psvt と vt の 違いを徹底解説! 知っておきたい心臓のリズムの話

心臓のリズムが速くなる病気はいくつかありますが、「PSVT(発作性上室性頻拍)」と「VT(心室頻拍)」は、その原因となる場所や特徴が異なります。今回は、この psvt と vt の 違い を、分かりやすく、そして詳しく解説していきます。

PSVTとVT、どこが違うの? 基本を押さえよう

PSVTとVTの最も大きな違いは、心臓の電気信号が発生する「場所」にあります。PSVTは、心臓の上の方にある「心房」という部屋で、通常とは異なる電気の通り道ができてしまうことで起こります。一方、VTは、心臓の下の方にある「心室」という部屋で、異常な電気信号が発生することで起こります。この発生場所の違いが、症状や治療法にも影響を与えてきます。

PSVTは、突然始まり、突然終わるのが特徴です。まるで「ポン!」と突然速くなるようなイメージです。症状としては、動悸、息切れ、めまいなどを感じることがありますが、比較的短時間で治まることが多いです。しかし、頻繁に起こると日常生活に支障をきたすこともあります。

対してVTは、より重篤な状態を引き起こす可能性があります。心室での異常な電気信号は、心臓が血液を全身に送り出すポンプとしての機能をうまく果たせなくなる原因となるためです。 psvt と vt の 違い を理解することは、適切な診断と治療を受ける上で非常に重要です。

  • PSVT : 心房での電気信号の異常
  • VT : 心室での電気信号の異常

PSVTのメカニズム:電気のショート!

PSVTは、心臓の中を電気信号が流れる「回路」に問題が起こることで発生します。通常、心臓の電気信号は、決まったルートを通って、心臓全体に規則正しく伝わります。しかし、PSVTでは、この電気信号が、通常とは異なる「副伝導路」と呼ばれる近道を通ってグルグル回ってしまうのです。この「回路」ができてしまうと、心臓が異常に速く拍動してしまいます。

この回路ができる原因は、生まれつき持っている場合と、後天的にできる場合があります。例えば、心臓に負担がかかるような状態が続いたり、加齢によって心臓の組織が変化したりすることで、副伝導路が形成されることもあります。

PSVTの主な特徴をまとめると以下のようになります。

症状 突然の動悸、息切れ、めまい、胸の不快感
持続時間 数分から数時間で自然に治まることが多い
原因 心房内の電気信号の異常な回路

VTのメカニズム:心室からのSOS!

VTは、心室という、心臓のメインポンプから発生する危険な不整脈です。心室で異常な電気信号が連発すると、心臓が効果的に血液を送り出せなくなります。これは、全身に酸素や栄養を届けることができなくなるため、非常に危険な状態と言えます。

VTが起こる背景には、心筋梗塞や心筋症など、心臓の筋肉にダメージを与える病気が隠れていることが多いです。これらの病気によって心臓の筋肉が傷つくと、そこに異常な電気信号が発生しやすい場所(興奮しやすい場所)ができてしまうのです。

VTのメカニズムについて、さらに詳しく見てみましょう。

  1. 心臓の筋肉にダメージがある。
  2. ダメージを受けた部分で、異常な電気信号が発生しやすくなる。
  3. 心室が、その異常な電気信号に振り回されて、速く、しかし非効率的に動いてしまう。

PSVTとVT、症状の違いは?

PSVTとVTでは、感じられる症状にも違いがあります。PSVTは、比較的短時間で治まることが多く、動悸や息切れ、めまいなどを感じても、しばらく休めば落ち着くことが多いです。まるで、急に走った後のような感覚に近いかもしれません。

一方、VTは、より深刻な症状を引き起こすことがあります。突然の失神(意識を失うこと)、強い胸の痛み、呼吸困難などが現れることがあります。これは、心臓が全身に血液を送る能力が著しく低下するためです。

症状の比較表を見てみましょう。

PSVT VT
動悸 あり(突然始まり、突然終わる) あり(持続的で強い場合も)
息切れ あり あり(強い場合も)
めまい あり あり
失神 まれ あり(より高頻度)
胸の痛み 軽度の場合も 強い場合も

PSVTとVT、診断はどうするの?

PSVTとVTの診断には、心電図が最も重要な検査となります。心電図は、心臓の電気的な活動を記録するもので、不整脈の種類を特定するのに役立ちます。

特に、発作が起こっている最中に心電図を記録できれば、PSVTなのかVTなのか、そしてどのような種類の不整脈なのかを詳しく調べることができます。また、ホルター心電図という、24時間心電図を記録する検査で、普段は現れない不整脈を捉えることもあります。

診断のために行われる検査には、以下のようなものがあります。

  • 心電図 :不整脈の波形を調べる基本検査
  • ホルター心電図 :長時間の心電図記録
  • 負荷心電図 :運動中に不整脈が出現するか調べる
  • 心臓超音波検査(エコー) :心臓の動きや構造を調べる
  • 電気生理学的検査(心臓カテーテル検査) :心臓の内部から電気的な刺激を与えて、不整脈の原因を調べる(特にVTの診断や治療に重要)

PSVTとVT、治療法はどう違う?

PSVTとVTでは、治療法も異なります。PSVTの場合、発作が起きた時には、迷走神経を刺激するような方法(いきみをこらえる、顔を冷たい水につけるなど)で、一時的に心拍数を落ち着かせることができる場合があります。それでも治まらない場合や、頻繁に起こる場合は、薬物療法やカテーテルアブレーションという、電気信号の通り道を焼灼する治療が行われます。

VTの治療は、PSVTよりも緊急性が高く、より積極的な治療が必要になることが多いです。まず、失神などを伴う危険なVTの場合は、電気ショック(除細動)が必要になることがあります。また、VTを繰り返さないように、抗不整脈薬による治療や、植え込み型除細動器(ICD)という、心臓に埋め込む小型の機器で、危険な不整脈が起きた時に自動で電気ショックを与えてくれる装置の植え込みが行われることもあります。

治療法について、一覧にしてみましょう。

  1. PSVTの治療
    • 迷走神経刺激療法
    • 薬物療法
    • カテーテルアブレーション
  2. VTの治療
    • 電気ショック(除細動)
    • 薬物療法
    • 植え込み型除細動器(ICD)の植え込み
    • カテーテルアブレーション(原因によっては)

PSVTとVT、日常生活での注意点は?

PSVTと診断された方は、過度なカフェイン摂取や、飲酒、喫煙などを控えることが推奨される場合があります。また、ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を持つことも大切です。医師から処方された薬は、指示通りにきちんと服用しましょう。

VTと診断された方は、さらに注意が必要です。病気によっては、突然死のリスクもあるため、医師の指示を厳守することが何よりも重要です。激しい運動は制限される場合が多く、定期的な通院や検査を受けることが不可欠です。もし、植え込み型除細動器(ICD)を装着されている場合は、その機器の管理や、電磁波を発する機器への注意なども必要になります。

日常生活での注意点をまとめると、以下のようになります。

PSVT VT
食事・飲み物 カフェイン、アルコールを控える(個人差あり) 医師の指示に従う
運動 過度な運動は避ける、ストレス解消法を見つける 制限される場合が多い、医師の指示に従う
服薬 指示通りに服用 指示通りに服用、自己判断で中止しない
その他 ストレス管理 ICDの管理、電磁波への注意(ICD装着者)

PSVTとVT、予後(将来の見通し)はどうなの?

PSVTの予後は、一般的に良好とされています。カテーテルアブレーションで根本的な治療ができる場合も多く、再発しても日常生活に大きな支障がないことが多いです。ただし、頻繁に発作が起こる場合は、心臓に負担がかかることもあるため、医師の指示に従い、定期的な経過観察が大切です。

VTの予後は、原因となっている心臓病の種類や、不整脈の重症度によって大きく異なります。適切に治療を受け、管理をすれば、長期にわたって安定した生活を送れる方も多くいらっしゃいますが、一部には突然死のリスクが高い場合もあります。そのため、VTと診断された場合は、専門医としっかり相談し、ご自身の状態に合った治療法と生活習慣を確立していくことが重要です。

予後に関するポイントをまとめると以下のようになります。

  • PSVT : 一般的に良好、カテーテルアブレーションで根治の可能性も
  • VT : 原因や重症度による、専門医との連携が重要

いかがでしたでしょうか?今回は、psvt と vt の 違いについて、そのメカニズムから症状、診断、治療、そして日常生活での注意点まで、詳しく解説しました。どちらの不整脈も、心臓のリズムが乱れることで起こるものですが、その原因や危険度は異なります。もし、ご自身や周りの方が心臓のリズムに不安を感じることがあれば、まずは専門医に相談することが大切です。早期発見・早期治療が、健康な毎日を守る鍵となります。

関連記事: