インターネットの世界には、たくさんの仕組みがあります。「HTTP」と「FTP」、この二つの言葉、耳にしたことはありますか?実は、これらはインターネットで情報をやり取りするための、とっても大切なルール(プロトコル)なんです。今回は、この「HTTP と FTP の 違い」を、わかりやすく、そして詳しく解説していきます。それぞれの役割や得意なことを知ることで、インターネットがもっと身近に感じられるはずですよ!
HTTP と FTP:そもそも何が違うの?
HTTP(Hypertext Transfer Protocol)は、私たちが普段ウェブサイトを見るときに使う、一番身近な通信方法です。ウェブブラウザでURLを入力したり、リンクをクリックしたりすると、HTTPが働いて、サーバーからウェブページの情報(文章、画像、動画など)を私たちのパソコンやスマホに届けてくれます。
一方、FTP(File Transfer Protocol)は、名前の通り「ファイル」を「転送」するためのプロトコルです。ウェブサイトを公開するために、自分のパソコンからサーバーにファイルをアップロードしたり、逆にサーバーにあるファイルをダウンロードしたりする際に使われます。HTTPが「情報を表示する」のが得意なのに対し、FTPは「ファイルを直接やり取りする」のが得意なんです。
- HTTPの得意なこと : ウェブページの表示、情報の閲覧
- FTPの得意なこと : ファイルのアップロード・ダウンロード
この「表示」と「転送」という違いが、HTTP と FTP の 違いの最も基本的な部分と言えるでしょう。それぞれの用途によって、使い分けられているのです。
HTTP の仕組み:ウェブサイトはどうやって表示される?
HTTPの基本的な流れは、まず「リクエスト」と「レスポンス」というやり取りで成り立っています。皆さんがウェブブラウザでURLを入力すると、ブラウザはウェブサーバーに対して「このページを見せてください!」というリクエストを送ります。サーバーはそのリクエストを受け取ると、要求されたウェブページの情報(HTMLファイル、CSSファイル、画像ファイルなど)をまとめて、ブラウザにレスポンスとして送り返します。ブラウザは受け取った情報を解釈して、私たちが普段見ているウェブページを表示するのです。
HTTPには、いくつかの「メソッド」と呼ばれる命令があります。代表的なものをいくつか見てみましょう。
- GET : サーバーから情報を取得するときに使います。ウェブページを見るときは、このGETメソッドがよく使われます。
- POST : サーバーに情報を送信するときに使います。例えば、ウェブサイトの問い合わせフォームに情報を入力して送信する時などがこれにあたります。
- PUT : サーバーにファイルをアップロードするときなどに使われます。
HTTPは、これらのメソッドを使って、クライアント(皆さんのパソコンやスマホ)とサーバーの間で、効率的に情報をやり取りしています。 このリクエストとレスポンスの仕組みが、スムーズなウェブ閲覧を可能にしているのです。
さらに、HTTPでは、通信を暗号化する「HTTPS」という仕組みも使われています。これは、URLの「http」が「https」になっていることで確認でき、通信内容を第三者に盗み見られないように保護してくれます。
FTP の仕組み:ファイルを安全に送受信するには?
FTPは、クライアントとサーバーの間でファイルを送受信するための専用のプロトコルです。HTTPが主にウェブページの表示に使われるのに対し、FTPはより直接的なファイル操作に特化しています。FTPを使うには、通常、FTPクライアントソフト(FileZillaやCyberduckなど)を使います。このソフトを通じて、FTPサーバーに接続し、ログイン情報を入力して認証を通すことで、ファイルのアップロードやダウンロードが可能になります。
FTPには、主に二つのモードがあります。
| モード | 説明 |
|---|---|
| アクティブモード | サーバー側からクライアント側へ接続を試みます。 |
| パッシブモード | クライアント側からサーバー側へ接続を試みます。 |
どちらのモードを使うかは、ネットワーク環境によって最適な方が異なります。近年では、セキュリティの観点から、FTPよりも安全なSFTP(SSH File Transfer Protocol)やFTPS(FTP over SSL/TLS)が推奨されることが増えています。これらは、通信を暗号化するため、より安全にファイルをやり取りできるのが特徴です。
FTPの最も重要な役割は、ウェブサイトの公開や、大容量のファイルを共有する際の基盤となることです。
HTTP と FTP の 違い:用途による使い分け
HTTPとFTPの最も大きな違いは、その「目的」にあります。HTTPは、ウェブブラウザを通じて、ユーザーがウェブページの内容を「閲覧」することを目的としています。ウェブサーバーから送られてくるHTML、CSS、JavaScript、画像などのリソースを解釈し、画面上に表示するための情報伝達に適しています。例えば、ニュースサイトの記事を読んだり、オンラインショッピングサイトの商品を見たりする際には、常にHTTPが活躍しています。
一方、FTPは、ファイルそのものを「転送」することに特化しています。ウェブサイトを運営する人が、自分で作成したウェブページや画像ファイルをウェブサーバーにアップロードする際、あるいは、サーバーから特定のファイルをダウンロードする際に使われます。また、ブログのテーマを更新したり、プラグインをインストールしたりする際にも、FTPが使われることがあります。
- HTTP : コンテンツの閲覧、情報の取得
- FTP : ファイルのアップロード、ダウンロード、直接的なファイル操作
このように、 「何をするために通信するのか」という目的が、HTTP と FTP の 違いを明確にしています。
HTTP のバージョンと進化
HTTPは、インターネットの進化とともに、何度もバージョンアップを重ねてきました。初期のHTTP/0.9から始まり、HTTP/1.0、HTTP/1.1、そして現在主流となっているHTTP/2、さらに最新のHTTP/3へと進化しています。バージョンが上がるにつれて、通信速度の向上や、より効率的なデータ転送が可能になっています。
例えば、HTTP/1.1では、一つのTCP接続で複数のリクエストを送信できるようになり、ウェブページの表示速度が改善されました。HTTP/2では、さらに「多重化」という技術が導入され、複数のリクエストを同時に処理することで、より高速な通信を実現しました。
- HTTP/0.9: 初期バージョン、GETリクエストのみ
- HTTP/1.0: ヘッダー情報の追加、POSTメソッドの導入
- HTTP/1.1: 持続的接続(Keep-Alive)、パイプライン処理
- HTTP/2: 多重化、ヘッダー圧縮、サーバープッシュ
- HTTP/3: UDPベースのQUICプロトコルを使用、さらなる高速化
これらの進化は、私たちがより快適にインターネットを利用できるようになったことの証と言えるでしょう。
FTP のセキュリティ問題と代替手段
従来のFTPは、通信が暗号化されないため、ログイン情報(ユーザー名やパスワード)や送信されるファイルの内容が、第三者に傍受されるリスクがありました。このセキュリティ上の懸念から、近年ではFTPに代わる、より安全なプロトコルが広く使われるようになっています。それがSFTP(SSH File Transfer Protocol)とFTPS(FTP over SSL/TLS)です。
SFTPは、SSH(Secure Shell)という暗号化通信の仕組みを利用して、ファイル転送を行います。SSH自体が強力な暗号化機能を持っているため、通信経路全体が保護されます。一方、FTPSは、既存のFTPプロトコルにSSL/TLSという暗号化技術を組み合わせたものです。
- SFTP : SSHプロトコル上で動作し、通信全体を暗号化
- FTPS : FTPプロトコルにSSL/TLSを適用し、通信を暗号化
これらの安全なプロトコルの利用は、機密性の高いファイルを扱う場合や、ウェブサイトの管理において、非常に重要です。
HTTP と FTP の 違い:まとめ
ここまで、HTTPとFTPのそれぞれの役割や仕組み、そして違いについて詳しく見てきました。HTTPは、ウェブサイトを閲覧するための「表示」に特化しており、私たちがインターネットを日常的に使う上で欠かせない存在です。一方、FTPは、ファイルそのものをサーバーにアップロードしたり、ダウンロードしたりするための「転送」に特化しており、ウェブサイトの運営やファイル共有に不可欠です。
HTTPの進化やFTPのセキュリティ対策など、それぞれのプロトコルが時代とともに変化し、より便利で安全な利用方法が確立されていることも理解いただけたかと思います。この「HTTP と FTP の 違い」をしっかりと押さえることで、インターネットの仕組みへの理解がさらに深まるはずです。