「退任」と「退職」の違いをスッキリ解説! あなたはどっち?

「退任」と「退職」、どちらも会社や組織から離れることを指しますが、実は意味が少し違います。この二つの言葉、具体的にどう違うのか、そしてどのような場面で使われるのか、今回は「退任」と「退職」の違いを分かりやすく解説していきますね!

「退任」と「退職」の基本的な意味の違い

まず、一番大事な「退任」と「退職」の基本的な意味の違いから見ていきましょう。簡単に言うと、「退任」は特定の役職から降りること、「退職」は会社員としての身分を終えることを指します。 この違いを理解することが、それぞれの言葉を正しく使うための第一歩です。

  • 退任: 役員や管理職などの「役職」から外れること。例えば、社長や部長がその職を辞める場合に使われます。
  • 退職: 会社や組織との雇用契約を終了し、従業員としての身分を失うこと。

例えば、株式会社の社長が任期を終えて社長の椅子を降りる場合は「退任」ですが、その会社で働く一般社員が会社を辞める場合は「退職」となります。もちろん、役員や管理職の方でも、会社を辞めるという点では「退職」という言葉も使われることがあります。この辺りが少しややこしいところですね。

ここで、それぞれの状況を具体的に見てみましょう。

  1. Aさん(会社の社長) :社長としての任期が満了し、社長の職を辞めた。→「社長を 退任 しました。」
  2. Bさん(会社の一般社員) :会社での仕事を辞めて、別の会社へ転職することになった。→「会社を 退職 しました。」
  3. Cさん(会社の専務取締役) :専務取締役の役職を降り、顧問になった。→「専務取締役を 退任 しました。」
  4. Dさん(会社の専務取締役) :専務取締役の役職を降り、そのまま会社を辞めた。→「会社を 退職 しました。(専務取締役を 退任 しました、とも言える)」
言葉 主な意味
退任 役職から降りる 社長の退任、部長の退任
退職 会社員としての身分を終える 会社を退職する、定年退職

「退任」が使われる具体的な場面

「退任」は、主に「役職」に焦点を当てた言葉です。会社や組織における特定の地位や役割から離れることを意味します。ですので、役員、取締役、監査役、部長、課長といった、組織内での役職を持つ人が、その役職を辞める際に使われます。

例えば、株主総会で役員が交代する際、「〇〇氏が取締役を退任し、新たな取締役が選任されました」といった使われ方をします。これは、その人が会社の取締役という役職を辞めることを示しています。まだ会社には残る場合もあれば、会社自体を辞める場合もあります。

また、退任の理由としては、任期満了、辞任、解任などがあります。任期満了による退任は、契約期間が終わったということで、円満な退任と言えるでしょう。辞任は、本人の意思で役職を辞める場合です。解任は、会社側の判断で役職から外される場合を指します。

退任した後にどうなるかは、その人次第です。例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 引き続き会社に在籍する: 役職は退任したが、顧問や相談役として会社に残る。
  • 会社を辞める: 役職の退任と同時に、会社員としての身分も終える。
  • 他の役職に就く: 別の会社の役員に就任するなど、新たな役職に就く。

「退職」が使われる具体的な場面

一方、「退職」は、会社や組織との「雇用契約」を終了し、従業員としての身分を終えることを指します。これは、役職の有無にかかわらず、会社に所属するすべての人が対象となり得ます。

例えば、新入社員が半年で会社を辞める場合も「退職」、長年勤めた社員が定年を迎えて辞める場合も「退職」です。給料をもらって働くという雇用関係がなくなることが、「退職」のポイントです。

退職の理由も様々です。自己都合による退職、会社都合による退職、定年退職などが代表的です。自己都合退職は、本人の意思で辞める場合。会社都合退職は、会社の業績悪化や事業縮小などが原因で辞めざるを得なくなった場合です。

退職すると、一般的には以下のような手続きが必要になります。

  1. 退職願(または退職届)の提出: 会社に退職の意思を伝える書類です。
  2. 引き継ぎ: 担当していた業務を後任者に引き継ぎます。
  3. 各種手続き: 有給休暇の消化、健康保険証や年金手帳の返却、離職票の受け取りなどを行います。

「退任」と「退職」が重なるケース

さて、ここが少しややこしいのですが、「退任」と「退職」は同時に起こることもあります。特に、役員や管理職の方が、その役職を辞めると同時に、会社員としての身分も終える場合です。

例えば、ある会社の社長が、任期満了で社長の座を降り、そのまま会社も辞めるというケースを考えてみましょう。この場合、「社長を 退任 しました」と言うこともできますし、「会社を 退職 しました」と言うこともできます。両方の意味を含んでいると言えますね。

さらに、「社長を 退任 し、会社を 退職 いたしました」のように、両方の言葉を組み合わせて使うこともよくあります。これは、役職を辞めることと、会社員としての籍を置かなくなること、両方の事実を明確に伝えたい場合に用いられます。

このようなケースでは、どちらの言葉を使っても間違いではありませんが、何を一番伝えたいかによって使い分けるのが良いでしょう。役職について言及したいなら「退任」、会社員としての籍がなくなることを強調したいなら「退職」がより適切かもしれません。

「退任」と「退職」の言葉のニュアンスの違い

言葉のニュアンスとしても、少し違いがあります。「退任」は、どちらかというと「役職」という、ある種の「名誉」や「責任」を伴うものから離れる、というイメージが強いです。そのため、功労を称えられたり、次のステージへのステップアップを期待されたりするような、ポジティブな文脈で使われることも多いです。

一方、「退職」は、より広く、会社員としてのキャリアを終える、という事実を述べる言葉です。定年退職は、長年の勤務を労う意味合いが強いですが、自己都合退職の場合は、個人のキャリアプランや新たな挑戦といった、前向きな意味合いも含まれます。

例えば、

  • 「長年会社のために尽力された〇〇氏が、この度、取締役を 退任 されました。新たな門出を心よりお祝い申し上げます。」
  • 「この度、一身上の都合により、〇〇株式会社を 退職 することとなりました。皆様には大変お世話になりました。」

のように、言葉の選び方で、伝えたい気持ちや状況がより豊かに表現されます。

「役員退任」と「会社退職」の使い分け

「役員退任」と「会社退職」という言葉で、さらに具体的に使い分けを考えてみましょう。「役員退任」は、まさに役員という「役職」から離れることを指します。社長、取締役、監査役などが、その役職を辞める場合に使われます。

一方で、「会社退職」は、会社員としての雇用関係を解消することを指します。役員であっても、役員という立場を辞めて、会社員としても籍を置かなくなる場合は「会社退職」となります。ただし、役員が会社を辞める場合、一般的には「役員を退任し、会社を退職する」というように、両方の言葉を組み合わせて使うことが多いです。

例えば、

  1. 役員退任のみ: 「〇〇氏は、取締役を 退任 しました。今後は顧問として残ります。」(会社には在籍)
  2. 会社退職のみ(役員ではない場合): 「〇〇さんは、〇〇部署を 退職 しました。」
  3. 役員退任と会社退職: 「〇〇氏は、代表取締役を 退任 し、当社を 退職 いたしました。」(役職も辞め、会社も辞める)

まとめ:退任と退職、それぞれの意味を理解して正しく使おう!

「退任」は役職を辞めること、「退職」は会社員としての身分を終えること。この二つの言葉の違い、なんとなく掴めたでしょうか? どちらも組織から離れることには変わりありませんが、焦点を当てる部分が違います。状況に応じて、より適切な言葉を選ぶことで、誤解なく、そして自分の伝えたいことを正確に相手に伝えることができます。ぜひ、これからは「退任」と「退職」を意識して使ってみてくださいね!

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