御 家人 と 武士 の 違い を わかりやすく解説!

「御家人(ごけにん)」と「武士(ぶし)」、この二つの言葉はよく似ていますが、実はそれぞれ意味するところが異なります。 御家人と武士の違い を理解することは、日本の歴史、特に鎌倉時代以降の武家社会の成り立ちを知る上でとても重要です。この記事では、この二つの言葉の定義や関係性を、皆さんが理解しやすいように、歴史的な背景と合わせて詳しく解説していきます。

武士という大きな枠組み

まず、「武士」というのは、もっと大きな、広い意味を持つ言葉です。武士とは、文字通り「戦(いくさ)をする人」であり、軍事的な力を持って社会を支える人々全般を指します。平安時代後期から、地方で力をつけた武士たちが、中央の貴族社会に対抗する形で台頭してきました。

彼らは、:

  • 武芸に秀でている
  • 土地を所有し、そこから収入を得ている
  • 一定の地位や名誉を持っている

といった特徴を持っていました。武士は、単なる兵士ではなく、政治や経済にも関わる存在でした。

時が経ち、鎌倉時代になると、武士たちはさらに組織化され、武家政権を樹立します。この時期の武士は、単に武器を持って戦うだけでなく、主君との主従関係を非常に大切にするようになります。

御家人:鎌倉幕府との特別な関係

一方、「御家人」というのは、鎌倉幕府との間に特別な主従関係を結んだ武士たちのことを指します。これは、武士という大きなカテゴリーの中の、さらに限定された集団なのです。

具体的に、御家人には以下のような特徴がありました。

特徴 説明
主従関係 将軍(主君)と直接、または地頭などを通じて結ばれた関係。
御恩(ごおん) 将軍が御家人に与える恩。新しい土地を与えること(新恩給与)や、先祖から受け継いだ土地を守る権利(所領安堵)など。
奉公(ほうこう) 御家人が将軍のために行う義務。戦(いくさ)への参加や、警備、治安維持など。

このように、御家人制度は、将軍と武士との間で「御恩」と「奉公」という相互扶助の関係を基本としていました。 この関係性が、鎌倉幕府の政治を支える基盤となったのです。

武士と御家人の関係性

では、武士と御家人の関係性は、具体的にどうだったのでしょうか?

まず、すべての御家人は武士でした。しかし、すべての武士が御家人だったわけではありません。御家人というのは、鎌倉幕府に仕える、幕府との直接的な契約関係にある武士を指す言葉だからです。

例えるなら、

  1. 「果物」という大きなカテゴリーがあります。
  2. その中に「りんご」があります。

この場合、「果物」が「武士」にあたり、「りんご」が「御家人」にあたると考えると分かりやすいかもしれません。

鎌倉時代において、御家人は幕府の軍事力の中核を担っており、幕府の存立にとって欠かせない存在でした。

武士の多様性:御家人以外にも

鎌倉幕府が成立する以前から、そして幕府が衰退した後も、武士は様々な形で存在していました。御家人という枠組みは、あくまで鎌倉幕府との関係性において使われる言葉です。

例えば、

  • 地方で独自の勢力を持っていた武士
  • 幕府に直接仕えていない武士
  • 後の時代に、他の武家政権(室町幕府、江戸幕府など)に仕えるようになった武士

これらは、御家人という枠には収まりきらない、広義の武士たちと言えます。

地頭と御家人の関係

鎌倉時代において、幕府は全国に「地頭(じとう)」という役職を置きました。地頭は、それぞれの土地の管理や治安維持、年貢の徴収などを担当する武士です。この地頭の多くも御家人でした。

地頭の役割は、

  1. 国や郡の管理
  2. 荘園(しょうえん)や公領(くりょう)の管理
  3. 治安維持

といったものでした。地頭がいることで、幕府は遠隔地の支配を効率的に行うことができたのです。

御家人の社会的な地位

御家人は、将軍との直接的なつながりを持つことで、一定の社会的な地位を保証されていました。彼らは単なる戦闘員ではなく、幕府の政治にも参画する権利を持つ存在でした。

御家人の権利としては、

  • 所領の安堵(先祖代々の土地を守る権利)
  • 新恩給与(活躍した際に新しい土地を与えられること)
  • 武士としての特権

などが挙げられます。これらの権利は、彼らが幕府に忠誠を誓う大きな動機となりました。

武士の没落と御家人の変化

時代が進むにつれて、武士の社会も変化していきます。特に鎌倉幕府が滅亡し、室町時代、そして戦国時代へと移り変わる中で、御家人という制度も形を変えたり、意味合いが薄れていったりします。

武士の没落と御家人の変化 は、戦乱の時代が到来し、新しい権力構造が生まれていく過程と深く関係しています。旧来の主従関係が崩れ、より実力主義や、新たな大名との結びつきが重視されるようになっていきました。

まとめ

このように、「武士」は戦う能力を持つ人々全般を指す広い言葉であり、「御家人」は鎌倉幕府と特別な主従関係を結んだ武士たちを指す、より限定された言葉でした。この二つの言葉の違いを理解することは、日本の武家社会の歴史を読み解く鍵となります。それぞれの時代背景や、人々がどのような関係性の中で生きていたのかを想像しながら、歴史に触れてみてください。

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