退職所得の金額
    • ② 退職所得の金額 × 1/2(※勤続20年超の場合は、25年超の部分は1/2)= 課税退職所得の金額
    • ③ 課税退職所得の金額 × 税率 = 所得税額
  • 退職所得控除額は勤続年数によって異なります。
  • 勤続年数が長いほど、控除額は大きくなります。

分離課税のもう一つの顔:譲渡所得(不動産など)

土地や建物を売却して利益が出た場合、これは譲渡所得として分離課税の対象となります。ただし、所有期間によって税率が変わるのが特徴です。

所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」と、5年以下の「短期譲渡所得」に分けられ、短期譲渡所得の方が税率が高く設定されています。これも、資産を長期で保有し、社会経済の発展に寄与した人への配慮と言えるでしょう。

譲渡所得が分離課税であること、そして所有期間によって税率が変わることを理解しておくと、不動産の売却を検討する際に、税金面でのシミュレーションがしやすくなります。

譲渡所得の種類 所有期間 税率(所得税+住民税)
短期譲渡所得 5年以下 約39%(所得税30%+住民税9%)
長期譲渡所得 5年超 約20%(所得税15%+住民税5%)

※上記は概算であり、実際には特別控除などが適用される場合があります。

意外と身近な分離課税:配当所得・利子所得

株式の配当金や、銀行預金の利子といった所得も、原則として分離課税の対象となります。これらの所得は、「源泉分離課税」といって、支払われる時点で税金が差し引かれることがほとんどです。

例えば、銀行に預けているお金から得られる利子には、所得税と復興特別所得税(合わせて10.15%)が源泉徴収されます。株の配当金も、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、同様に支払われる際に税金が差し引かれます。

源泉分離課税は、私たちが自分で確定申告をする手間を省いてくれる便利な制度ですが、本来であれば税金が還付される場合でも、自動的には戻ってこないので注意が必要です。

  • 配当所得:
    • 原則、総合課税。
    • ただし、特定口座(源泉徴収あり)を選択した場合、源泉分離課税となる。
    • 株主優待は、原則として課税対象外。
  • 利子所得:
    • 原則、源泉分離課税(10.15%)。
    • 個人向け国債の利子などは、非課税となる場合もある。

申告分離課税とは?

「申告分離課税」という言葉を聞いたことがありますか?これは、分離課税の中でも、自分で確定申告をする必要があるものを指します。先ほど説明した源泉分離課税とは異なり、支払いの時点では税金が引かれないため、自分で税額を計算して申告・納税しなければなりません。

例えば、不動産を売却して得た譲渡所得や、山林を伐採して得た山林所得などがこれにあたります。これらの所得は、他の所得とは別に、それぞれに定められた税率で計算し、確定申告書に含めて税務署に提出する必要があります。

申告分離課税の対象となる所得がある場合は、期限内に忘れずに申告することが大切です。

  1. 譲渡所得(土地・建物、株式など)
  2. 山林所得
  3. 退職所得(通常は源泉徴収されるが、申告で税額を調整できる場合もある)
  4. 一時所得(一部)

総合課税と分離課税の賢い使い分け

さて、ここまで総合課税と分離課税の違いを見てきました。では、どのように使い分けるのが賢いのでしょうか?

まず、給与所得だけという方であれば、基本的には総合課税で問題ありません。しかし、副業で得た所得があったり、株式投資をしていたりすると、話は変わってきます。

例えば、株式投資で大きな利益が出た場合、それが総合課税になると、ご自身の給与所得と合算されて所得税率が上がってしまう可能性があります。そこで、特定口座(源泉徴収あり)を選択したり、譲渡所得を申告分離課税として計算したりすることで、税負担を抑えられることがあるのです。

ご自身の所得の種類や金額、将来的なライフプランなどを考慮して、どの課税方式が有利になるかを知っておくことが、節税につながります。

  • 有利になるケースの例
    • 所得が比較的低い場合:総合課税で低税率を適用できる。
    • 高額な退職金を受け取る場合:分離課税で税負担を軽減できる。
    • 不動産などの資産を売却して大きな利益が出た場合:申告分離課税で、他の所得と分けて計算できる。
  • 不利になるケースの例
    • 所得が高い場合:総合課税で累進税率により税負担が増える。
    • 複数の分離課税所得がある場合:それぞれに税金がかかる。

税金は複雑に感じがちですが、総合課税と分離課税の基本的な違いを理解するだけで、ぐっと分かりやすくなります。ご自身の状況に合わせて、賢く税金と付き合っていきましょう!

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