知っておきたい! 既往歴と既往症の違いとは? 健康管理の基本を徹底解説

「既往歴(きおJREき)」と「既往症(きおJREしょう)」、どちらも病気に関係する言葉ですが、具体的にどんな違いがあるのか、迷ってしまう人もいるかもしれません。今回は、この 既往歴と既往症の違い を分かりやすく解説し、健康管理に役立つ知識をお伝えします。

「既往歴」と「既往症」って、そもそも何?

まず、それぞれの言葉の意味を理解することが大切です。簡単な言葉で言うと、「既往歴」というのは、過去にかかった病気や怪我、手術、アレルギー、予防接種などの「経験の履歴」全般を指します。一方、「既往症」というのは、過去にかかった病気のうち、現在も症状が続いているものや、再発の可能性がある病気、つまり「過去の病気そのもの」を指すことが多いのです。

つまり、 「既往歴」はより広い範囲の過去の健康に関する情報を集めたもので、「既往症」はその中から現在も影響がある、あるいは影響を与える可能性のある病気に焦点を当てたもの と言えるでしょう。健康診断などで「既往歴」について尋ねられるのは、あなたの過去の健康状態を総合的に把握するためであり、それが今のあなたの健康状態にどう影響しているかを知るための重要な手がかりになるからです。

それぞれの情報を整理してみましょう。

  • 既往歴に含まれるもの:
    • 過去の病気(例:インフルエンザ、肺炎、胃腸炎など)
    • 過去の怪我(例:骨折、捻挫など)
    • 手術の経験
    • アレルギー(例:食物アレルギー、花粉症など)
    • 予防接種の履歴
    • 現在服用中の薬
    • 家族の病歴
  • 既往症として特に注意されるもの:
    1. 現在も治療中の病気
    2. 再発しやすい病気
    3. 将来的に悪化する可能性のある病気

なぜ、既往歴と既往症の違いを知ることが大切なのか

「既往歴」と「既往症」の違いを理解することは、自分自身の健康状態を把握し、適切な医療を受けるために非常に重要です。例えば、医師に病状を説明する際に、単に「風邪をひいたことがあります」と言うだけでなく、「〇年前に肺炎にかかり、〇ヶ月間治療しました」と具体的に伝えることで、医師はあなたの過去の病歴と現在の症状との関連性をより正確に判断することができます。 この正確な情報提供が、より適切な診断や治療につながるのです。

また、保険に加入する際や、新しい薬を処方してもらう際にも、既往歴や既往症の正確な申告は不可欠です。これにより、予期せぬトラブルを防ぎ、安心して医療サービスを受けることができます。

健康管理の観点からも、自分の既往歴を把握しておくことは、将来の病気を予防したり、早期発見につなげたりするために役立ちます。例えば、過去に胃腸の病気をしたことがあるなら、食生活に一層気を配るなど、具体的な対策を講じることができます。

既往歴の具体的な例を見てみよう

既往歴は、文字通り「過去の病気の履歴」なので、非常に多岐にわたります。例えば、子供の頃にかかった病気や、数年前に経験した怪我などもすべて既往歴に含まれます。些細なことのように思えても、それが現在の健康状態に影響を与えている可能性もゼロではありません。

いくつか具体的な例を挙げてみましょう。

  • 感染症:
    • 子どもの頃の麻疹(はしか)、風疹、水疱瘡(みずぼうそう)
    • 大人になってからのインフルエンザ、肺炎、結核
    • 食中毒などの胃腸炎
  • アレルギー:
    • 食物アレルギー(例:卵、牛乳、小麦など)
    • 花粉症
    • アトピー性皮膚炎
  • 慢性疾患:
    • 高血圧、糖尿病、脂質異常症(いわゆる生活習慣病)
    • 喘息
  • 外傷:
    • 骨折、脱臼、打撲
    • やけど

これらの情報も、医師に伝えることで、より詳しい問診につながることがあります。

既往症として特に注意すべき病気

既往症は、現在も治療中であったり、将来的に再発や合併症のリスクがあったりする病気を指すことが多いです。これらの病気については、医師も特に注意して経過観察を行います。

例えば、以下のような病気は既往症として重要視されます。

  • 循環器系の疾患:
    • 心筋梗塞、狭心症
    • 脳卒中(脳梗塞、脳出血)
    • 不整脈
  • 呼吸器系の疾患:
    • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
    • 気管支喘息
  • 消化器系の疾患:
    • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
    • 肝炎(B型、C型など)
    • 大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎
  • 代謝・内分泌系の疾患:
    • 糖尿病
    • 甲状腺機能亢進症・低下症
  • 精神神経系の疾患:
    • うつ病、統合失調症
    • てんかん

これらの既往症がある場合、他の病気にかかった際にも、その病気との関連性を考慮した治療が必要になることがあります。

既往歴と既往症、どのように医師に伝えれば良い?

医療機関を受診する際には、できるだけ正確に既往歴と既往症を医師に伝えることが大切です。具体的には、以下の点を意識すると良いでしょう。

  • 病名:
    • いつ、どのような病気にかかったか。
    • 現在も治療中か、あるいは完治しているか。
  • 治療内容:
    • どのような治療を受けたか(手術、薬物療法、リハビリなど)。
    • 治療期間はどれくらいだったか。
  • 現在の状態:
    • 病気による後遺症はあるか。
    • 定期的な通院や検査は必要か。

もし、過去の病気について正確に覚えていない場合は、無理に思い出そうとせず、「〇年くらい前に、〇〇のような症状で入院したことがあります」といったように、覚えている範囲で伝えても大丈夫です。最近では、お薬手帳や、過去の健康診断の結果などを提示することも、医師の参考になります。

既往歴・既往症の記録を整理しておこう

自分の既往歴や既往症を正確に把握するために、記録を整理しておくことは非常に有効です。忙しい日々の中で、過去の病気の詳細をすべて正確に覚えているのは難しいからです。

記録を整理する方法としては、以下のようなものがあります。

  1. 「健康ノート」や「お薬手帳」を活用する:
    • 受診した医療機関名、病名、治療内容、処方された薬などを記録しておくと便利です。
    • お薬手帳には、処方された薬の情報だけでなく、アレルギー情報なども記載できる欄があります。
  2. スマートフォンのアプリを活用する:
    • 健康管理アプリの中には、既往歴や病歴を記録できる機能を持つものもあります。
    • 写真で保存したり、家族と共有したりすることも可能です。
  3. かかりつけ医に相談する:
    • かかりつけ医がいる場合は、定期的な受診の際に、過去の病歴について相談してみましょう。
    • カルテに記録されている情報を確認したり、アドバイスをもらったりすることができます。

既往歴・既往症の確認は、未来の健康への投資

既往歴と既往症の違いを理解し、ご自身の健康情報を整理しておくことは、将来の健康を守るための大切なステップです。病気になってから慌てるのではなく、日頃から自分の体の履歴を把握しておくことで、より早期に適切な対応をとることができます。

今回解説した内容を参考に、ぜひご自身の健康管理に役立ててください。

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