緊急事態宣言とまん延防止措置の違いをスッキリ解説!

「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」、最近よく耳にする言葉ですが、一体何が違うのでしょうか?この二つの言葉、どちらも新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための措置ですが、その強さや内容には違いがあります。ここでは、 緊急事態宣言とまん延防止措置の違い を分かりやすく解説します。

それぞれの「効力」と「対象」に注目!

まず、一番大きな違いは、その「効力」と「対象」にあります。緊急事態宣言は、感染状況が著しく悪化し、国民の生命や健康に重大な影響を与える恐れがある場合に発令されます。いわば、国全体として「非常事態だ!」という宣言です。

一方、まん延防止等重点措置は、感染拡大が一定程度見られるものの、緊急事態宣言を出すほどではない、という状況で使われます。都道府県単位で、よりピンポイントに対策を講じるイメージです。

具体的に、どのような違いがあるか、表で見てみましょう。

緊急事態宣言 まん延防止等重点措置
効力 強い(国民全体への要請・指示) 中程度(地域・事業者への要請・指示)
対象 国全体または広範囲 特定都道府県・地域

「要請」か「指示」か? 措置の強制力

では、具体的にどのような措置が取られるのでしょうか。ここにも違いがあります。

緊急事態宣言が出された場合、国や自治体は、国民や事業者に対して、外出自粛や店舗の休業・時間短縮などを「指示」することができます。これは、法的な強制力を持つ場合もあります。

一方、まん延防止等重点措置では、主に「要請」という形になります。例えば、飲食店に対して営業時間の短縮を「要請」するなどです。もちろん、要請に応じてもらえない場合には、法律に基づいて「指示」を出すこともありますが、緊急事態宣言ほど強い強制力ではありません。

これらの措置は、感染状況に応じて、以下のようなものが考えられます。

  • 緊急事態宣言:外出自粛、イベントの原則中止・延期・無観客開催、学校の休校、生活必需品以外を扱う店舗の休業要請など
  • まん延防止等重点措置:飲食店への営業時間短縮、酒類提供の制限、イベントの人数制限、職場への出勤者数削減の要請など

発令の「判断基準」はどう違う?

そもそも、どのような基準でこれらの措置が発令されるのでしょうか。これも重要な違いです。

緊急事態宣言は、感染状況が「ステージ4」相当、つまり「爆発的な感染拡大(オーバーシュート)またはそれに匹敵する状態」と判断された場合に検討されます。医療提供体制が逼迫し、国民の生命を守るために、国民一人ひとりの協力が不可欠な状況です。

まん延防止等重点措置は、「ステージ3」相当、つまり「感染者増加で医療提供体制の負荷が増大している」と判断された場合に発令されます。感染拡大のペースを抑え、ステージ4への移行を防ぐことが目的です。

判断基準を整理すると、以下のようになります。

  1. 感染状況の分析
  2. 医療提供体制の負荷状況
  3. 感染経路の特定・分析
  4. 国民生活への影響

「対象となる期間」にも違いが!

発令される期間にも、違いが見られます。

緊急事態宣言は、原則として「3週間以上1ヶ月程度」とされています。これは、感染状況が落ち着くまで、ある程度の期間が必要だからです。

まん延防止等重点措置は、原則として「2週間から1ヶ月程度」です。状況に応じて延長されることもありますが、緊急事態宣言よりは短期間で効果を見極めるイメージです。

「解除の基準」も考慮される

解除される基準も、それぞれの措置で考慮されます。

緊急事態宣言が解除されるためには、感染状況が「ステージ2」相当、つまり「感染者減少、医療提供体制の負荷軽減」が進んでいることが必要です。解除後も、リバウンドを防ぐための対策は継続されます。

まん延防止等重点措置が解除されるためには、感染状況が「ステージ1」または「ステージ2」相当に改善していることが目安となります。感染者数が減少し、医療提供体制への負荷が十分に軽減されたと判断された場合です。

「法的根拠」の違いも理解しておこう

それぞれの措置には、異なる法的根拠があります。

緊急事態宣言は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき発令されます。これは、国民の生命や健康に重大な影響を与える事態に対応するための法律です。

まん延防止等重点措置も、同じく「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づきますが、より地域を限定した措置を講じることができるよう、2021年に改正された法律に基づいて発令されます。

このように、法的根拠も、それぞれの措置の性質を理解する上で重要です。

緊急事態宣言とまん延防止措置の違い、いかがでしたでしょうか。どちらも感染拡大を防ぐための大切な対策ですが、その強さや内容、発令される状況などが異なります。これらの違いを理解し、それぞれの措置に適切に対応することが、感染拡大防止につながります。

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