NPO法人と社団法人の違いを徹底解説!どっちを選ぶ?

NPO法人と社団法人、どちらも「法人」という名前がついていますが、その目的や活動内容には大きな違いがあります。この二つの法人の違いを理解することは、社会貢献活動やビジネスの立ち上げを考えている方にとって非常に重要です。本稿では、NPO法人と社団法人の違いを分かりやすく解説します。

目的と活動内容の違い

NPO法人と社団法人の最も大きな違いは、その設立目的と活動内容にあります。NPO法人は「特定非営利活動法人」の略で、その名の通り、特定の非営利活動を通じて、社会全体の利益の増進に貢献することを目的としています。例えば、貧困支援、環境保護、国際協力、文化芸術の振興などが挙げられます。 営利を目的としないことが、NPO法人の最大の特徴です。

一方、社団法人は、人的結合によって設立される法人で、その目的は多岐にわたります。営利を目的とするもの(営利社団法人)と、営利を目的としないもの(非営利社団法人)がありますが、一般的に「社団法人」と言う場合は、営利を目的としない非営利社団法人を指すことが多いです。非営利社団法人の例としては、学術団体、同窓会、各種組合などが挙げられます。社団法人の活動は、会員の利益や特定の分野の発展に貢献することが中心となります。

両者の違いをまとめると以下のようになります。

  • NPO法人:社会全体の利益増進、非営利
  • 社団法人:会員の利益や特定分野の発展、営利目的の場合も非営利の場合もある

設立の背景と根拠

NPO法人は、市民活動やボランティア活動の活性化を支援するために、1998年に施行された「特定非営利活動促進法(NPO法)」に基づいて設立されます。この法律の目的は、NPOがより円滑に活動できるよう、法人格の付与や税制上の優遇措置などを設けることにあります。つまり、NPO法人は、社会的な課題解決に積極的に取り組む団体を後押しするための制度と言えます。

社団法人は、民法に基づいて設立されます。民法上の社団法人は、人の集まり(社団)によって形成される法人であり、その設立は古くから認められています。設立の目的は、その集団の目的に沿った活動を行うことであり、必ずしも社会全体の利益に直結するとは限りません。例えば、特定の業界の発展を目指す団体や、会員同士の交流を目的とする団体なども社団法人として設立できます。

設立の根拠となる法律は以下の通りです。

  1. NPO法人:特定非営利活動促進法(NPO法)
  2. 社団法人:民法

会員制度の有無

NPO法人の多くは、活動を支援する会員制度を持っています。会員は、NPO法人の理念に賛同し、会費を支払うことで活動を支えます。会員は、総会での議決権を持つなど、法人の運営に関与する権利を持つ場合もあります。ただし、会員制度は必須ではありません。

一方、社団法人は、その性質上、会員制度が中心となります。社団法人は、一定の目的のために集まった人々の組織であり、その構成員が会員となります。会員は、法人の活動の主体であり、法人の運営にも深く関わります。会員は、会費を支払う義務を負うことが一般的です。

会員制度に関する違いをまとめます。

NPO法人 社団法人
会員制度 必須ではないが、多くの場合存在する 中心的な制度
会員の役割 活動支援、運営への関与(場合による) 活動の主体、運営への関与

税制上の優遇措置

NPO法人は、非営利の社会貢献活動を行う団体として、税制上の優遇措置を受けることができます。例えば、寄付金控除の対象となる場合があり、個人や法人がNPO法人に寄付をすると、税金が控除されることがあります。これにより、寄付が集まりやすくなり、活動資金の確保に繋がります。

社団法人の場合、営利を目的としない非営利社団法人であれば、法人税などが非課税となる場合があります。しかし、営利社団法人の場合は、通常の法人と同様に税金が課されます。また、個人からの寄付に対する税制上の優遇措置は、NPO法人ほど一般的ではありません。

税制上の優遇措置について、一般的な特徴を以下に示します。

  • NPO法人:寄付金控除の対象となりやすい
  • 非営利社団法人:法人税などが非課税となる場合がある
  • 営利社団法人:通常の法人と同様に課税される

設立の手続きと審査

NPO法人の設立は、各都道府県知事の認証が必要です。設立には、定款の作成、役員の選任、設立趣旨書の作成など、一定の手続きが求められます。また、設立が認証されるためには、特定非営利活動の種類に合致し、活動内容が社会的に妥当であるかなどの審査があります。

社団法人の設立は、設立しようとする法人の種類によって手続きが異なります。一般的には、設立者による設立契約の締結、定款の作成、そして公証人の認証などが必要となります。非営利社団法人の場合は、所轄庁の許可や登記が必要です。設立の審査は、NPO法人ほど社会性や公益性を厳しく問われるわけではありません。

設立手続きの主な違いは以下の通りです。

  1. NPO法人:都道府県知事の認証が必要
  2. 社団法人:所轄庁の許可や登記が必要(種類による)

活動の透明性

NPO法人は、特定非営利活動促進法により、事業報告や財産目録などの公開が義務付けられています。これにより、活動内容や会計状況が透明化され、市民が安心して寄付をしたり、活動に参加したりできるようになっています。定期的な報告が求められるため、情報公開はNPO法人の重要な責務です。

社団法人についても、一定の事業報告や財産状況の開示が求められる場合がありますが、NPO法人ほど厳格な公開義務が課せられていない場合もあります。ただし、非営利社団法人の場合、その公益性の観点から、一定の透明性が求められる傾向にあります。

活動の透明性に関するポイントをまとめます。

  • NPO法人:事業報告等の公開が義務付けられており、透明性が高い
  • 社団法人:法人の種類や目的に応じて透明性の度合いが異なる

NPO法人と社団法人の違いを理解することで、ご自身の目的や活動内容に合った法人格を選ぶことができます。社会貢献を目指すのであればNPO法人、特定の目的のために集まった人々の組織を設立したいのであれば社団法人、というように、それぞれの特徴を活かした選択をすることが大切です。

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