「ドキドキする」「心臓がバクバクする」といった経験、誰でも一度はあるのではないでしょうか？ 実は、これらの症状は「動悸」と「頻脈」という、似ているようで少し違うものなんです。この二つの「動悸 と 頻 脈 の 違い」をしっかり理解しておくと、自分の体の状態をより把握できるようになりますよ。
動悸と頻脈：感覚と状態の違い
まず、一番大事な「動悸 と 頻 脈 の 違い」は、動悸は「自分で感じている心臓のドキドキ感」という「感覚」そのものを指すのに対し、頻脈は「心臓が実際になっている回数が多い」という「状態」を指すという点です。つまり、動悸は主観的なもので、頻脈は客観的な医学的判断なのです。
例えば、運動をした後に心臓がドキドキするのは、誰でも経験することですよね。これは、体に酸素をたくさん送るために心臓が一生懸命働いている証拠です。この時のドキドキ感は「動悸」と言えます。しかし、安静にしている時でも心臓が異常に速く打っている状態があれば、それは「頻脈」という病的な状態かもしれません。
このように、「動悸」はあくまで「感じ方」であって、それが必ずしも「頻脈」を意味するわけではありません。時には、心配事やストレスで動悸を感じることもありますが、心拍数自体は正常な場合もあるのです。 自分の体からのサインを正しく理解することが、健康管理の第一歩と言えるでしょう。
- 動悸：心臓のドキドキ感を「自分で感じる」こと
- 頻脈：心臓が「実際に速く打っている」状態
動悸を感じやすい状況
動悸は、私たちの体が何らかの変化に対応しようとしている時に感じやすいものです。一時的なものであれば、さほど心配いりませんが、どのような時に感じやすいのかを知っておくと、心の準備もできますね。
代表的なのは、やはり運動や急な坂道を上る時です。体はより多くの血液を必要とするため、心臓は拍動を速めます。この自然な反応が、動悸として感じられるのです。また、急に驚いたり、強いストレスを感じたりした時も、アドレナリンなどのホルモンが分泌され、心臓がドキドキすることがあります。
さらに、カフェインを多く含んだ飲み物（コーヒーやお茶、エナジードリンクなど）の摂りすぎや、アルコール、タバコなども、心臓に刺激を与えて動悸を引き起こすことがあります。風邪薬や鼻炎薬など、薬の副作用として動悸を感じるケースも少なくありません。
- 運動や急な動作
- 精神的なストレスや驚き
- カフェイン、アルコール、タバコ
- 特定の薬の副作用
頻脈とは？その種類と原因
頻脈は、心臓が正常よりも速く拍動している状態を指します。安静時の心拍数が1分間に100回以上の場合を頻脈と診断されることが多いですが、これはあくまで目安であり、年齢や体格、状況によっても異なります。
頻脈には、いくつかの種類があります。例えば、「洞性頻脈」は、心臓の正常な電気信号（洞結節からの信号）が速くなることで起こるもので、運動や発熱、脱水などが原因となることが多いです。一方、「期外収縮」といって、本来の心臓の拍動とは異なるタイミングで、心臓が「ポコッ」と extra な拍動を打つことも、動悸として感じられることがあります。
さらに、心臓の電気信号の伝わりに異常が起こることで、心房細動や上室性頻拍といった、さらに複雑な頻脈になることもあります。これらは、単なる一時的なものではなく、病気が原因となっている場合があるため、注意が必要です。
| 頻脈の種類 | 主な原因 | 特徴 |
|---|---|---|
| 洞性頻脈 | 運動、発熱、脱水、ストレス | 一時的で、原因を取り除けば元に戻る |
| 期外収縮 | ストレス、疲労、カフェイン | 「ドキッ」「ポコッ」といった不規則な拍動 |
| 心房細動 | 加齢、高血圧、心臓病 | 不規則で速い脈拍、脳梗塞のリスク |
動悸と頻脈、いつ受診すべき？
動悸や頻脈を感じた時、すぐに病院へ行くべきか迷うこともありますよね。基本的には、一時的で安静にすれば治まるような動悸であれば、過度に心配する必要はないことが多いです。
しかし、以下のような場合は、一度医師に相談してみることをお勧めします。
- 急に始まった、これまで経験したことのない強い動悸
- 動悸に加えて、息切れ、胸の痛み、めまい、失神などの症状がある
- 安静にしていても動悸が続く、または頻繁に起こる
- 健康診断などで、不整脈を指摘されたことがある
これらの症状は、心臓の病気や他の病気が隠れているサインかもしれません。自己判断せずに、専門家の意見を聞くことが大切です。
動悸と頻脈の検査方法
もし病院で「動悸」や「頻脈」について相談した場合、医師はいくつかの検査を行うことで、原因を特定しようとします。これらの検査によって、動悸が単なる一時的なものなのか、それとも何らかの病気が原因なのかが分かります。
最も基本的な検査は、「心電図（ECG/EKG）」です。これは、心臓の電気的な活動を記録するもので、心臓の動きに異常がないか、リズムは整っているかなどを調べます。結果をその場で確認できるため、頻脈や不整脈の発見に役立ちます。
さらに、24時間心電図（ホルター心電図）といって、小型の記録装置を体に装着し、日常生活を送る中で心電図を連続して記録する検査もあります。これにより、普段は現れない間欠的な不整脈や動悸の原因を特定しやすくなります。
- 心電図（ECG/EKG）
- 24時間心電図（ホルター心電図）
- 血液検査（ホルモンバランスや貧血などを調べる）
- 運動負荷心電図（運動中の心臓の動きを調べる）
頻脈と診断された場合の治療法
頻脈と診断された場合、その原因や症状の程度によって治療法は異なります。すべての場合で薬が必要になるわけではありませんが、原因によっては適切な治療を受けることが、健康維持のために重要になります。
例えば、運動やストレスが原因の洞性頻脈であれば、原因となる行動を避ける、リラックス法を実践するなどの生活習慣の改善で対応できることが多いです。しかし、心臓の病気や他の病気が原因で頻脈になっている場合は、その病気自体の治療が優先されます。
不整脈の種類によっては、薬物療法で心拍数を整えたり、脈拍を安定させたりします。また、カテーテルアブレーションという、カテーテルを使って心臓の異常な電気信号の通り道を焼き切る治療法が有効な場合もあります。どのような治療が最適かは、医師とよく相談して決めることになります。
動悸・頻脈の予防とセルフケア
動悸や頻脈を完全に予防することは難しいかもしれませんが、日頃から健康的な生活を心がけることで、リスクを減らすことは可能です。自分でできるセルフケアもたくさんあります。
まずは、バランスの取れた食事と適度な運動です。規則正しい生活は、心臓に負担をかけにくくします。また、ストレスを上手に解消することも大切です。趣味に没頭したり、友人と話したり、リラックスできる時間を作りましょう。十分な睡眠をとることも、心臓の健康には欠かせません。
さらに、カフェインやアルコールの摂りすぎ、喫煙などは、心臓に刺激を与えるので控えるようにしましょう。そして、体の変化に自分で気づき、無理をしないことが何よりも大切です。もし「いつもと違うな」と感じたら、早めに休息をとるように心がけましょう。
- バランスの取れた食事
- 適度な運動
- ストレス解消
- 十分な睡眠
- カフェイン・アルコールの摂りすぎ、喫煙を控える
まとめ：動悸と頻脈、正しく理解して健康に
「動悸 と 頻 脈 の 違い」について、少しでも理解が深まったでしょうか？ 動悸は「感じる」、頻脈は「状態」という違いを覚えておけば、自分の体のサインをより正確に捉えることができます。どちらも、私たちの心臓からの大切なメッセージです。心配な症状がある場合は、一人で悩まず、専門家である医師に相談することを忘れないでくださいね。健康な心臓は、私たちの生活を支える土台です。