謄本 と 抄本 の 違い は? 知っておきたい書類の基本

「謄本(とうほん)」と「抄本(しょうほん)」、どちらも書類の写しではあるけれど、一体何が違うんだろう? そんな疑問をお持ちの方もいるかもしれませんね。実は、 謄本 と 抄本 の 違い は、写しの範囲にある んです。この二つ、日常生活やビジネスシーンで意外と遭遇する機会があるので、違いを知っておくと、いざという時に慌てずに済みますよ。

原本の「全部」か「一部」か? 謄本と抄本の基本

まず、一番大切な違いは、写し取る範囲です。謄本というのは、原本となる書類の「全部」を忠実に写し取ったものを指します。文字通り、原本と寸分違わない、全く同じ内容の写しと言えますね。例えば、戸籍謄本や登記簿謄本などがこれにあたります。

一方、抄本は、原本の「一部」だけを写し取ったものです。全部ではなく、必要な部分だけを抜粋して写したものなので、当然、原本とは内容が異なります。これは、例えば、ご自身の戸籍の記載事項の一部だけが必要な場合などに利用されます。

なぜ、このように写しの種類を分ける必要があるのかというと、 書類の性質や利用目的によって、必要な情報が異なる からです。全部が必要な場合もあれば、一部の情報だけで十分な場合もある。それを明確にするために、謄本と抄本という区別があるのです。

  • 謄本:原本の「全部」を写したもの
  • 抄本:原本の「一部」を写したもの

具体例で見てみよう! 謄本と抄本の使い分け

では、もう少し具体的に、どのような場面で謄本や抄本が使われるのかを見ていきましょう。

例えば、戸籍謄本は、戸籍の全部の内容(出生、婚姻、死亡などの記録すべて)が記載されています。これは、身分関係を証明する際に、その人の戸籍に関する全ての情報を確認する必要がある場合に使われます。相続の手続きなどで、親族関係を証明するために戸籍謄本が必要になることがありますね。

対して、戸籍抄本は、戸籍の中から必要な部分だけを抜き出したものです。例えば、ご自身の婚姻の事実だけを証明したい場合などに、戸籍抄本が利用されることがあります。全部の記録を見る必要はなく、特定の事実だけを確認できれば良い、という場合に便利です。

まとめると、

  1. 戸籍謄本 :戸籍の「全部」の記録。身分関係の証明に幅広く使われる。
  2. 戸籍抄本 :戸籍の「一部」の記録。特定の事実だけを証明したい場合に便利。

不動産登記簿謄本と抄本

不動産の登記簿謄本や抄本も、よく耳にする言葉かもしれません。これも、謄本と抄本の違いがそのまま当てはまります。

不動産登記簿謄本は、その不動産に関する全ての登記記録(権利関係、面積、構造など)が記載されています。土地や建物の所有権の移転、抵当権の設定など、その不動産に関わる全ての情報が網羅されています。

一方、不動産抄本は、登記簿謄本の中から、特定の情報だけを抜き出したものです。例えば、現在の所有者だけを知りたい、といった場合には、抄本が利用されることがあります。

どちらが必要になるかは、その不動産について、どの程度の情報を知りたいのか、どのような目的で確認したいのかによって変わってきます。例えば、不動産を購入する際には、その物件の権利関係をしっかり確認するために、登記簿謄本が一般的です。

書類名 写しの範囲 主な用途
不動産登記簿謄本 全部 不動産の権利関係など、全ての情報を確認
不動産登記簿抄本 一部 特定の情報(例:現在の所有者)のみを確認

会社登記簿謄本と抄本

会社の手続きにおいても、登記簿謄本や抄本は重要な書類です。これらも、先ほど説明した基本に沿っています。

会社登記簿謄本は、会社の設立から現在までの、全ての登記記録が記載されています。会社の商号、本店所在地、役員の情報、資本金の額、事業目的など、会社の基本的な情報から、過去の変更履歴まで、全てが記録されています。

会社抄本は、登記簿謄本の中から、特定の情報だけを抜き出したものです。例えば、現在の代表取締役の名前だけを知りたい、といった場合に利用されます。必要な情報だけを効率的に取得できるのが抄本のメリットです。

取引先との契約や、融資の申し込みなど、会社の信頼性を確認するために登記簿謄本や抄本が利用されます。どのような情報を、どの程度確認したいかによって、どちらが必要かが決まります。

  • 会社登記簿謄本 :会社の全ての情報と変更履歴
  • 会社抄本 :会社の一部の情報(例:代表取締役の名前)

「写し」と「証明書」の違いも確認

ここで少し補足ですが、「謄本」や「抄本」と似た言葉に「証明書」があります。これらも混同しやすいので、簡単に違いを見ておきましょう。

謄本と抄本は、あくまで「原本の写し」です。一方、証明書は、特定の事実を公的に証明するための書類で、原本の写しとは意味合いが異なります。例えば、住民票の写しは、住民票という「原本」の写しですが、住民票記載事項証明書は、住民票に記載されている情報の一部を証明するものです。

この違いを理解しておくと、公的な手続きなどで、どの書類を提出すれば良いのかが分かりやすくなります。

  1. 謄本・抄本 :原本の写し
  2. 証明書 :特定の事実を公的に証明するもの

まとめ:謄本と抄本の違いは「範囲」!

ここまで、謄本と抄本の違いについて、色々な例を挙げて説明してきました。一番大切なのは、 謄本は原本の「全部」の写し、抄本は原本の「一部」の写し である、という点です。この違いをしっかり理解しておけば、書類の提出を求められた際にも、どちらが必要なのかを判断しやすくなるはずです。

書類手続きは、少し難しく感じることもありますが、基本を理解しておけば大丈夫。今回の記事が、皆さんの書類理解の一助となれば幸いです。

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