健忘 症 と 認知 症 の 違い:知っておきたい大切なポイント

「最近物忘れがひどいな…」と感じたとき、それが単なる「健忘症」なのか、それとも「認知症」のサインなのか、迷うことがありますよね。健忘症と認知症の違いについて、分かりやすく解説します。

健忘症と認知症、何が違うの?

健忘症と認知症の違いを理解することは、ご自身の健康や大切な人の変化に気づく上でとても重要です。健忘症は、一時的または特定の原因による一時的な物忘れを指すことが多いのに対し、認知症は脳の病気によって記憶力だけでなく、判断力や言語能力など、様々な認知機能が低下していく状態を指します。

健忘症は、例えばストレスや疲労、睡眠不足などが原因で起こることがあります。原因が解消されれば、記憶力は回復することが期待できます。しかし、認知症の場合は、脳の神経細胞がダメージを受けたり失われたりするため、進行性であり、完全な回復は難しいとされています。

健忘症と認知症の根本的な違いは、その原因と進行性にある と言えるでしょう。一時的な物忘れで済むのか、それとも脳の病気が原因で進行していくのかを見極めることが大切です。

  • 健忘症:一時的な物忘れ、原因解消で回復の可能性あり
  • 認知症:脳の病気による進行性の認知機能低下

「記憶」以外の変化にも注目!

健忘症と認知症の違いを考える上で、単なる記憶力の低下だけに注目するのは不十分です。認知症では、記憶力の低下以外にも様々な変化が見られます。

例えば、以下のような変化です。

  1. 判断力・理解力の低下 :状況を正しく理解できず、不適切な行動をとってしまうことがあります。
  2. 実行機能の低下 :計画を立てて物事を実行することが難しくなります。
  3. 言語機能の低下 :言葉が出てこなかったり、話のつじつまが合わなくなったりします。

健忘症の場合、これらの「記憶以外の認知機能」に大きな問題がないことが多いのが特徴です。もし、物忘れだけでなく、これらの変化も同時に見られるようであれば、専門家への相談を検討しましょう。

原因の違い:一時的なものか、病気か

健忘症と認知症の違いは、その原因に大きく関わっています。健忘症は、一時的な体調不良や精神的なストレス、生活習慣の乱れなどが原因であることが多いです。

健忘症の原因例 認知症の原因例
疲労、睡眠不足 アルツハイマー病
ストレス、悩み 脳血管性認知症
薬の副作用 レビー小体型認知症

一方、認知症の多くは、脳の病気によって引き起こされます。代表的なものとしては、アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などがあり、これらは脳の神経細胞が徐々にダメージを受けていく病気です。

病気によっては、早期発見・早期治療が進行を遅らせるために重要になる場合もあります。自己判断せず、気になる症状があれば医師に相談することが大切です。

進行性の有無:徐々に悪化するか

健忘症と認知症の決定的な違いの一つに、その「進行性」があります。健忘症は、原因が取り除かれれば、元の状態に回復したり、悪化が止まったりすることが期待できます。

しかし、認知症は基本的に進行性の病気です。病状が進むにつれて、記憶力だけでなく、様々な認知機能の低下が徐々に、あるいは急速に進行していきます。

進行のスピードは、認知症の種類や個人差によって異なりますが、一進一退を繰り返したり、比較的ゆっくりと進行したりする場合もあれば、数年で大きく進行してしまう場合もあります。

  • 健忘症:原因解消で回復・進行停止の可能性
  • 認知症:原則として進行性、徐々に機能低下

受診のタイミング:いつ専門家に相談すべき?

「物忘れが気になるけれど、いつ病院に行けばいいのだろう?」と悩む方もいるでしょう。健忘症と認知症の違いを理解していれば、受診のタイミングを判断する助けになります。

以下のような場合は、専門家(医師)に相談することを強くお勧めします。

  1. 日常生活に支障が出始めたとき :例えば、以前できたこと(料理の手順を忘れる、金銭管理ができないなど)ができなくなってきた場合。
  2. 以前と性格や行動が変わってきたとき :急に怒りっぽくなった、無気力になった、疑い深くなったなど。
  3. 物忘れ以外の認知機能の低下が顕著なとき :場所や時間が分からなくなる、言葉が出てこない、物の名前が思い出せないなど。

早めに相談することで、原因を特定し、適切な対応や治療につながる可能性があります。専門家への相談は、決して恥ずかしいことではありません。

周囲のサポート:家族や友人の役割

健忘症や認知症の人が、安心して生活を送るためには、周囲のサポートが不可欠です。健忘症と認知症の違いを理解した上で、どのように接するかを考えることが大切になります。

例えば、認知症の疑いがある場合、本人が混乱しないように、

  • 安心できる声かけを心がける
  • 否定せず、本人の話をまず聞く
  • 分かりやすい言葉でゆっくり話す
  • 生活環境を整え、安全を確保する

といった配慮が有効です。

また、家族や友人自身も、一人で抱え込まず、相談できる場所を見つけることが大切です。地域包括支援センターや、認知症に関する相談窓口などを活用しましょう。

「健忘症かな?」と思ったときでも、まずは心配な気持ちを正直に話し、一緒に解決策を探っていく姿勢が、病状の悪化を防ぎ、心の安定につながります。

健忘症と認知症の違いを正しく理解し、早期に適切な対応をとることで、ご自身や大切な人の生活の質を保つことができます。不安を感じたら、一人で抱え込まず、専門家や信頼できる人に相談しましょう。

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