「会計事務所」と「税理士事務所」、この二つの言葉、似ているようで実は少し違いがあります。 会計事務所と税理士事務所の違い を理解することは、ビジネスの運営や税金に関する疑問を解決する上でとても大切です。このページでは、それぞれの役割や特徴を、難しくない言葉で分かりやすく説明していきますね。
「会計」と「税理士」の基本的な役割の違い
まず、一番大きな違いは、その業務の範囲です。会計事務所は、会社のお金の出入りを記録したり、決算書を作ったりする「会計」の仕事が中心となります。一方、税理士事務所は、税金に関する専門家である税理士が、税金の申告や相談に乗る「税務」の仕事が中心です。どちらも会社にとって欠かせない存在ですが、得意な分野が少し異なります。
具体的に見ていきましょう。
- 会計事務所の主な業務：
- 日々の記帳代行
- 決算書作成
- 月次・年次での経営状況の分析
- 給与計算
- 税理士事務所の主な業務：
- 確定申告書の作成・提出
- 法人税、所得税、消費税などの税務相談
- 税務調査の対応
- 節税対策のアドバイス
この業務範囲の違いを理解することが、会計事務所と税理士事務所の違いを把握する上で非常に重要です。
会計事務所の仕事内容をもっと詳しく！
会計事務所は、文字通り「会計」の専門家集団です。会社が日々行っているお金のやり取りを正確に記録し、それを整理して、会社の経営状況がわかるようにまとめるのが主な仕事です。例えば、お店が商品を仕入れて売った記録、従業員にお給料を払った記録などを、ひとつひとつ丁寧に処理していきます。
会計事務所が行う具体的な業務には、以下のようなものがあります。
- 記帳代行： 領収書や請求書などを元に、仕訳帳や総勘定元帳といった帳簿に記録していきます。
- 決算書作成： 年に一度、会社の1年間の成績表である決算書（損益計算書、貸借対照表など）を作成します。
- 月次・年次での経営状況の分析： 作成した決算書をもとに、会社の売上や利益がどうなっているのか、どこに問題があるのかなどを分析し、経営者の方に報告します。
- 給与計算： 従業員の方のお給料を計算し、源泉徴収税や社会保険料の計算・納付手続きなども行います。
さらに、会計事務所は、会社の未来をより良くするためのサポートも行います。経営者の方との面談を通して、将来の目標達成に向けたアドバイスをしたり、資金繰りの相談に乗ったりすることもあります。
税理士事務所の役割とは？
税理士事務所は、税金のエキスパートである税理士が在籍しており、税金に関するあらゆる相談に乗ってくれます。会社や個人事業主が、法律に沿って正しく税金を計算し、国や地方自治体に納めるためのサポートをするのが主な役割です。税金は複雑で、知らないと損をしてしまったり、知らず知らずのうちに法律違反になってしまったりすることもあるので、専門家の力はとても頼りになります。
税理士事務所の主な業務は、以下の通りです。
| 業務内容 | 詳細 |
|---|---|
| 税務申告書の作成・提出 | 法人税、所得税、消費税、相続税など、各種税金に関する申告書を作成し、期限内に提出します。 |
| 税務相談 | 税金に関する疑問や悩みを相談できます。節税対策や、相続税の計画なども相談可能です。 |
| 税務調査の対応 | 税務署の調査が入った際に、会社に代わって対応し、適切な説明を行います。 |
| 節税対策のアドバイス | 法律の範囲内で、税金が少なくなるような効果的な方法を提案します。 |
税理士は、国家資格を持つ専門家であり、その知識と経験は非常に貴重です。税金に関する手続きを正確かつ効率的に行い、クライアントの経済的な負担を軽減することを目指しています。
会計事務所と税理士事務所、どちらを選ぶべき？
「会計事務所」と「税理士事務所」、どちらに相談すれば良いのか迷う方もいるかもしれません。実は、多くの会計事務所には税理士が在籍しており、会計業務と税務業務の両方に対応している場合がほとんどです。そのため、 「会計事務所と税理士事務所の違い」を厳密に区別せず、どちらでも対応してもらえることが多い のです。
しかし、もしあなたがこれから事業を始めるのであれば、まず会計の基本となる日々の記帳や決算書の作成をしっかりサポートしてくれる会計事務所に相談するのが良いでしょう。事業が軌道に乗ってきたら、より複雑な税金対策や節税について、税理士の専門的なアドバイスが必要になる場面も出てきます。
ですので、まずはあなたの事業の段階や、どのようなサポートを求めているのかを明確にすることが大切です。例えば、
- 設立間もないスタートアップ企業で、まずはお金の記録をしっかりつけたい
- 日々の経理業務に追われていて、専門家に任せたい
- 決算書の内容を理解し、経営に活かしたい
このような場合は、会計業務をメインにサポートしてくれる事務所が頼りになります。
両方のサービスを提供している事務所が多い理由
先ほども触れましたが、最近では「会計事務所」と名乗っていても、税理士が在籍しており、税務申告や税務相談といった税理士業務も合わせて行っている事務所が非常に多いのが実情です。これは、企業や個人事業主にとって、会計と税務は切り離せない関係にあるからです。
例えば、決算書は会社の成績表ですが、その内容に基づいて税金が計算されます。会計の専門家が作った決算書が正確であれば、税金の計算もスムーズに進みます。逆に、税金のことを考慮した上で会計処理を行うことで、より有利な決算書を作成できる場合もあります。
そのため、多くの事務所では、
- 統合的なサービス提供： 会計から税務まで、ワンストップでサービスを提供することで、クライアントの手間を省き、より質の高いサポートを目指しています。
- 専門知識の連携： 会計の専門家と税理士の専門家が連携することで、より包括的なアドバイスが可能になります。
このように、 会計事務所と税理士事務所の違い は、提供されるサービス内容によってありますが、実務上は両方のサービスを兼ね備えている事務所が多いのです。
どんな時にどちらの専門家に相談すべきか？
では、具体的にどのような時に、それぞれの専門家に相談すると良いのでしょうか。もちろん、先述の通り多くの事務所で両方のサービスを受けられるのですが、それぞれの得意分野を理解しておくと、よりスムーズに相談できるでしょう。
- 会計の相談をしたいとき：
- 日々の記帳（帳簿付け）を任せたい
- 決算書を正しく理解し、経営に役立てたい
- 売上や経費の分析をしてほしい
- 給与計算や年末調整を任せたい
- 税金の相談をしたいとき：
- 確定申告を自分でするのが難しい
- 税金の種類（法人税、所得税、消費税など）について詳しく知りたい
- 節税対策についてアドバイスがほしい
- 相続税や贈与税について相談したい
- 税務調査が入ったので、専門家のサポートを受けたい
このように、相談したい内容によって、より得意とする分野の専門家がいる事務所を選ぶと良いでしょう。しかし、前述したように、多くの事務所は両方のサービスを提供しているので、まずは気軽に相談してみることが大切です。
まとめ：会計事務所と税理士事務所の賢い付き合い方
「会計事務所」と「税理士事務所」の基本的な違いは、会計業務が中心か、税務業務が中心かという点にあります。しかし、実際には、多くの事務所が両方のサービスを提供しており、クライアントのニーズに合わせて柔軟に対応しています。 会計事務所と税理士事務所の違い を理解した上で、ご自身の事業の状況や相談したい内容に合わせて、最適な事務所を選ぶことが重要です。
まずは、お近くの事務所に問い合わせて、どのようなサービスを提供しているのか、料金体系はどのようになっているのかなどを確認してみましょう。親身になって相談に乗ってくれる事務所が見つかるはずです。
会計や税金に関する不安を解消し、事業をよりスムーズに進めるために、専門家を上手に活用してくださいね。