呼吸 器 外科 と 呼吸 器 内科 の 違い を 徹底解説! あなたの疑問をスッキリ解決

「呼吸器外科と呼吸器内科の違いって何?」「どっちに行けばいいの?」そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。この二つの診療科は、どちらも「呼吸器」、つまり肺や気管支といった呼吸に関わる臓器を扱いますが、そのアプローチや得意とする病気には違いがあります。呼吸器外科と呼吸器内科の違いを理解することで、ご自身の症状に合った適切な診療科を選べるようになります。

病気を「切る」か「薬で治す」か? 根本的なアプローチの違い

呼吸器外科と呼吸器内科の最も大きな違いは、病気へのアプローチ方法にあります。呼吸器外科は、その名の通り、手術(外科的処置)によって病気を治療することを主軸としています。例えば、肺がんが小さいうちに摘出したり、気管支の狭窄を広げたりする手術を行います。 病気そのものを取り除く、あるいは構造的な問題を物理的に解決することに重点を置いている のが特徴です。

一方、呼吸器内科は、薬物療法やリハビリテーションなどを中心に、病気の進行を抑えたり、症状を和らげたりすることを目指します。気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺炎などの診断と治療が主な役割です。内科的なアプローチでは、以下のような方法が用いられます。

  • 薬による治療(吸入薬、飲み薬、注射薬など)
  • 運動療法や呼吸リハビリテーション
  • 生活習慣の改善指導

このように、呼吸器外科は「切る」治療、呼吸器内科は「薬で治す」治療が中心ですが、実際には両方の知識や技術が必要とされる場面も多く、連携して治療を進めることも少なくありません。例えば、肺がんの早期発見は呼吸器内科で行われ、手術が必要と判断されれば呼吸器外科へ紹介される、といった流れです。どちらの科が担当するかは、病気の種類や進行度によって決まります。

呼吸器外科が扱う病気:手術で解決できる問題

呼吸器外科が専門とするのは、主に手術で治療可能な呼吸器系の病気です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

病名 主な治療法
肺がん 肺葉切除術、区域切除術など
気胸 胸腔鏡下手術、ドレナージ(空気抜き)
縦隔腫瘍 腫瘍摘出術
気管支拡張症(重症例) 病変部分の切除

これらの病気は、放置すると生命に関わることもありますが、早期に発見され、適切な手術が行われることで、完治を目指せる場合も多いのです。外科医は、高度な技術と最新の知識をもって、患者さんの負担を最小限に抑えながら、最善の治療を提供します。

手術の際には、胸を開ける開胸手術と、小さな穴からカメラを入れて行う胸腔鏡手術があります。最近では、より低侵襲な胸腔鏡手術が主流となってきており、回復も早まる傾向にあります。

また、呼吸器外科は、手術後のリハビリテーションや、再発予防のためのフォローアップも重要な役割です。患者さんが安心して社会復帰できるよう、多角的なサポートを行います。

呼吸器内科が扱う病気:薬や生活習慣で管理する病気

呼吸器内科は、手術を必要としない、あるいは手術以外の方法で治療や管理が可能な呼吸器系の病気を担当します。以下に、代表的な病気を挙げます。

  1. 気管支喘息
  2. COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  3. 肺炎(細菌性、ウイルス性など)
  4. 間質性肺炎
  5. 結核
  6. 慢性気管支炎

これらの病気は、急激に悪化することもあれば、ゆっくりと進行していくこともあります。呼吸器内科医は、患者さんの症状を詳しく聞き取り、レントゲンやCT、血液検査、呼吸機能検査などを組み合わせて正確な診断を行います。そして、病状に合わせて最適な治療法を選択します。

特に、喘息やCOPDは、一度発症すると完治が難しい場合もありますが、適切な治療と自己管理によって、症状をコントロールし、 QOL(生活の質)を維持・向上させることが可能です。吸入薬の正しい使い方指導や、禁煙指導なども、呼吸器内科医の重要な仕事の一つです。

診断の進め方:どのように病気を見つけるか

呼吸器系の病気の診断は、まず患者さんのお話(問診)から始まります。いつから、どのような症状があるのか、他に持病はないかなどを詳しく伺います。その後、身体診察として、聴診器で肺の音を聞いたり、胸を叩いてみたりします。これらの情報をもとに、さらに詳しい検査に進みます。

主な検査には、以下のようなものがあります。

  • 画像検査 :レントゲン、CTスキャン、MRIなど。肺や気管支の形、病変の有無などを詳しく調べます。
  • 呼吸機能検査 :スパイロメトリーなど。肺の容積や空気の出入りやすさを測定し、肺の機能を評価します。
  • 血液検査 :炎症の有無や、原因となっている病原体などを調べるのに役立ちます。
  • 喀痰検査 :痰の中に、菌やがん細胞がないかを調べます。
  • 気管支鏡検査 :細いカメラを気管支に入れて、直接観察したり、組織を採取したりします。

これらの検査結果を総合的に判断して、呼吸器内科医または呼吸器外科医が最終的な診断を下します。病気の種類や重症度によっては、両方の科の医師が協力して診断を進めることもあります。

治療の選択肢:症状や病気によって異なるアプローチ

呼吸器系の治療法は、病気の種類、進行度、患者さんの全身状態などを考慮して、多岐にわたります。大きく分けて、薬物療法、手術療法、リハビリテーション、そして緩和ケアなどがあります。

薬物療法 では、炎症を抑える薬、気道を広げる薬、感染症を抑える抗生物質などが用いられます。喘息やCOPDでは、吸入薬が中心となることが多く、その種類や使い方は患者さん一人ひとりに合わせて調整されます。

手術療法 は、肺がん、気胸、重度の気管支拡張症など、外科的な処置が必要な場合に選択されます。近年は、胸腔鏡を用いた低侵襲手術が進歩し、患者さんの体への負担が軽減されています。

リハビリテーション は、呼吸機能の改善や、息切れの軽減を目指します。運動療法や呼吸法訓練などがあり、専門のスタッフが指導を行います。

緩和ケア は、病気の進行度に関わらず、患者さんの苦痛を和らげ、より良い生活を送れるようにサポートするケアです。呼吸器内科、呼吸器外科ともに、緩和ケアチームと連携して患者さんを支えます。

連携プレー:両科が協力する場面

呼吸器外科と呼吸器内科は、それぞれ得意とする分野は異なりますが、患者さんにとって最善の治療を提供するために、密接に連携しています。例えば、以下のような場面で協力が行われます。

  • 肺がんの診療 :初期の診断や検査は呼吸器内科で行われ、手術適応があれば呼吸器外科に紹介されます。手術後も、呼吸器内科が術後の合併症管理や、薬物療法(化学療法、免疫療法など)を担当することがあります。
  • 感染症の管理 :重症の肺炎や肺結核など、感染症の診断・治療は呼吸器内科が中心となりますが、肺に膿瘍(のうよう)ができて手術が必要になった場合などは、呼吸器外科が関わります。
  • 慢性呼吸器疾患の悪化時 :COPDの急性増悪など、呼吸器内科で治療中に、呼吸困難が著しく改善しない場合や、外科的な処置が必要になる可能性が出てきた場合に、呼吸器外科との連携が図られることがあります。

このように、一人の患者さんに対して、複数の科の医師がそれぞれの専門知識や技術を活かし、チームで治療にあたることで、より質の高い医療が実現されます。

「呼吸器外科と呼吸器内科の違い」について、ご理解いただけましたでしょうか。どちらの診療科にかかるべきか迷った場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、お近くの病院の呼吸器内科を受診することをおすすめします。専門医が、あなたの症状に合った適切な診療科を案内してくれるはずです。

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