大切な方が亡くなられた際、日本では「お通夜」と「告別式」という二つの儀式が行われます。この二つ、名前は似ていますが、実はそれぞれに意味や目的が異なります。今回は、この「お通夜 と 告別式 の 違い」を、皆さんが理解しやすいように、丁寧に解説していきます。
お通夜と告別式の目的と時間帯の違い
まず、一番分かりやすい「お通夜 と 告別式 の 違い」は、その目的と行われる時間帯にあります。お通夜は、亡くなったその日の夜、あるいは翌日の夕方に行われることが一般的です。これは、故人の霊を慰め、遺族が故人と最後の夜を過ごすための、比較的近しい人たちで集まる場としての意味合いが強いです。
一方、告別式は、お通夜の翌日、通常は午前中から昼にかけて行われます。こちらは、故人の冥福を祈り、弔問客が故人とのお別れを正式に行うための儀式です。そのため、より多くの弔問客が参列し、僧侶による読経や弔辞、焼香など、より厳粛な雰囲気の中で行われます。
- お通夜： 主に遺族や親しい友人・知人が故人と最後の夜を過ごす。
- 告別式： 故人の冥福を祈り、弔問客が正式にお別れをする。
このように、お通夜は「別れを惜しむ」側面が強く、告別式は「弔いの儀式」としての意味合いが強いと言えます。 この目的の違いを理解することは、参列する際の服装や振る舞い方を考える上でも非常に重要です。
参列者の違い
お通夜と告別式の参列者にも、多少の違いが見られます。お通夜は、前述の通り、遺族や親しい友人、近所の方々といった、故人や遺族と特に親しい関係にある方々が中心となることが多いです。そのため、参加者は比較的限られている傾向があります。
対して告別式には、故人の職場関係者、学校関係者、地域の方々など、より広い範囲から弔問客が訪れます。これは、告別式が故人の人生の区切りをつけ、社会的なお別れをする場としての性格も持っているためです。
参列者の範囲について、以下にまとめました。
| お通夜 | 遺族、親しい友人、親戚、ごく親しい知人 |
|---|---|
| 告別式 | 遺族、親戚、友人、知人、職場関係者、学校関係者、地域の方々など |
もちろん、最近では両方の儀式に参列される方も多いですし、地域や家庭によって習慣が異なる場合もあります。しかし、一般的には、お通夜はより身近な方々、告別式はより多くの方々が故人を偲ぶ場と考えると分かりやすいでしょう。
服装のマナー
お通夜と告別式での服装マナーにも、厳密には違いがあります。まず、告別式では、一般的に喪服を着用するのが正式です。男性は黒のスーツに黒ネクタイ、女性は黒のワンピースやアンサンブルなどが基本となります。アクセサリーは真珠の一粒程度にとどめ、派手な装飾品は避けます。
一方、お通夜は、訃報を受けて急遽駆けつける場合も多いため、喪服まで準備できていないこともあります。そのため、 「平服で構わない」 とされることが多いです。ただし、ここでいう「平服」とは、普段着のことではなく、略礼装、つまり、喪服に準ずるような、地味で落ち着いた服装を指します。黒や紺、グレーなどのダークカラーの服装で、露出の少ないものを選ぶのが一般的です。
服装のポイントをいくつかご紹介します。
- 告別式： 正喪服または準喪服の着用が一般的。
- お通夜： 喪服でなくても良いが、略礼装（ダークカラーの落ち着いた服装）が望ましい。
- どちらの場合も、清潔感があり、華美な装飾や派手な柄は避ける。
近年では、お通夜の段階から喪服で参列する方も増えています。迷った場合は、周りの方に確認したり、よりフォーマルな服装で参列しておけば間違いありません。
香典の包み方と渡すタイミング
香典を渡すタイミングにも、「お通夜 と 告別式 の 違い」があります。一般的には、お通夜に参列する場合は、お通夜の際に受付で香典をお渡しします。これは、遺族が葬儀の準備で忙しい中、早めに香典を受け取ることで、少しでも負担を軽減したいという配慮からです。
もし、お通夜に参列できず、告別式のみに参列する場合は、告別式の受付で香典をお渡しします。また、両方に参列する場合は、どちらか一方の儀式でお渡しするのが一般的です。両方で香典を渡すと、遺族に二重の負担をかけてしまう可能性があるため、注意が必要です。
香典の包み方について:
- 不祝儀袋（香典袋）を使用する。
- 水引は黒白や双銀のものを選ぶ。
- 金額は、故人との関係性によって変わる。
- お札は新札ではなく、使い古したお札（お悔やみ事には「悲しみを分ける」という意味で新札は避ける）を用意するのが一般的。
香典を渡す際には、表書きに「御霊前」や「御香典」などと書き、氏名を記します。金額の相場は、地域や故人との関係性によって異なりますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
弔辞や弔電について
弔辞は、故人への最後の別れの言葉を述べるもので、通常は告別式で行われます。故人との思い出や、故人の人柄、遺族への慰めの言葉などを、事前に準備して読み上げます。一般的には、故人の友人や同僚、恩師などが務めることが多いです。
一方、弔電は、都合により葬儀に参列できない方が、お悔やみの気持ちを電報で伝えるものです。こちらも告別式に合わせて送られることが多いですが、お通夜の前に届くように手配することも可能です。弔電は、故人や遺族への配慮として、簡潔で丁寧な言葉遣いが求められます。
弔辞と弔電について:
- 弔辞： 故人への最後の別れの言葉。告別式で読み上げられる。
- 弔電： 葬儀に参列できない方が、お悔やみの気持ちを電報で伝える。
どちらも、故人を偲び、遺族を慰めるための大切な儀式の一部です。参加する、あるいは送る際には、故人や遺族の気持ちを第一に考えて準備することが大切です。
火葬と納骨について
お通夜と告別式の違いを理解する上で、その後の流れも知っておくと役立ちます。告別式が終わると、通常は火葬場へと移動し、火葬が行われます。火葬は、文字通り故人の遺体を焼いて骨にする儀式です。
火葬が終わると、拾骨（しゅうこつ）という儀式が行われ、遺骨を骨壺に納めます。その後、初七日法要（しょなのかほうよう）など、遺骨となった故人を弔う法要が行われることもあります。そして、後日、納骨（のうこつ）といって、遺骨をお墓や納骨堂に納める儀式が行われます。
火葬と納骨の流れ:
- 火葬： 故人の遺体を焼く儀式。
- 拾骨： 火葬後、遺骨を骨壺に納める儀式。
- 納骨： 遺骨をお墓などに納める儀式。
これらの儀式は、故人の旅立ちを支え、遺族が新しい生活へと向かうための大切な区切りとなります。
「お通夜 と 告別式 の 違い」について、ここまで解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。どちらの儀式も、故人を偲び、遺族を支えるための大切な習慣です。それぞれの意味や目的を理解することで、より心を込めて参列することができるはずです。もし、ご不明な点があれば、周りの方や葬儀社に遠慮なく相談してみてください。