クリエイティブな作業をする上で、避けては通れないのが「フォトショップ」と「イラストレーター」という二つの強力なツールです。この二つ、名前は似ているけれど、実は得意なことが全然違うんです。今回は、 フォト ショップ と イラストレーター の 違い を分かりやすく解説し、それぞれの特徴やどんな時にどちらを使えば良いのかを、皆さんの疑問に答える形でご紹介します。
ピクセル vs ベクター：描画方法の根本的な違い
まず、一番大切なのは、この二つのソフトが「絵」を描く根本的な方法が違うということです。フォトショップは「ピクセル（画素）」という小さな点の集まりで絵を作ります。デジカメで撮った写真も、このピクセルの集まりです。だから、写真を加工したり、絵の具で描いたようなリアルな質感を出したりするのが得意なんです。一方、イラストレーターは「ベクター」という、点と線で描く方法を使います。これは、数式のようなもので形を表現するので、どんなに拡大してもギザギザにならず、滑らかで綺麗な線が保たれるのが特徴です。
この違いが、それぞれの得意分野に大きく影響しています。
- フォトショップの得意なこと：
- 写真のレタッチ（色調補正、シミ消しなど）
- デジタルペイント（絵の具で描いたような表現）
- コラージュ（複数の写真を組み合わせて一つの作品にする）
- イラストレーターの得意なこと：
- ロゴデザイン
- アイコン、イラスト制作
- 図形や文字を使ったデザイン
この「ピクセルかベクターか」という根本的な違いを理解することが、フォトショップとイラストレーターの使い分けの第一歩です。
用途で見る！フォトショップとイラストレーターの使い分け
さて、具体的にどんな場面でどちらのソフトが活躍するのかを見ていきましょう。もしあなたが、今日撮ったばかりの友達の写真をもっと綺麗にしたい、あるいはSNSにアップするのに顔のシミを消したいと思ったとします。そんなときは、迷わずフォトショップを選びましょう。写真の細かい部分まで自然に修正したり、光の当たり具合を調整したりするのに、フォトショップは最適なんです。
一方で、お店の看板に使うロゴを作りたい、あるいはイベントで配るチラシに使うオリジナルのキャラクターイラストを描きたい、という場合はイラストレーターが断然おすすめです。イラストレーターで描いたイラストは、拡大しても綺麗なので、小さな名刺から大きなポスターまで、どんなサイズでも対応できます。
まとめると、
| こんな時は… | おすすめソフト |
|---|---|
| 写真の加工、レタッチ | フォトショップ |
| ロゴ、アイコン、キャラクターデザイン | イラストレーター |
| 絵の具で描いたようなリアルな表現 | フォトショップ |
| 拡大・縮小しても劣化しないデザイン | イラストレーター |
解像度と拡大・縮小：仕上がりの違い
フォトショップはピクセルの集まりなので、画像を拡大しすぎると、ピクセルが一つ一つ見えてきて、いわゆる「ジャギー」というギザギザした見た目になってしまいます。これは、写真の解像度（どれだけ細かいピクセルでできているか）に依存する部分が大きいです。
対してイラストレーターはベクター形式なので、どれだけ拡大しても、数学的な計算で描かれているため、線は常に滑らかで綺麗さを保ちます。だから、最終的な印刷サイズがまだ決まっていないデザインや、様々なサイズで使われる可能性のあるロゴデザインなどでは、イラストレーターが非常に強力な味方となります。
- フォトショップ：
- 拡大すると画質が荒れる可能性がある
- 写真のようなリアルな表現が得意
- イラストレーター：
- 拡大・縮小しても画質が劣化しない
- シャープでクリーンな線が特徴
編集の自由度：どっちがより「いじれる」？
フォトショップは、写真のピクセルを直接操作するため、非常に細かい編集が可能です。例えば、肌の質感を滑らかにしたり、不要なものを消したり、複雑なグラデーションをつけたりと、まるでデジタル絵の具で描いているかのような感覚で作業できます。ブラシの種類も豊富で、様々なテクスチャ（質感）を表現できます。
一方、イラストレーターは、オブジェクト（図形や線）を編集する感覚に近いです。パス（点の間の線）を編集して形を変えたり、塗りの色や線の太さを調整したりします。直感的に図形を操作できるので、レイアウトを考える作業や、複数の要素をきれいに配置する作業が得意です。
どちらのソフトも、編集の自由度は非常に高いのですが、その「自由度」の性質が異なると理解しておきましょう。
レイヤー構造：作業の整理術
どちらのソフトにも「レイヤー」という機能があります。これは、絵の具で色を重ねていくように、透明なシートを何枚も重ねていくイメージです。このレイヤー機能のおかげで、それぞれの要素を個別に編集したり、非表示にしたり、順番を入れ替えたりすることが可能になります。これにより、複雑なデザインでも、整理しながら効率的に作業を進めることができます。
フォトショップのレイヤーは、ピクセル情報を持っています。イラストレーターのレイヤーは、パス情報を持っています。この違いが、後々の編集に影響を与えることもあります。
データ形式：保存するときの違い
フォトショップで作成したデータは、主に「PSD形式」で保存されます。これは、レイヤー情報などを保持したまま保存できる形式で、後から編集しやすいのが特徴です。Webで公開する場合は「JPEG」や「PNG」などの形式に書き出すことが多いです。
イラストレーターで作成したデータは、「AI形式」で保存するのが一般的です。こちらもレイヤー情報などを保持しており、ベクター形式ならではの編集のしやすさを保ちます。印刷物でよく使われる「EPS」や、Webで使うための「SVG」などの形式に書き出すことも可能です。
学習コスト：どっちが難しい？
正直なところ、どちらのソフトも多機能で、使いこなすにはある程度の時間と練習が必要です。しかし、一般的に、写真編集から入る人や、直感的なペイント操作をしたい人はフォトショップの方が馴染みやすいかもしれません。一方、図形や文字をきれいに配置するデザイン作業が中心の人は、イラストレーターの方がスムーズに進められる場合があります。
どちらのソフトも、最初は基本的な機能から学び始め、徐々に高度な機能へとステップアップしていくのがおすすめです。YouTubeなどのチュートリアル動画もたくさんあるので、活用してみると良いでしょう。
まとめ：あなたの目的に合ったツールを選ぼう！
フォトショップとイラストレーターは、それぞれ得意なことが全く異なります。写真をきれいにしたい、リアルな絵を描きたいならフォトショップ。ロゴやイラスト、図形を使ったデザインをしたいならイラストレーター。このように、作りたいものによって最適なツールが変わってきます。もちろん、両方のソフトを組み合わせて使うことも多々あります。この記事で、フォト ショップ と イラストレーター の 違い を理解し、あなたのクリエイティブライフに役立てていただけたら嬉しいです。