知っておきたい! 尊敬語と謙譲語の違いを徹底解説

日本語の敬語は、相手への敬意を表すためにとても大切ですが、中でも「尊敬語」と「謙譲語」は、よく混同されがちです。 尊敬語と謙譲語の違い を理解することは、より自然で丁寧な日本語を話すために不可欠です。

言葉の使い分けで印象が変わる! 尊敬語と謙譲語の基本

尊敬語と謙譲語の最も大きな違いは、「誰の動作や状態を高めているか」という点にあります。尊敬語は、相手や第三者の動作・状態を高めて、その方を敬う言葉です。例えば、「先生がおっしゃる」「社長がいらっしゃる」といった表現がこれにあたります。

一方、謙譲語は、自分や自分の身内の動作・状態をへりくだって、相手への敬意を表す言葉です。自分のことを低くすることで、相手を相対的に高く見せる効果があります。「私が申します」「私が参ります」といった表現が、謙譲語にあたります。

この二つの違いを理解することは、コミュニケーションにおいて相手に不快感を与えず、円滑な人間関係を築く上で非常に重要です。具体的には、以下のような使い分けがされています。

  • 尊敬語: 相手を敬う
  • 謙譲語: 自分をへりくだる

「〜れる」「〜られる」は要注意? 尊敬語と謙譲語の落とし穴

尊敬語と謙譲語を区別する際に、よく間違えやすいのが「〜れる」「〜られる」という形です。これは、受け身や可能を表す場合にも使われるため、尊敬語なのかどうかを文脈で判断する必要があります。

例えば、「先生が教室で話される」という場合、これは先生の行動を尊敬して言っている尊敬語ですが、「この本は多くの人に読まれる」という場合は、受け身の表現であり、尊敬語ではありません。このように、形だけで判断せず、意味をしっかり理解することが大切です。

また、謙譲語では、自分の行為をへりくだって言うだけでなく、相手の行為を代わりにやってあげるというニュアンスで使われることもあります。例えば、「私が資料をお持ちします」というのは、相手のために資料を持っていくという謙譲の気持ちを表しています。

尊敬語と謙譲語を正しく使い分けるためには、それぞれの言葉が持つ意味合いを深く理解することが不可欠です。:

  1. 尊敬語: 相手(または第三者)を立てる
  2. 謙譲語: 自分(または身内)を低める

より丁寧な表現へ! 謙譲語の種類と使い方

謙譲語には、さらに細かく「一」「二」の二種類があります。この区別を理解することで、より洗練された敬語表現が可能になります。

謙譲語一(けんじょうごいち): これは、自分の行為をへりくだることで、相手への敬意を示す基本的な形です。例えば、「伺う」「拝見する」「申し上げる」などがこれにあたります。

謙譲語二(けんじょうごに): これは、相手の行為を代わりにやってあげる、または相手のために何かをしてあげるというニュアンスが加わった形です。代表的なものに「お〜する」「ご〜する」があります。例えば、「お持ちする」「ご連絡いたします」などがこれにあたります。

これらの謙譲語を使い分けることで、相手への配慮の深さが伝わりやすくなります。

謙譲語一の例 謙譲語二の例
伺う(聞く、訪ねる) お伺いする(聞く、訪ねる)
拝見する(見る) お目にかかる(会う)

相手を立てる! 尊敬語の種類と具体的な例

尊敬語は、相手や第三者の動作、状態、持ち物などを高めて、その方を敬う表現です。こちらも、いくつかの種類に分けることができます。

尊敬語の第一種: これは、相手の動作や状態そのものを高める言葉です。例えば、「いらっしゃる」「おっしゃる」「なさる」などがこれにあたります。

尊敬語の第二種: これは、相手の持ち物や場所、所属などを高める言葉です。例えば、「お車」「ご自宅」「先生のお話」などがこれにあたります。この場合、「お」や「ご」をつけることで、相手のものを大切に扱っているという敬意が表れます。

尊敬語の第三種: これは、動詞に「〜れる」「〜られる」をつけた形ですが、これは前に説明したように、文脈によって尊敬語になる場合とそうでない場合があります。

これらの尊敬語を適切に使うことで、相手への尊敬の念をしっかりと伝えることができます。

  • 尊敬語(第一種): いらっしゃる、おっしゃる、なさる
  • 尊敬語(第二種): お名前、ご意見

間違えやすい「〜ます」形! 丁寧語との違い

「〜ます」という形は、丁寧語と混同しやすいですが、実は丁寧語は尊敬語や謙譲語とは別のカテゴリーに分類されます。丁寧語は、相手に丁寧な印象を与えるための言葉遣いです。

例えば、「〜です」「〜ます」「〜ございます」といった表現が丁寧語にあたります。これらは、相手の動作や状態を高めるわけでも、自分をへりくだるわけでもありません。単に、相手に対して丁寧な態度を示すためのものです。

しかし、丁寧語は、尊敬語や謙譲語と組み合わせて使うことで、より丁寧な表現になります。例えば、「先生がおっしゃいます」という尊敬語に「〜ます」という丁寧語がついて、「先生がおっしゃいます」となります。

「〜ます」形は、日常会話で最もよく使われるため、つい敬語の感覚で使ってしまいがちですが、その役割を理解しておくことが大切です。

  1. 丁寧語: 相手への丁寧さを示す
  2. 「〜ます」形: 丁寧語の一部

「〜させていただく」の正しい使い方

「〜させていただく」という表現は、近年、本来の謙譲語としての意味合いから少しずれ、安易に使われすぎているという指摘もあります。本来、「〜させていただく」は、相手の許可を得て何かをさせてもらう、という謙譲の気持ちを表す言葉です。

例えば、「明日はお休みさせていただきます」という場合、これは本来、上司などに「明日、お休みしてもよろしいでしょうか」と許可を求めるニュアンスが込められています。しかし、単に「明日は休みます」ということを丁寧に言いたいだけで使われると、不自然に聞こえることがあります。

「〜させていただく」を使うべき場面は、以下のような場合です。

  • 相手の許可や恩恵を受けて何かを行う場合
  • 相手に迷惑をかけずに、相手のために何かを行う場合

本来の意味を理解して、適切な場面で使うように心がけましょう。

まとめ:尊敬語と謙譲語をマスターして、ワンランク上の日本語を目指そう!

尊敬語と謙譲語の違いを理解し、正しく使い分けることは、日本語のコミュニケーションにおいて非常に重要です。今日説明した基本をしっかりと押さえ、日々の会話で意識して使っていくことで、自然と身についていくはずです。

最初は難しく感じるかもしれませんが、練習を重ねることで、相手への敬意をより深く伝えることができるようになります。これらの知識を活かして、より豊かで円滑なコミュニケーションを楽しんでください。

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