「認定こども園」と「保育園」、どちらも子どもの成長を支える大切な施設ですが、実はその役割や目的には違いがあります。今回は、この「認定こども園と保育園の違い」を分かりやすく解説し、それぞれの特徴を理解することで、お子さんにぴったりの施設選びができるようにお手伝いします。
認定こども園と保育園、根本的な役割の違い
認定こども園と保育園の最も大きな違いは、その設置目的と提供するサービスにあります。保育園は、保護者が働いていたり、病気などの理由で家庭で子どもを保育できない場合に、その保育を家庭に代わって行うことを主な目的としています。一方、認定こども園は、保育園のような「保育」の機能と、幼稚園のような「教育」の機能を併せ持った施設です。つまり、 子どもの健やかな育ちを「保育」と「教育」の両面から総合的に支援すること が、認定こども園の大きな特徴と言えます。
そのため、認定こども園では、保育園のように保護者の就労状況などに関わらず、0歳から5歳までの幅広い年齢の子どもたちが、教育的なカリキュラムの中で遊びや学びを通して成長することができます。保育園では、原則として保護者の保育の必要度が判定基準となりますが、認定こども園では、保育の必要度に応じて「1号認定」「2号認定」「3号認定」といった区分があり、それぞれ利用できる時間や保育内容が異なります。
以下に、それぞれの施設が担う役割の主な違いをまとめました。
- 保育園: 保育の必要性のある家庭への集団保育
- 認定こども園: 集団保育に加え、教育的な活動も提供
利用できる子どもの対象範囲
認定こども園と保育園では、利用できる子どもの対象範囲にも違いが見られます。保育園は、保護者の就労や病気、障害など、家庭での保育が困難な状況にある場合に、0歳から5歳まで(一部地域では0歳から小学校就学前まで)の子どもたちが利用できます。これは、あくまで「保育」を必要とする子どもたちが対象であるという考え方に基づいています。
対して、認定こども園は、その「教育」と「保育」の機能を併せ持つという性質上、より広い対象の子どもたちを受け入れることが可能です。認定こども園には、主に以下の3つの認定区分があります。
- 1号認定(幼稚園類似型): 3歳から5歳までの子どもで、保護者の就労状況などに関わらず、教育を希望する子ども。
- 2号認定(保育所類似型): 3歳から5歳までの子どもで、保護者が働いているなどの理由で保育が必要な子ども。
- 3号認定(保育所類似型): 0歳から2歳までの子どもで、保護者が働いているなどの理由で保育が必要な子ども。
このように、認定こども園では、保育の必要がない子どもたちも「教育」を受ける目的で利用できる点が、保育園との大きな違いです。
教育内容とカリキュラムの違い
認定こども園と保育園では、教育内容やカリキュラムにも特色があります。保育園は、厚生労働省が定める保育所保育指針に基づき、子どもの発達段階に応じた保育を行います。遊びを通して、心身の健やかな発達を促すことを中心とした、集団生活における基本的な生活習慣や社会性を育むことに重点が置かれています。
一方、認定こども園は、前述の保育所保育指針に加え、文部科学省が定める幼稚園教育要領も参考にしています。そのため、保育園の保育機能に加えて、より体系的な「教育」の要素が取り入れられています。例えば、年齢に応じた歌やリズム遊び、絵本の読み聞かせ、巧緻性(手先を使う遊び)などを通して、子どもの知的好奇心や創造性を育む活動が行われるのが一般的です。
| 施設名 | 主な目的 | 教育内容 |
|---|---|---|
| 保育園 | 保育の必要性のある家庭への集団保育 | 遊びを通した心身の発達、生活習慣・社会性の育成 |
| 認定こども園 | 保育と教育の機能(両方) | 保育内容に加え、体系的な教育活動(知的好奇心、創造性の育成など) |
利用時間と開園日
利用できる時間や開園日も、施設の種類や利用する子どもの認定区分によって異なります。保育園は、保護者の就労時間などを考慮し、一般的に朝から夕方までの長時間保育が可能です。延長保育にも対応している園が多く、共働き家庭などを強力にサポートしています。
認定こども園の場合、利用する子どもの認定区分によって利用時間が変わってきます。例えば、1号認定の子どもは、幼稚園と同様に教育時間(短時間保育)となりますが、希望すれば延長保育を利用できる場合もあります。一方、2号・3号認定の子どもは、保育園と同様に、保護者の就労状況などを考慮した時間での保育となります。
入園手続きと費用
入園手続きや費用についても、多少の違いがあります。保育園は、自治体が運営または委託している場合がほとんどで、入園申し込みは自治体に対して行います。保育料は、保護者の所得に応じて決定されるのが一般的です。
認定こども園は、私立の園が多い傾向にあり、入園申し込みの窓口や手続きは園ごとに異なります。公立の認定こども園もありますが、いずれにしても、各園に直接問い合わせて確認することが大切です。保育料についても、園の種別(公立か私立か、私立でも運営母体など)や、子どもの年齢、保護者の所得などによって変動します。
施設の種類と運営形態
認定こども園と保育園では、施設の種類や運営形態にも多様性があります。保育園には、公立保育園、私立保育園(社会福祉法人やNPOなどが運営)などがあります。公立保育園は自治体が直接運営し、私立保育園は多様な主体が運営することで、それぞれの特色を出しています。
認定こども園も、公立、私立(学校法人、社会福祉法人、NPO法人など)がありますが、さらにその機能や目的によって、いくつかのタイプに分けられます。
- 幼保連携型: 幼稚園と保育所の両方の機能を併せ持つ、最も一般的なタイプ。
- 幼稚園型: 幼稚園に保育機能を加えたタイプ。
- 保育所型: 保育所に教育機能を加えたタイプ。
- 地域型: 上記のいずれかの機能を持つ施設に、地域子育て支援センターなどの機能を併せ持つタイプ。
このように、認定こども園は、その運営形態や提供する機能の組み合わせによって、さらに細かく分類されます。
認定こども園と保育園の違いは、単に名称の違いだけでなく、それぞれの施設が持つ役割や提供するサービス、そして利用できる子どもの対象範囲などに及びます。どちらの施設も、子どもたちの健やかな成長を支える大切な存在であることには変わりありません。ご家庭の状況やお子さんの成長に合わせて、最適な施設を選ぶことが大切です。この記事が、皆さんの施設選びの一助となれば幸いです。