卵巣 嚢胞 と 卵巣 嚢腫 の 違い、知っておきたい基本

「卵巣 嚢胞」と「卵巣 嚢腫」、これらの言葉を聞いたことはありますか?実は、この二つは似ているようで少し違いがあります。 卵巣 嚢胞 と 卵巣 嚢腫 の 違い を正しく理解することは、ご自身の体の変化に気づき、適切な対応をするためにとても大切です。

「嚢胞」と「嚢腫」の基本的な違い

まず、一番の違いは「中身」と「性質」にあります。卵巣 嚢胞は、卵巣の中にできた袋状のもので、中に液体や空気などが溜まった状態を指します。多くの場合、機能性の嚢胞といって、生理的な変化(排卵など)に伴って一時的にできるものです。生理が終われば自然に消えてしまうことも少なくありません。

一方、卵巣 嚢腫は、嚢胞よりも少し専門的な言葉で、病的な変化によってできた袋状のものを指すことが多いです。中身は様々で、漿液性(しょうえきせい)、粘液性(ねんえきせい)、出血性(しゅっけつせい)などがあります。また、嚢腫は自然に消えることは少なく、大きくなったり、他の臓器に影響を与えたりする可能性があります。

ここで、それぞれの特徴を簡単にまとめましょう。

  • 卵巣 嚢胞:
    • 一時的な生理的変化によるものが多い
    • 自然に消えることがある
    • 機能性の嚢胞が代表的
  • 卵巣 嚢腫:
    • 病的な変化によるものが多い
    • 自然に消えることは少ない
    • 種類がいくつかある

嚢胞の種類について

卵巣 嚢胞には、さらにいくつか種類があります。代表的なものに「機能性嚢胞」があります。これは、卵巣が正常に働く過程でできるもので、特に心配いらないことが多いです。

機能性嚢胞の中でも、さらに細かく分けることができます。

  1. 卵胞嚢腫(らんほうのうしゅ): 排卵のために作られる卵胞が、うまく排卵せずにそのまま大きくなってしまったものです。
  2. 黄体嚢腫(こうたいのうしゅ): 排卵後、卵胞が変化してできる黄体が、通常よりも長く残って大きくなったものです。

これらの機能性嚢胞は、通常、数ヶ月以内に自然に縮小・消失することがほとんどです。そのため、検診などで見つかっても、経過観察となる場合が多いのです。

嚢腫の様々なタイプ

では、病的な変化による卵巣 嚢腫にはどのようなものがあるのでしょうか。これもいくつか種類があります。

代表的なものとして、以下のようなものがあります。

種類 特徴
漿液性嚢胞腺腫(しょうえきせいのうしゅせんしゅ) サラサラした液体が溜まるタイプ。比較的ゆっくり大きくなります。
粘液性嚢胞腺腫(ねんえきせいのうしゅせんしゅ) ネバネバした粘液が溜まるタイプ。大きくなることがあります。
チョコレート嚢胞(出血性黄体嚢腫) 子宮内膜症が原因で、卵巣内に血液が溜まったもの。チョコレートのような色になることからこの名前がつきました。

これらの嚢腫は、大きさや種類によっては、手術が必要になることもあります。婦人科医による定期的な診察と、必要に応じた検査が重要です。

見つけ方と検査

卵巣 嚢胞や嚢腫は、初期には自覚症状がないことがほとんどです。そのため、定期的な婦人科検診が非常に重要になります。

主な検査方法としては、以下のものがあります。

  • 内診: 医師が直接、卵巣の状態を確認します。
  • 経腟(けいちつ)超音波検査: 膣から超音波の機械を入れて、卵巣の様子を詳しく見ます。これが最も一般的な検査方法です。
  • 経腹(けいふく)超音波検査: お腹から超音波の機械を入れて見ます。
  • MRI検査: より詳しく卵巣の状態を調べる必要がある場合に行われることがあります。

これらの検査によって、嚢胞や嚢腫の有無、大きさ、形状、中身などを診断します。

症状について

前述のように、小さい嚢胞や機能性嚢胞では、ほとんど症状がありません。しかし、嚢腫が大きくなったり、炎症を起こしたりすると、以下のような症状が出ることがあります。

注意したい症状は以下の通りです。

  1. 下腹部痛: 持続的な痛みや、チクチクするような痛み。
  2. 下腹部の張り: お腹が張っている感じや、圧迫感。
  3. 月経不順: 生理の周期が乱れたり、経血量が変わったりすること。
  4. 不正出血: 生理以外の時期に出血があること。
  5. 吐き気や嘔吐: 特に、嚢腫がねじれて(茎捻転:けいねんてん)しまった場合に起こることがあります。

これらの症状が続く場合は、すぐに婦人科を受診することが大切です。

治療法

卵巣 嚢胞や嚢腫の治療法は、その種類、大きさ、症状、そして患者さんの年齢などによって異なります。

主な治療方針は以下のようになります。

  • 経過観察: 機能性嚢胞など、自然に消える可能性が高いものや、症状のない小さな嚢腫の場合は、定期的に超音波検査などで様子を見ます。
  • 薬物療法: 症状を和らげるための薬(鎮痛剤など)や、ホルモンバランスを整えるための薬が処方されることがあります。
  • 手術: 嚢腫が大きくて症状がある場合、悪性の可能性が否定できない場合、茎捻転を起こした場合などには、手術が検討されます。

手術の方法としては、腹腔鏡手術(お腹に小さな穴を開けて行う手術)や、開腹手術などがあります。近年は、体への負担が少ない腹腔鏡手術が一般的になっています。

まとめ:早期発見と専門医への相談が大切

「卵巣 嚢胞」と「卵巣 嚢腫」の違い、そしてその種類や症状について、ご理解いただけたでしょうか。 卵巣 嚢胞 と 卵巣 嚢腫 の 違い は、その性質や原因にあることがわかりました。どちらも、早期に発見し、専門医の指示に従うことが、健康を守る上で最も重要です。何か気になる症状があれば、ためらわずに婦人科を受診しましょう。

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