「NISA」と「ジュニアNISA」、名前は似ているけれど、実際にはどんな違いがあるの? NISA と ジュニアNISA の 違いを理解することは、将来のお金のことを考える上でとっても大切。この二つの制度のポイントを分かりやすく解説していきますね。
NISA と ジュニアNISA の対象者と制度の目的
まず一番大きな違いは、誰が使えるか、そして何のためにあるのか、という点です。NISAは、20歳以上の全ての人が、将来のためにお金を増やしたい!という時に利用できる制度。一方、ジュニアNISAは、0歳から19歳までのお子さんや孫のために、保護者の方が代わりに運用する制度なんです。つまり、 NISA は自分自身の資産形成を、ジュニアNISA は未成年の子供の将来のためのお金を育てる という目的が明確に分かれています。
NISAの目的は、投資へのハードルを下げて、多くの人に資産運用に親しんでもらうこと。税金がかからない「非課税」のメリットを活かして、コツコツとお金を増やしていくことを応援してくれます。ジュニアNISAも同様に、将来の教育費や進学資金といった、子供たちの大きなライフイベントに備えるための非課税制度です。
それぞれの制度の対象年齢と、主な目的をまとめると以下のようになります。
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NISA
- 対象年齢:20歳以上
- 目的:自分自身の資産形成、投資の促進
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ジュニアNISA
- 対象年齢:0歳~19歳(管理者は保護者)
- 目的:未成年者の将来のための資産形成(教育資金など)
投資できる金額(年間投資枠)の違い
次に、年間でいくらまで投資できるのか、という点も違いがあります。NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、それぞれ投資できる金額が決まっています。例えば、つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円まで投資可能です。これらを合わせた年間投資枠は、全部で360万円となります。
一方、ジュニアNISAの年間投資枠は、80万円までです。NISAに比べると、投資できる金額の上限が低く設定されています。これは、未成年者のための制度ということもあり、無理のない範囲での投資を促すためと考えられます。
年間投資枠を比較すると、以下のようになります。
| 制度 | 年間投資枠 |
|---|---|
| NISA | 最大360万円(つみたて投資枠120万円 + 成長投資枠240万円) |
| ジュニアNISA | 80万円 |
非課税保有期間と引き出しやすさ
投資で得た利益には通常税金がかかりますが、NISAとジュニアNISAはこの税金がかからない(非課税)のが大きなメリットです。しかし、この非課税で保有できる期間には違いがあります。NISAでは、つみたて投資枠、成長投資枠ともに無期限で非課税で運用を続けることができます。
これに対して、ジュニアNISAの非課税保有期間は、最大5年間となっています。ただし、2024年からは制度が拡充され、非課税保有期間が無期限になりました。これは大きな変更点ですね!また、引き出しやすさについても、NISAはいつでも好きな時に引き出すことができますが、ジュニアNISAは原則として18歳になるまで引き出すことができません。ただし、2024年からの制度変更で、18歳未満でも、災害などやむを得ない事情がある場合は引き出しが可能になりました。
非課税保有期間と引き出しやすさのポイントは以下の通りです。
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NISA
- 非課税保有期間:無期限
- 引き出しやすさ:いつでも可能
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ジュニアNISA
- 非課税保有期間:無期限(2024年以降)
- 引き出しやすさ:原則18歳まで。ただし、2024年以降は、18歳未満でもやむを得ない事情がある場合は可能。
どのような金融商品に投資できるか
次に、どのような種類の金融商品に投資できるか、という点も確認しておきましょう。NISAでは、「つみたて投資枠」では、毎月コツコツ積立投資ができる投資信託などに限定されています。一方、「成長投資枠」では、投資信託はもちろん、個別株(株式)など、より幅広い商品に投資することができます。
ジュニアNISAでも、投資信託やETF(上場投資信託)などに投資が可能です。ただし、個別株への投資については、2023年までは制限がありましたが、2024年からはNISAと同様に、個別株への投資も可能になりました。つまり、2024年以降は、NISAとジュニアNISAで投資できる商品の種類に大きな差はなくなりました。
投資できる金融商品の範囲をまとめると、以下のようになります。
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NISA
- つみたて投資枠:一定の要件を満たす投資信託など
- 成長投資枠:投資信託、ETF、個別株など(幅広い商品)
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ジュニアNISA
- 投資信託、ETF、個別株など(幅広い商品)
税制上のメリットの比較
NISAとジュニアNISAの最大の魅力は、やはり「税金がかからない」という点です。通常、投資で得た利益(配当金や売却益)には約20%の税金がかかりますが、これらの制度を利用することで、その税金がゼロになります。これは、長期的に資産を増やしていく上で、非常に大きなメリットと言えます。
例えば、100万円の利益が出た場合、通常なら約20万円が税金として引かれてしまいますが、NISAやジュニアNISAを使えば、そのまま100万円を運用に回し続けることができます。これにより、複利効果(利息が元金に加算されて、さらに増えていく効果)がより高まり、効率的に資産を増やしていくことが可能になります。
税制上のメリットをまとめると、以下のようになります。
| 制度 | 税制上のメリット |
|---|---|
| NISA | 投資から得られる利益(配当金、売却益)が非課税 |
| ジュニアNISA | 投資から得られる利益(配当金、売却益)が非課税 |
制度の廃止・拡充の歴史と今後の展望
NISA制度は、国民の資産形成を後押しするために、これまで何度か改正されてきました。当初は「一般NISA」や「つみたてNISA」といった形で提供されていましたが、より使いやすく、より多くの人に利用してもらうために、2024年から「新NISA」として大幅に拡充されました。非課税保有期間が無期限になり、投資枠も拡大するなど、より魅力的な制度へと進化しています。
ジュニアNISAも、制度開始当初はあまり利用が進んでいないという課題がありました。しかし、2024年からの制度改正により、非課税保有期間が無期限化され、18歳未満でも条件付きで引き出しが可能になるなど、利便性が向上しました。これにより、子供の将来のためにより計画的に、そして長期的に資産形成ができるようになっています。
今後の展望としては、NISA制度全体が、より多くの国民にとって身近な資産形成の手段となることが期待されます。特に、新NISAへの移行は、これまで投資に縁がなかった層にも、資産運用のメリットを実感してもらう大きなチャンスとなるでしょう。
どのような人がどちらの制度を利用すべきか
ここまで、NISAとジュニアNISAの違いを見てきましたが、では具体的にどのような人がどちらの制度を利用するのが良いのでしょうか。まず、 20歳以上でご自身の将来のために資産を増やしたいと考えている方 は、迷わずNISAを利用するのがおすすめです。
一方、 お子さんやお孫さんの将来(例えば教育資金や学費)のために、あらかじめお金を準備しておきたいと考えている方 は、ジュニアNISAの利用を検討すると良いでしょう。ただし、ジュニアNISAは原則18歳まで引き出せないという制約があるので、あくまでも長期間運用できる資金であることが前提となります。
どちらの制度も、非課税メリットを最大限に活かすことが大切です。それぞれの制度の特性を理解した上で、ご自身のライフプランや目的に合わせて、最適な制度を選んでいきましょう。
最後に、それぞれの制度の主な利用シーンをまとめると以下のようになります。
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NISA
:
- 20歳以上の個人
- 自身の老後資金、住宅購入資金、その他将来の大きな支出に備えたい人
- 投資初心者から経験者まで幅広く
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ジュニアNISA
:
- 0歳~19歳のお子さん・お孫さんがいる方(保護者が管理)
- 子供の教育資金、大学進学費用などを早期から準備したい方
- 長期で運用できる資金があり、子供の将来のために計画的に貯蓄したい方
NISAとジュニアNISAの違いを理解できたでしょうか?どちらも賢く利用すれば、将来のお金を増やす強力な味方になってくれます。ぜひ、ご自身の状況に合わせて、上手に活用してみてくださいね。