「NPO法人」と「特定非営利活動法人」、この二つの言葉、よく耳にするけれど、一体何が違うの?という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は、 NPO法人と特定非営利活動法人の違い は、実は非常にシンプルで、簡単に言うと「特定非営利活動法人」というのは「NPO法人」という大きな枠の中の一つの形態なのです。
「NPO法人」という大きな家族
まず、「NPO」というのは「Non-Profit Organization」の略で、「利益を目的としない団体」という意味です。つまり、株式会社のように儲けることを第一の目的とせず、社会のために役立つ活動をしている団体の総称なのです。この「NPO」という大きな家族の中に、色々な「NPO法人」という名前の親戚がいるイメージですね。
そして、「特定非営利活動法人」というのは、そんなNPO法人の中でも、特定の活動分野(例えば、子どもの支援、環境保護、文化活動など、法律で定められた20分野)で、公益性の高い活動をしている団体が、国や都道府県から「特定非営利活動法人」というお墨付きをもらった形態なのです。 この「特定非営利活動法人」という認定を受けることで、税制上の優遇措置を受けられたり、信頼性が高まったりするというメリットがあります。
まとめると、NPO法人という大きなカテゴリーがあり、その中に「特定非営利活動法人」という、より活動内容が限定され、行政の認定を受けた特別な形態がある、ということです。この違いを理解することが、NPO法人の全体像を掴む上でとても重要です。
- NPO法人:利益を目的としない団体の総称
- 特定非営利活動法人:NPO法人の中でも、特定の公益活動を行い、行政の認定を受けた形態
「特定非営利活動法人」になるための条件
では、どうすれば「特定非営利活動法人」になれるのでしょうか?実は、誰でもなれるわけではありません。まず、設立しようとしている活動が、法律で定められた20分野のどれかに当てはまっている必要があります。
例えば、以下のような活動分野があります。
- 保健、医療又は福祉
- 社会教育
- まちづくり
- 環境保全
- 災害救援
- 子どもの健全育成
- 国際協力
これらの分野で、一定の基準を満たす活動を行うことが求められます。また、設立には最低限の人数(社員)が必要だったり、事業計画や定款(団体のルールブックのようなもの)を作成したりと、いくつかの手続きを踏む必要があります。
さらに、 「特定非営利活動法人」になるためには、設立の申請をして、所轄庁(国や都道府県)の認証を受けなければなりません。 この認証プロセスでは、団体の活動内容や組織運営が適正であるかどうかが審査されます。
NPO法人と特定非営利活動法人の設立手続きの違い
設立の手続きについても、両者には違いがあります。一般的なNPO法人(例えば、一般社団法人など)は、会社設立のように法務局に登記することで設立できます。しかし、特定非営利活動法人の場合は、先ほども触れましたが、所轄庁の認証が必要となります。
手続きの流れを簡単に見てみましょう。
- 所轄庁への設立認証申請
- 所轄庁による審査
- 設立認証書の交付
- 所轄庁での登記
このように、特定非営利活動法人は、設立までに少し手間と時間がかかる傾向があります。しかし、その分、社会的な信頼を得やすいという側面もあります。
NPO法人と特定非営利活動法人の活動内容の違い
活動内容の面でも、違いがあります。特定非営利活動法人は、先ほども説明したように、法律で定められた20分野の「特定非営利活動」に限って活動することができます。それ以外の活動を行うことも可能ですが、あくまで「特定非営利活動」が主たる活動でなければなりません。
一方、NPO法人という大きな枠には、営利を目的としない様々な形態が含まれます。例えば、宗教法人や学校法人、財団法人なども、広義にはNPO法人と言えますが、これらはそれぞれ別の法律に基づいて設立・運営されています。
表にまとめると、より分かりやすいかもしれません。
| NPO法人(広義) | 特定非営利活動法人 | |
|---|---|---|
| 活動分野 | 制限なし(ただし、非営利目的) | 法律で定められた20分野 |
| 設立方法 | 種類による(登記、行政の認証など) | 所轄庁の認証が必要 |
NPO法人と特定非営利活動法人の税制上の違い
税金面でも、違いが出てきます。特定非営利活動法人は、行政から「公益性の高い活動をしている」と認定されているため、法人税や寄付金に対する税制上の優遇措置を受けることができます。これにより、団体がより多くの資金を活動に充てられるようになります。
例えば、個人が特定非営利活動法人に寄付をした場合、一定の条件を満たせば、所得税の控除を受けられることがあります。これは、一般のNPO法人(例えば、株式会社の形態で非営利活動をしている場合など)では受けられない特典です。
NPO法人と特定非営利活動法人の社会的認知度の違い
「特定非営利活動法人」という名称は、法律によって定められており、国や都道府県からの「お墨付き」があることを示しています。そのため、一般的には「特定非営利活動法人」の方が、より社会的な信頼度が高いと見なされる傾向があります。
もちろん、全てのNPO法人が信頼できないというわけではありませんが、特に寄付を集めたり、公的な事業に参加したりする際には、「特定非営利活動法人」である方が有利に進めやすい場合があります。
NPO法人と特定非営利活動法人の活動の自由度の違い
活動の自由度という点では、特定非営利活動法人は、その名称の通り「特定非営利活動」を中心に活動する必要があるため、活動分野に一定の制約があります。しかし、その制約があるからこそ、目的が明確になり、支援者も活動内容を理解しやすくなります。
一方、NPO法人という大きな枠の中には、もっと幅広い活動ができる法人形態も含まれます。例えば、一般社団法人などは、非営利目的であれば、比較的自由な活動が可能です。
どちらが良いかは、団体の目指す活動内容や、どのような社会貢献をしたいかによって異なります。 重要なのは、自分たちの活動に合った法人格を選択することです。
このように、「NPO法人」という言葉は広く「利益を目的としない団体」を指し、その中でも「特定非営利活動法人」は、特定の公益活動を行い、行政の認定を受けた、より具体的な法人形態であることが分かります。どちらの形態を選ぶにしても、社会のために役立つ活動を行うという志は共通しています。もし、あなたが社会貢献活動を始めたいと考えているなら、これらの違いを理解した上で、最適な法人格を検討してみてください。