出産が近づいてくると、お腹の張りが頻繁に起こるようになります。このお腹の張りが、本格的な陣痛なのか、それとも出産の準備段階である前駆陣痛なのか、迷ってしまう妊婦さんは少なくありません。 前駆陣痛と本陣痛の違い を正しく理解することは、安心して出産に臨むためにとても大切です。
前駆陣痛と本陣痛、見分けるポイントは?
前駆陣痛とは、出産に向けて子宮が準備を始めるために起こる、本陣痛に似たお腹の張りのことです。まるで本番の練習をしているようなものですが、まだ出産には至りません。この前駆陣痛は、本陣痛と違って、次のような特徴があります。
- 不規則な間隔でやってくる
- 痛みの強さが一定ではない
- 長時間続かない
- 体を動かしたり、姿勢を変えたりすると治まることがある
一方、本陣痛は、赤ちゃんが産道を通りやすくするために子宮口を開かせ、赤ちゃんを外に押し出すための、まさに「本番」の痛みです。 本陣痛と前駆陣痛の最大の違いは、その規則性と強さ、そして出産へとつながるかどうか という点です。本陣痛が始まると、お腹の張りはどんどん規則的になり、痛みも増していきます。
ここで、前駆陣痛と本陣痛の違いをまとめた表を見てみましょう。
| 特徴 | 前駆陣痛 | 本陣痛 |
|---|---|---|
| 間隔 | 不規則 | 規則的(徐々に短くなる) |
| 強さ | 弱い~強い(変動する) | 徐々に強くなる |
| 持続時間 | 短い | 長い(徐々に長くなる) |
| 体勢で変化 | 変わることがある | 変わらない |
| 子宮口の変化 | あまりない | 開いていく |
痛みの間隔で判断する
本陣痛を見分ける上で、最も分かりやすいのが「痛みの間隔」です。前駆陣痛は、痛みが「いつ来るか分からない」という不規則なものです。例えば、10分おきに来たと思ったら、次は30分後、また15分後、というようにバラバラです。これに対して、本陣痛は徐々に規則的になっていきます。
具体的には、次のような段階で進んでいきます。
- 初期:10分~5分おきに痛みが来る
- 中期:5分~2分おきに痛みが来る
- 後期:1~2分おきに痛みが来る
この間隔が短くなっていくにつれて、本陣痛の可能性が高まります。助産師さんや医師からは、「10分おきになったら連絡してください」などと指示があることが多いですが、これはあくまで目安です。ご自身の体の変化をよく観察することが大切です。
痛みの強さの変化をチェック
痛みの強さも、前駆陣痛と本陣痛を見分ける重要なポイントです。前駆陣痛は、時々強い痛みを感じることもありますが、全体的には「あれ?痛かったっけ?」と思うくらい弱いこともあります。痛みの波があっても、すぐに治まってしまうことが多いのです。
しかし、本陣痛になると、痛みがどんどん強くなっていきます。最初のうちは「生理痛みたいだな」と感じるかもしれませんが、次第に「うっ…!」と息を止めてしまうような強い痛みになり、痛みの波が来るたびに体を丸めたくなるほどになります。
痛みの強さを記録しておくと、病院に連絡する際の判断材料にもなります。例えば、以下のような記録をつけるのがおすすめです。
- 痛みが始まった時間
- 痛みの強さ(1~10段階など)
- 痛みが終わった時間
体を動かした時の変化
前駆陣痛と本陣痛では、体を動かした時の変化にも違いが見られます。前駆陣痛は、まだ出産に直接つながるものではないため、体を動かすことで痛みが和らいだり、治まったりすることがあります。例えば、横になって休んでいたけれど、立ち上がって少し歩いたら痛みが消えてしまった、というような場合です。
これに対し、本陣痛は、どのような体勢をとっても痛みが消えることはありません。むしろ、痛みが来ている最中は、じっとしていられず、体を揺らしたり、呼吸法に集中したりすることで痛みを乗り越えようとします。歩き回っても、痛みの間隔は短くなり、強さは増していきます。
「安静にしていると痛みが強くなるけど、動くと楽になる」というのは、前駆陣痛のサインかもしれません。しかし、「どんなに動いても痛みがなくならない」という場合は、本陣痛の可能性が高いと考えられます。
破水との関係
出産が近づくと、破水(卵膜が破れて羊水が流れ出すこと)が起こることがあります。破水は、本陣痛が始まる前や、陣痛が始まってから起こることもありますが、前駆陣痛の段階で起こることは比較的少ないとされています。もちろん、例外もありますので、破水かな?と思ったら、すぐに病院に連絡しましょう。
破水には、
- チョロチョロと少量ずつ出てくる
- ドバーッと大量に出てくる
といった様々なタイプがあります。色や匂いなども確認しておくと、病院での説明に役立ちます。
その他のサイン
前駆陣痛や本陣痛以外にも、出産が近いことを知らせるサインがいくつかあります。例えば、
- おしるし: 粘液に血が混じったものが少量の出血として現れることがあります。
- 胎動の変化: 赤ちゃんの動きが活発になったり、逆に落ち着いたりすることがあります。
- 腰痛: 出産に向けて骨盤が緩むことで、腰に痛みを感じることがあります。
これらのサインは、個人差が大きいため、必ずしも全員に現れるわけではありません。しかし、お腹の張りだけでなく、これらのサインにも注意を払うことで、出産の時期をより正確に予測できるかもしれません。
まとめ
前駆陣痛と本陣痛の違いを理解することは、落ち着いて出産を迎えるための第一歩です。お腹の張りの規則性、痛みの強さ、体を動かした時の変化などを注意深く観察し、不安な時は迷わずかかりつけの産院に連絡することが大切です。ご自身の体と赤ちゃんのサインを信じて、穏やかな出産を迎えましょう。