「乾癬(かんせん)」と「白癬(はくせん)」、どちらも皮膚に現れる病気ですが、その原因や症状、治療法は全く異なります。 乾癬 と 白癬 の 違い を正しく理解することは、適切な診断と治療を受けるために非常に重要です。この記事では、この二つの病気について、分かりやすく解説していきます。
1. 乾癬と白癬、似て非なる皮膚の病気
「乾癬」は、免疫の異常が原因で皮膚の細胞が異常に増殖してしまう病気です。一方、「白癬」は、カビ(真菌)が皮膚に感染することによって起こる病気です。このように、 乾癬 と 白癬 の 違い は、その根本的な原因にあります。見た目が似ている場合もあるため、自己判断は禁物です。
- 乾癬 :免疫系の誤作動による皮膚の病気
- 白癬 :真菌(カビ)による感染症
症状についても、それぞれ特徴があります。
-
乾癬の症状
:
- 銀白色の厚いかさぶた(鱗屑:りんせつ)を伴う、赤みがかった盛り上がった発疹
- 体や頭、ひじ、ひざなど、様々な部位に現れる
- かゆみを伴うことが多い
- 爪の変形や関節の痛み(乾癬性関節炎)を伴うこともある
-
白癬の症状
:
- 水虫(足白癬)、たむし(体部白癬、股部白癬)、ぜにたむし(頭部白癬)など、部位によって呼び方が変わる
- 境界がはっきりした、赤くて丸い(輪状)の発疹
- じゅくじゅくしたり、かさかさしたり、水ぶくれができたりと、状態は様々
- 強いかゆみを伴うことが多い
このように、 乾癬 と 白癬 の 違い は、発疹の見た目や進行の仕方にも見られます。以下に、それぞれの代表的な症状をまとめた表を示します。
| 乾癬 | 白癬 | |
|---|---|---|
| 原因 | 免疫異常 | 真菌(カビ)感染 |
| 発疹の見た目 | 銀白色の鱗屑を伴う赤みのある盛り上がり | 境界明瞭な赤みのある円形(輪状)の発疹 |
| かゆみ | 多い | 強い場合が多い |
原因を深掘り:なぜ起こるのか?
乾癬と白癬、それぞれがなぜ起こるのか、その原因について詳しく見ていきましょう。 乾癬 と 白癬 の 違い を理解する上で、原因の把握は不可欠です。
乾癬の原因は、まだ完全に解明されていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。特に、体の免疫システムが、誤って自分の皮膚の細胞を攻撃してしまうことが主な原因とされています。この免疫の過剰な反応が、皮膚の細胞の生まれ変わり(ターンオーバー)を著しく早めてしまい、結果として厚い鱗屑を伴う発疹ができてしまうのです。
一方、白癬は、白癬菌というカビの一種が皮膚に感染することで起こります。白癬菌は、私たちの身の回りの至る所に存在しており、高温多湿な環境を好みます。そのため、
- 素足で過ごすことが多い
- 靴下や靴を長時間履いている
- お風呂場やプールの床など、不特定多数の人が利用する場所
といった環境で感染しやすくなります。免疫力が低下している時なども、感染のリスクが高まります。
症状の現れ方:どこに、どんな風に?
乾癬と白癬では、症状が現れる部位やその現れ方にも違いがあります。 乾癬 と 白癬 の 違い を観察する上で、これらの特徴を知っておくと役立ちます。
乾癬は、全身の様々な部位に現れる可能性があります。代表的な場所としては、
- 頭部 :フケのように見えることも
- ひじ・ひざ :衣服との摩擦で悪化しやすい
- 背中・お腹 :比較的広範囲に広がることも
- 腰部 :
- 爪 :点状にくぼんだり、厚くなったり、変色したり
などが挙げられます。発疹は、境界が比較的はっきりしており、銀白色の厚い鱗屑(かさぶた)に覆われているのが特徴です。また、人によっては、関節の痛みや腫れを伴う「乾癬性関節炎」を発症することもあります。
白癬は、感染した菌の種類や部位によって、症状の現れ方が異なります。代表的なものとしては、
- 足白癬(水虫) :足の指の間がむずがゆくなる、皮がむける、水ぶくれができる
- 体部白癬(たむし) :体の皮膚に、境界がはっきりした円形の赤い発疹ができる
- 股部白癬(いんきんたむし) :股やお尻に、境界がはっきりした円形の赤い発疹ができる
- 頭部白癬(しらくも) :頭皮にかゆみやフケのようなものが見られ、部分的に毛が抜ける
などがあります。発疹は、初期には小さな赤いぶつぶつとして現れ、徐々に円形に広がっていくことが多いです。かゆみが強く、掻きむしるとさらに悪化することがあります。
診断方法:どうやって見分けるのか?
「この発疹、乾癬?それとも白癬?」と悩んだら、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。 乾癬 と 白癬 の 違い を正確に診断するためには、専門医の診察が必要です。
医師は、まず患者さんの症状や経過について詳しく問診します。どのような時に症状が現れたのか、かゆみはあるか、他に気になる症状はないかなどを丁寧に聞き取ります。その後、視診といって、発疹の見た目を注意深く観察します。
さらに、確定診断のために、以下のような検査を行うことがあります。
| 検査方法 | 目的 | 乾癬の場合 | 白癬の場合 |
|---|---|---|---|
| 皮膚生検 | 皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる | 皮膚の細胞が増殖している様子や、免疫細胞の異常が見られる | (白癬の診断にはあまり使われない) |
| 真菌検査(KOH検査) | 発疹の鱗屑や浸出液を採取し、カビがいるかどうかを調べる | カビは検出されない | 白癬菌(カビ)が検出される |
| 培養検査 | 採取した検体を培養して、カビの種類を特定する | カビは検出されない | 白癬菌の特定が可能 |
これらの検査結果を総合的に判断し、 乾癬 と 白癬 の 違い を明確に診断します。時には、他の皮膚疾患との鑑別も重要になります。
治療法:それぞれの病気に合わせたアプローチ
乾癬 と 白癬 の 違い を理解したら、次に気になるのは治療法でしょう。原因が異なるため、治療法もそれぞれ異なってきます。
乾癬の治療は、病気の重症度や発症部位などによって、様々な方法が組み合わされます。主な治療法には、
- 外用療法 :ステロイド軟膏やビタミンD3誘導体軟膏などを患部に塗布する
- 内服療法 :免疫抑制剤や生物学的製剤など、病気の原因に直接作用する薬を服用する
- 光線療法 :紫外線を利用して皮膚の炎症を抑える
などがあります。乾癬は慢性疾患であり、完治が難しい場合もありますが、適切な治療を継続することで、症状をコントロールし、QOL(生活の質)を向上させることが可能です。
一方、白癬の治療は、基本的には抗真菌薬による治療が中心となります。
- 外用療法 :抗真菌薬の塗り薬(軟膏、クリーム、液剤など)を患部に塗布する
- 内服療法 :症状が広範囲に及ぶ場合や、外用療法で効果が見られない場合に、抗真菌薬の飲み薬を処方する
白癬は、原因がカビであるため、適切な治療を行えば完治が期待できます。ただし、症状が改善しても、自己判断で治療を中断すると再発する可能性があるため、医師の指示に従って最後まで治療を続けることが大切です。
日常生活での注意点:悪化させないために
乾癬 と 白癬 の 違い を理解し、治療に取り組む上で、日常生活での注意点も知っておきましょう。
乾癬の場合、症状を悪化させないためには、
- 保湿 :皮膚の乾燥は症状を悪化させる可能性があるため、入浴後などにしっかりと保湿剤を塗る
- 刺激を避ける :衣類は肌触りの良いものを選び、患部を強くこすらない
- ストレス管理 :ストレスは乾癬の悪化因子となることがあるため、リラックスできる時間を持つ
- 禁煙・節酒 :喫煙や過度の飲酒は症状を悪化させる可能性がある
などが推奨されます。また、感染症にかからないように、手洗いうがいをしっかり行うことも大切です。
白癬の場合、再発予防と感染拡大を防ぐために、
- 清潔を保つ :
- 乾燥させる :靴下をこまめに履き替えたり、靴をローテーションして乾燥させる
- 通気性の良い履物を選ぶ :
- タオルの共有を避ける :家族間でもタオルを別々にする
- 公共の場では素足にならない :
といった点に注意が必要です。特に足白癬(水虫)は、家族にうつしてしまう可能性もあるため、家族全員で予防に取り組むことが大切です。
このように、 乾癬 と 白癬 の 違い は、日々の生活での注意点にも影響を与えます。
まとめ:正しい知識で、健康な肌を目指しましょう
「乾癬」と「白癬」、 乾癬 と 白癬 の 違い について、原因、症状、診断、治療、そして日常生活での注意点まで、詳しく解説してきました。どちらの病気も、早期に適切な診断と治療を受けることが、症状の改善と再発予防につながります。もし、皮膚に気になる症状が現れた場合は、自己判断せずに、まずは皮膚科を受診しましょう。