電気がショート!?短絡と地絡の違いをわかりやすく解説!

電気を安全に使う上で、「短絡(たんらく)」と「地絡(ちらく)」はとても大切な言葉です。この二つは、どちらも電気回路で起こる「異常な状態」を指しますが、その原因や影響には違いがあります。今回は、この「短絡と地絡の違い」を、身近な例えも交えながら、わかりやすく解説していきますね!

電気の道がショート!? 短絡と地絡の違いの基本

まずは、この「短絡と地絡の違い」の基本的なところから押さえましょう。短絡は、電気が本来流れるべき道筋から外れて、意図せず短い距離でつながってしまう状態です。まるで、迷子になった電気が、近道を見つけて急に飛び出してしまうイメージですね。

一方、地絡は、電気が本来流れるべきではない「地面」に触れてしまう状態です。電気は、地面に逃げ場があると、そちらに流れていってしまう性質があります。これは、水が低いところに流れていくのに似ています。

この二つの違いを理解することは、電気製品が壊れたり、火災の原因になったりするのを防ぐ上で 非常に重要です。

  • 短絡 (ショート): 電気回路内で、本来流れるべきでない場所で電気がつながり、抵抗が極端に低くなること。
  • 地絡 (アース故障): 電気が、絶縁が破れたりして、本来流れるべきでない地面や建物などに触れてしまうこと。

短絡で起こる、電気の暴走

短絡が起こると、電気の「道」がとても短く、抵抗がほとんどない状態になります。すると、電気はものすごい勢いで流れようとします。これは、ダムが決壊して、一気に水が流れ出すようなイメージです。

この大量の電気が流れることで、電線がものすごく熱くなります。熱くなりすぎると、電線が溶けたり、火花が出たりして、火災の原因になることもあります。まるで、細いパイプに大量の水が無理やり流れて、パイプが破裂するようなものです。

短絡は、主に電気製品の内部で、配線が傷ついたり、部品が故障したりすることで起こります。例えば、古い電気コードの被覆(ひふく)が破れて、中の導線同士が触れてしまう、といったケースが考えられます。

短絡を防ぐためには、以下のような対策が有効です。

  1. 電気製品のコードやプラグに傷がないか定期的に確認する。
  2. 古くなった電気製品は買い替える。
  3. 定格電流(ていかくでんりゅう)を超えた電気製品を同時に使用しない。

地絡、地面への逃亡劇

地絡は、先ほども触れたように、電気が地面に逃げてしまう現象です。本来、電気は電気回路の中だけを流れるように設計されています。しかし、何らかの原因で電気回路が破れて、地面につながってしまうと、電気は「こっちの方が楽だ!」と思って地面に流れ出してしまうのです。

地絡が起こると、電気製品の金属部分などが感電する危険性が高まります。これは、地面が電気を通しやすい性質を持っているため、電気製品の表面に電気が流れてしまうからです。

地絡の原因としては、

  • 電気製品の内部で、電線が断線して金属部分に触れてしまう。
  • 雨水などが電気機器に入り込み、絶縁(ぜつえん)が失われてしまう。
  • 設置(せっち)してあるアース線が、正しく地面につながっていない。

などが挙げられます。

地絡が発生した場合、電気回路に流れる電流は、通常よりも大きくなります。この増加した電流を検知して、電気を遮断(しゃだん)するのが「漏電遮断器(ろうでんしゃだんき)」という装置です。

短絡と地絡、それぞれの原因を深掘り!

短絡と地絡、それぞれの原因について、もう少し詳しく見ていきましょう。

短絡の具体的な原因

短絡は、電気回路の中で、プラスとマイナスの電線が意図せず直接つながってしまうことで起こります。これは、

  • 配線の劣化: 長年使用していると、電線の被覆(ひふく)が傷んだり、劣化してひび割れたりすることがあります。
  • 無理な配線: cramped な場所での配線作業や、電気製品の無理な設置は、配線を傷つける原因になります。
  • 異物の混入: 電気機器の内部に、金属製のクリップなどが入り込んで、配線同士をつないでしまうことがあります。

などが考えられます。

地絡の具体的な原因

地絡は、電気が「絶縁」を破って地面につながることで発生します。主な原因は、

原因 説明
湿気や水 雨水や結露などが電気機器内部に入り込み、絶縁を低下させる。
機械的な損傷 電気コードが引っ張られたり、挟まれたりして、被覆が破れ、内部の導線が露出して地面に触れる。
経年劣化 長年使用していると、絶縁材が劣化し、ひび割れなどが発生する。

短絡と地絡、それぞれの現象と危険性

短絡と地絡が起こった際に、具体的にどのような現象が起き、どのような危険性があるのかを見ていきましょう。

短絡が発生した際の現象

短絡が発生すると、電気回路の抵抗が極端に低くなるため、非常に大きな電流が流れます。これにより、

  • 発熱: 電線が急激に高温になり、溶けたり燃えたりする可能性があります。
  • 火花: 断線箇所や接触不良箇所から火花が発生し、引火の原因となります。
  • ブレーカーの作動: 過大な電流が流れるため、通常は安全装置であるブレーカーが作動し、電気を遮断します。

といった現象が起こります。

地絡が発生した際の現象

地絡が発生した場合、電気は地面に逃げようとします。このとき、

  1. 感電の危険: 電気が流れている機器の金属部分に触れると、人体を通して地面に電気が流れるため、感電する危険があります。
  2. 漏電: 電気エネルギーが地面に無駄に消費され、電気料金が無駄にかかることがあります。
  3. 火災: 地絡電流が想定以上に大きくなった場合、機器が発熱したり、火花が発生したりして火災につながることもあります。

といった現象が起こります。

「短絡と地絡の違い」を判断するポイント

では、もし電気に異常を感じた場合、「短絡と地絡の違い」をどのように判断すれば良いのでしょうか。

回路図での確認

電気回路図を見ると、短絡は「回路内の本来つながるはずのない箇所がつながっている」状態として描かれます。一方、地絡は「回路の一部が、地面(アース)につながっている」状態として描かれます。

テスターでの測定

電気工事士などが使用するテスター(マルチメーター)を使うと、電気回路の抵抗値などを測定できます。短絡の場合は、極端に抵抗値が低くなります。地絡の場合は、本来通らないはずの地面との間に抵抗値が測定されることで、地絡していることがわかります。

現象の観察

短絡の場合は、火花が出たり、ブレーカーが頻繁に落ちたりする現象が顕著です。地絡の場合は、感電の危険を感じたり、機器が異常に温まったりすることがあります。ただし、これらの現象だけで断定するのは危険なので、専門家への相談が不可欠です。

「短絡と地絡の違い」を防ぐための対策

「短絡と地絡の違い」を理解したところで、これらの事故を防ぐための対策をまとめてみましょう。

日頃からの点検と注意

電気製品のコードやプラグに傷がないか、定期的に確認することが大切です。また、濡れた手で電気製品に触れない、水気のある場所での電気製品の使用を控えるなど、基本的な注意も怠らないようにしましょう。

適切な電気工事

電気配線工事は、必ず資格を持った専門業者に依頼しましょう。不適切な工事は、短絡や地絡の大きな原因となります。

安全装置の活用

家庭には、過電流による火災を防ぐブレーカーや、地絡を検知して電気を遮断する漏電遮断器が設置されています。これらの安全装置が正しく機能しているか、定期的に点検することも重要です。

まとめると、短絡と地絡は、どちらも電気の安全を脅かす異常な状態ですが、その原因や影響は異なります。

  • 短絡: 電線同士が意図せずつながることで、過大な電流が流れる。
  • 地絡: 電気が地面に逃げることで、感電や火災の危険が生じる。

これらの違いを理解し、日頃から安全に注意することで、電気を安全に、そして快適に使うことができます。

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