私たちの体にとって、鉄分はとっても大切!でも、鉄分って実は2種類あるって知っていましたか?それが「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」です。この二つの違いを知ることで、より効果的に鉄分を摂り、健康を維持することができます。今回は、このヘム鉄と非ヘム鉄の違いについて、分かりやすく解説していきます。
ヘム鉄と非ヘム鉄、その正体とは?
ヘム鉄と非ヘム鉄の最も大きな違いは、その「形」と「由来」にあります。ヘム鉄は、動物性の食品に含まれる鉄分で、タンパク質と結合した「ヘム」という構造を持っています。一方、非ヘム鉄は、植物性の食品や卵、乳製品に含まれる鉄分で、ヘム構造を持たない単独の鉄イオンです。
この構造の違いが、体への吸収率に大きく影響します。 ヘム鉄は、非ヘム鉄に比べて格段に吸収されやすい という特徴があります。これは、ヘム鉄が消化器官でそのまま吸収されるのに対し、非ヘム鉄は他の食品成分の影響を受けやすいためです。
具体的に、吸収率を見てみましょう。
- ヘム鉄:約15~35%
- 非ヘム鉄:約2~5%
このように、同じ量の鉄分を摂っても、ヘム鉄の方がより多くの鉄分を体に取り込めるのです。だからこそ、鉄分不足を感じている人は、ヘム鉄を意識して摂ることが大切になってきます。
ヘム鉄を多く含む食品
ヘム鉄は、主に動物性の食品に含まれています。鉄分を効率よく摂りたいときは、これらの食品を積極的に取り入れましょう。
- 肉類 :特にレバー(鶏、豚、牛)には非常に豊富です。赤身の肉(牛肉、豚肉)にも多く含まれています。
- 魚介類 :カツオ、マグロ、アサリ、シジミなどの魚介類にもヘム鉄が豊富です。
これらの食品は、鉄分だけでなく、タンパク質やビタミンB群なども一緒に摂れるので、栄養バランスの観点からもおすすめです。調理方法としては、煮込み料理や炒め物などが適しています。
非ヘム鉄を多く含む食品
非ヘム鉄は、植物性の食品や、動物性食品の中でもタンパク質と結合していない鉄分を指します。吸収率はヘム鉄に劣りますが、それでも私たちの体には不可欠な鉄分です。
- 野菜類 :ほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜には非ヘム鉄が含まれています。
- 大豆製品 :豆腐、納豆、きな粉なども非ヘム鉄の供給源となります。
- 海藻類 :ひじきやわかめなどにも含まれています。
- 卵 :卵黄にも非ヘム鉄が含まれています。
非ヘム鉄の吸収率をアップさせるためには、ビタミンCを一緒に摂ることが非常に効果的です。例えば、ほうれん草のおひたしにレモン汁をかけたり、果物と一緒に食べたりすると良いでしょう。
ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収を助ける「ビタミンC」
鉄分の吸収率を左右する上で、ビタミンCの役割は非常に大きいと言えます。特に非ヘム鉄の吸収を劇的に高めてくれるのです。
ビタミンCは、非ヘム鉄をより吸収されやすい形に変化させる働きがあります。そのため、非ヘム鉄を多く含む食事をする際には、必ずビタミンCを豊富に含む食品を一緒に摂ることを心がけましょう。
- 果物 :イチゴ、キウイフルーツ、オレンジ、グレープフルーツ
- 野菜 :パプリカ、ブロッコリー、ピーマン
これらの食品を食事のデザートや副菜として取り入れることで、鉄分の摂取効率が格段にアップします。
ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収を妨げる「タンニン」と「フィチン酸」
鉄分の吸収を妨げてしまう成分があることも知っておくと良いでしょう。代表的なものに、タンニンとフィチン酸があります。
タンニンは、お茶やコーヒー、赤ワインなどに多く含まれています。これらの飲み物を食事中や食後すぐに飲むと、鉄分の吸収を阻害してしまう可能性があります。
フィチン酸は、穀物や豆類の外皮に多く含まれています。これも鉄分の吸収を妨げる働きがあります。
しかし、これらの成分を過度に気にする必要はありません。食事の時間をずらして飲む、調理法を工夫するなど、ちょっとした工夫で対策できます。
| 妨げる成分 | 多く含む食品 |
|---|---|
| タンニン | お茶、コーヒー、赤ワイン |
| フィチン酸 | 玄米、全粒粉パン、豆類 |
鉄分補給の賢い組み合わせ
ヘム鉄と非ヘム鉄、それぞれの特徴を理解した上で、賢く組み合わせて鉄分を補給することが大切です。朝食に納豆ときな粉(非ヘム鉄)と、オレンジジュース(ビタミンC)を組み合わせたり、夕食に牛肉の赤身(ヘム鉄)と、ほうれん草のおひたし(非ヘム鉄+ビタミンC)を組み合わせたりするなど、工夫次第で効率よく鉄分を摂ることができます。
このように、ヘム鉄と非ヘム鉄をバランス良く、そして吸収率を意識して食事に取り入れることで、健康な体を維持することができます。
まとめ:あなたの体に必要な鉄分は?
ヘム鉄と非ヘム鉄の違い、そしてそれぞれの特徴について解説してきました。ヘム鉄は吸収率が高く、非ヘム鉄はビタミンCなどと組み合わせることで吸収率がアップします。どちらか一方に偏るのではなく、両方をバランス良く、そして吸収率を意識して食事に取り入れることが、健康な体づくりへの近道です。ご自身の食生活を振り返り、鉄分補給の参考にしてみてください。