大学選びで迷ったときに、よく話題になるのが「経営学部」と「経済学部」のどちらを選ぶか、ということ。 経営学部 と 経済学部 の 違い は、実は私たちの生活や社会の仕組みに深く関わっていて、それぞれの学部で学べることや将来の進路も大きく変わってきます。
「会社」を動かす！経営学部ってどんなところ？
経営学部は、一言でいうと「会社」をどうやってうまく経営していくかを学ぶ場所です。会社を大きくしたり、利益を増やしたり、従業員を幸せにしたりするためには、どんな工夫が必要なのか、具体的な方法を勉強します。
例えば、
- 新しい商品やサービスをどうやって作るか？
- その商品をどうやってたくさんの人に知ってもらい、買ってもらうか？
- 会社のお金をどうやって管理するか？
- 社員のやる気をどうやって引き出すか？
といった、会社を運営していく上での「実践的なスキル」を身につけることができます。 会社を成功させるための戦略を考えることが、経営学部の中心 です。
経営学部で学べることは、多岐にわたります。具体的には、以下のような分野があります。
- マーケティング：商品やサービスを売るための戦略
- 会計学：会社のお金の流れを把握し、管理する方法
- 組織論：人の集まりである会社をどうやってまとめていくか
- 人事・労務：社員の採用や育成、働きやすい環境づくり
- 経営戦略論：会社全体の長期的な目標設定と達成方法
「社会」の仕組みを解き明かす！経済学部ってどんなところ？
一方、経済学部は、もっと広い視点で「社会全体のお金の動き」や「人々の行動」について学びます。国や地域、世界全体のお金がどうやって回っているのか、なぜ物価が上がったり下がったりするのか、といった大きな流れを理解しようとします。
経済学部では、例えば、
- 景気が良くなったり悪くなったりするのはなぜか？
- 政府はどんな政策でお金の使い方をコントロールしているのか？
- 国際的な貿易はどうやって成り立っているのか？
- 人々の消費行動はどのように決まるのか？
といった、 社会全体の経済活動のメカニズムを解明することに重点 を置いています。理論的な分析を通して、複雑な経済現象を理解していきます。
経済学部で学べる主な分野は以下の通りです。
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| ミクロ経済学 | 個人や企業の経済活動を分析 |
| マクロ経済学 | 国全体の経済活動を分析 |
| 財政学 | 政府のお金（税金など）の使い方を研究 |
| 金融論 | 銀行や株式市場など、お金のやり取りを研究 |
| 国際経済学 | 国と国の経済的なつながりを研究 |
具体的な学習内容の違い
経営学部と経済学部では、同じ「お金」や「人」に関わる学問でも、アプローチが異なります。経営学部は、あくまで「一企業」という単位で、どうやって利益を最大化し、成長させていくかに焦点を当てます。そのため、具体的なビジネスの事例を分析したり、ケーススタディを通じて実践的な解決策を見つけたりすることが多いです。
対して経済学部は、より抽象的で理論的な分析が中心となります。数学や統計学といったデータ分析のスキルを駆使して、経済モデルを構築し、理論を検証していくのが特徴です。社会全体の経済の動きを予測したり、政策の効果を分析したりする能力が養われます。
例えば、
- 経営学部： 「ある商品の売上を伸ばすために、どのような広告戦略を打つべきか？」（具体的な企業の課題解決）
- 経済学部： 「消費税率の引き上げが、国民全体の消費行動にどのような影響を与えるか？」（社会全体の現象分析）
といったように、問いの立て方や分析の対象が異なります。
将来のキャリアパスの違い
卒業後の進路も、それぞれの学部で特色があります。経営学部を卒業した学生は、そのまま企業に就職し、営業、マーケティング、企画、人事、経理など、様々な部門で活躍することが多いです。起業を目指す人も少なくありません。
一方、経済学部を卒業した学生は、金融機関（銀行、証券会社など）、コンサルティングファーム、シンクタンク、政府機関、国際機関など、より広範な分野で活躍する可能性があります。経済の専門知識を活かして、経済分析や政策立案に携わることもあります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向です。どちらの学部でも、学んだ知識やスキルを活かして、多様なキャリアを築くことが可能です。例えば、経営学部で学んだ分析力や問題解決能力を活かしてコンサルタントになる人もいれば、経済学部で学んだマーケティング理論を企業で実践する人もいます。
社会との関わり方
経営学部は、個々の企業や組織がどのように社会に貢献し、発展していくかという、より「現場」に近い視点から社会を捉えます。企業の社会的責任（CSR）や、持続可能な経営など、現代社会が抱える課題に企業としてどう向き合うかを考えます。
経済学部は、社会全体の経済システムや人々の行動様式を理解することで、より大きな視点から社会の課題を分析します。貧困問題、環境問題、少子高齢化など、複雑に絡み合った社会問題を経済学的なアプローチで理解し、解決策を探求します。
つまり、
- 経営学部： 「企業」という単位で、社会をより良くするための具体的な行動を学ぶ。
- 経済学部： 「社会全体」の仕組みを理解し、より良い社会のあり方を考える。
という違いがあります。
学問へのアプローチ
経営学では、実際の企業の成功事例や失敗事例を研究することが多く、ケーススタディやグループワークを通して、実践的な思考力を養います。理論だけでなく、現場で役立つ知識やスキルを重視する傾向があります。
経済学では、数学的なモデルや統計データを用いた分析が中心となります。理論を構築し、それをデータで検証することで、客観的な事実を導き出そうとします。論理的思考力や分析能力が強く求められます。
例えば、
- 経営学部： 「A社の新商品がなぜ成功したのか、その要因を分析し、他の企業でも応用できる教訓を見つける。」
- 経済学部： 「過去のデータから、ある政策が物価にどのような影響を与えたかを統計的に証明する。」
といった研究アプローチが考えられます。
社会に貢献する視点
経営学部は、企業活動を通して社会に貢献することを目指します。優れた商品やサービスを提供することで人々の生活を豊かにしたり、雇用を生み出したり、地域経済を活性化させたりすることなどが、社会貢献につながります。
経済学部は、よりマクロな視点で社会全体の幸福度を高めることを目指します。経済政策の立案や、社会保障制度の設計、国際協力などを通して、より公平で豊かな社会の実現に貢献しようとします。
これは、
| 貢献の形 | 経営学部 | 経済学部 |
|---|---|---|
| 目指すもの | 企業の成長と社会への貢献 | 社会全体の発展と幸福度向上 |
| アプローチ | 実践的、現場重視 | 理論的、分析重視 |
といった違いに現れます。
まとめ：自分に合った道を選ぼう！
経営学部と経済学部、どちらが良い・悪いということはありません。大切なのは、自分が何を学びたいのか、将来どのような分野で活躍したいのかをよく考え、自分に合った学部を選ぶことです。どちらの学部も、現代社会を理解し、将来を切り開いていくための強力な武器となるはずです。