知っておきたい!受勲 と 叙勲 の 違いを分かりやすく解説

「受勲」と「叙勲」、なんだか似ているけれど、一体どう違うの?という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。「受勲 と 叙勲 の 違い」をスッキリ理解できるよう、今回は分かりやすく解説していきます。結論から言うと、「叙勲」は国が功績を称えて褒章を与える行為、「受勲」はその褒章を「受ける」側の行為を指します。

「叙勲」とは?国からの栄誉を称える行為

まず、「叙勲(じょくん)」について見ていきましょう。これは、国が、社会や公共の利益のために貢献した人々の功績を称え、褒章(ほうしょう)を与えることです。つまり、国が「あなたは素晴らしい功績を挙げられましたね」と、表彰状のようなもの(勲章)を授与する行為そのものを指します。

叙勲には、さまざまな種類があります。例えば、以下のようなものがあります。

  • 文化勲章:文化の発展に大きく貢献した人に贈られます。
  • 瑞宝章(ずいほうしょう):国や公共の事務に長年従事し、功績を挙げた人に贈られます。
  • 旭日章(きょくじつしょう):国や公共の事務で功績を挙げた人に贈られます。

この「叙勲」という言葉には、国が個人を高く評価し、その功績を公式に認める、という重みがあります。

叙勲の対象となる人は、その功績の度合いや分野によって細かく定められています。例えば、長年にわたる公務員としての献身的な働きや、科学技術の発展への寄与、芸術分野での顕著な業績などが評価の対象となります。叙勲の選考は、内閣府が中心となり、専門家などの意見を聞きながら慎重に進められます。

「受勲」とは?栄誉を受け取る側の立場

次に、「受勲(じゅくん)」です。これは、先ほど説明した「叙勲」によって、褒章(勲章)を「受ける」側、つまり、国から功績を称えられた個人が、その褒章を受け取る行為を指します。叙勲が「与える」行為であれば、受勲は「受け取る」行為なのです。

受勲する人は、当然ながら、叙勲の対象となった方々です。例えば、長年地域のために尽力してきた方、教育分野で多大な貢献をした方などが、叙勲の対象となり、そして受勲することになります。叙勲の対象となったことが発表されると、その方には勲記(くんき、勲章の証明書)と勲章が授与されます。

受勲の際には、皇居で授与式が行われることもあります。これは、天皇陛下から直接勲章を授与されるという、大変栄誉ある機会です。この授与式は、受勲者にとって人生の大きな節目となります。

受勲という言葉は、個人の功績が公に認められ、その栄誉を一身に受ける、というニュアンスを含んでいます。以下に、受勲に関わる主な要素をまとめました。

行為 主体 意味
叙勲 国(政府) 功績を称え、褒章を与えること
受勲 個人 与えられた褒章を受け取ること

「叙勲」の対象となる分野

叙勲されるかどうかは、どのような分野で、どれだけの功績を挙げたかが重要になります。国は、様々な分野での貢献を評価しています。具体的には、以下のような分野が挙げられます。

  • 学術・科学技術
  • 芸術・文化
  • 社会福祉・医療
  • 産業・経済
  • 地域社会への貢献
  • 公務

これらの分野で、長年にわたり、あるいは特別に顕著な功績を残した人が、叙勲の対象となり得ます。

それぞれの分野における功績は、専門家や関係機関からの推薦に基づいて評価されます。例えば、科学分野であれば、ノーベル賞級の研究成果や、社会に大きな影響を与えた発明などが考慮されるでしょう。文化分野では、芸術作品の発表や、伝統文化の継承・発展への貢献などが評価されます。

評価の基準は、単に一時的な活躍だけでなく、継続的な貢献や、その功績が社会に与える影響の大きさも考慮されます。そのため、叙勲は、まさにその人の人生をかけた努力や貢献が、国によって認められた証と言えるでしょう。

「受勲」する際の形式

叙勲の対象となった方が、実際に勲章を受け取る「受勲」の際には、いくつかの形式があります。最も代表的なのが、皇居での親授式(しんじゅしき)です。これは、天皇陛下が直接、受勲者に勲章を授与される儀式であり、受勲者にとって最高の栄誉となります。

親授式以外にも、内閣総理大臣や関係大臣から授与される場合もあります。また、勲記(くんき)と呼ばれる、勲章の名称や授与された人の氏名、授与年月日などが記された賞状のようなものも一緒に授与されます。この勲記も、受勲の重要な証となります。

受勲の際の服装も、一般的には正装が求められます。男性はモーニングコートやタキシード、女性はイブニングドレスなど、格式にふさわしい装いが着用されます。これは、叙勲という儀式の格調高さを表すためでもあります。

「叙勲」と「褒章」の関連性

「叙勲」という言葉とよく似た言葉に「褒章(ほうしょう)」があります。「叙勲」は、勲章という形で与えられる褒賞の一種と考えることができます。褒章には、勲章の他に、賞杯(しょうはい)や褒状(ほうじょう)など、様々な形があります。

例えば、危険な状況で人命を救った方や、社会に多大な貢献をした方などには、「藍綬褒章(らんじゅほうしょう)」や「黄綬褒章(おうじゅほうしょう)」といった褒章が授与されることがあります。これらは、勲章とはまた別の種類の褒賞です。

つまり、「叙勲」は「勲章」を授与する行為であり、広義の「褒章」の一部と言えるのです。どちらも、国が功績を称えるための制度ですが、与えられるものが「勲章」であるか、それ以外の「褒章」であるか、という違いがあります。

「叙勲」されることの意義

「叙勲」されるということは、単に栄誉を得るということだけではありません。それ以上に、その人の長年にわたる努力や貢献が、国という大きな組織によって公式に認められた、という大きな意義があります。これは、本人だけでなく、その家族や、所属する団体にとっても、誇りとなることです。

また、叙勲された人の功績は、後世に語り継がれるきっかけにもなります。叙勲された人の生き方や、その功績を知ることで、若い世代が目標を見つけたり、社会貢献への意欲を高めたりすることにも繋がるでしょう。

叙勲は、社会全体に「このような功績は称えられるべきだ」というメッセージを送る役割も担っています。これにより、人々は様々な分野での活躍を目指し、社会全体の発展に繋がるのです。

「受勲」した後にすること

「受勲」し、勲章を授与された後も、その栄誉を大切にすることは重要です。勲章は、その人の功績の証として、生涯にわたって大切に保管されるべきものです。また、勲記も同様に、大切な記録となります。

勲章を身につける機会としては、結婚式や叙勲の記念行事など、特別な場面が考えられます。ただし、勲章の着用には一定のルールやマナーがありますので、それに従うことが大切です。例えば、公の場での着用は許可されますが、私的な場での着用は慎むべき場合もあります。

受勲は、その人の人生における一つの頂点かもしれませんが、そこで満足するのではなく、その栄誉を胸に、これからも社会に貢献していくことが期待されます。叙勲された方々のさらなる活躍は、私たちにとっても励みとなるでしょう。

このように、「受勲」と「叙勲」は、表裏一体の関係でありながら、それぞれが指し示す意味合いが異なります。「叙勲」は国からの「与える」行為、「受勲」は個人が「受け取る」行為。この違いを理解することで、勲章にまつわるニュースなどをより深く理解できるようになるはずです。

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