「要支援2」と「要介護1」、この二つの言葉、介護保険サービスを利用する上で耳にすることが多いですよね。でも、「具体的に何が違うの？」と疑問に思っている方も少なくないはず。今回は、そんな 要 支援 2 と 要 介護 1 の違い について、分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
「支援」と「介護」、その線引きはどこにある？
まず、大前提として「要支援」と「要介護」は、日常生活を送る上での「支援」の度合いによって分けられています。要支援は、比較的に軽度な状態を指し、日常生活に多少の支援が必要だけれど、基本的には自分でできることが多い状態です。一方、要介護は、より重度な状態を指し、日常生活の多くの部分で他者の介助が不可欠な状態を意味します。 この違いを理解することが、適切なサービス選択の第一歩です。
- 要支援：日常生活の軽度な支援が必要
- 要介護：日常生活の多くの場面で介助が必要
具体的に、要支援2は、日常生活を送る上で、身体機能や認知機能の低下により、一部の動作（例えば、着替えや入浴、排泄など）に支援が必要な状態です。しかし、まだ自分でできることも多く、生活の維持や自立に向けた「支援」が中心となります。
一方、要介護1は、要支援2よりもさらに支援が必要な状態です。歩行や立ち上がりといった基本的な動作に不安があったり、認知機能の低下によって、自分で判断して行動することが難しくなったりする場合があります。そのため、より手厚い「介護」が必要になってきます。
| 区分 | 日常生活での状態 |
|---|---|
| 要支援2 | 一部の動作に支援が必要だが、基本的には自分でできることが多い |
| 要介護1 | 基本的な動作に不安があり、より手厚い支援・介助が必要 |
サービス利用の「量」と「質」の違い
要支援2と要介護1では、利用できる介護保険サービスの量や種類にも違いがあります。これは、それぞれの状態に必要な支援の度合いを反映したものです。
要支援2の方が、利用できるサービスの種類は限られますが、その分、利用限度額も要介護1よりは低めに設定されています。これは、あくまで「支援」の範囲で、自立を促すことを目的としているためです。
- 利用できるサービスの種類
- 利用限度額
例えば、要支援2では、地域包括支援センターが中心となり、ケアプランが作成され、訪問介護や通所介護（デイサービス）などが利用できます。これらは、生活の維持や心身機能の維持・向上を目的としたサービスが中心です。
対して、要介護1では、より身体介護（食事介助、排泄介助など）や、より専門的なケアが必要となる場合も想定されます。そのため、利用できるサービスの種類が広がり、利用限度額も要支援2よりも増額されます。
「自立支援」か「生活支援」か、目的の違い
要支援2と要介護1では、介護保険サービスを受ける上での「目的」にも違いがあります。この目的の違いが、提供されるサービスの質や内容に影響を与えます。
要支援2のサービスは、あくまで「自立支援」を強く意識しています。つまり、利用者ができることはできるだけ自分で行い、残存機能を維持・向上させることに重点が置かれます。例えば、自宅での生活を継続するために必要な、掃除や洗濯、調理といった生活動作の練習や、地域との交流を促すようなサービスが中心となります。
- 自立支援：利用者ができることは自分で行うことを重視
- 生活支援：日常生活を円滑に送るためのサポートを重視
一方、要介護1のサービスは、「生活支援」の側面がより強くなります。本人の能力だけでは日常生活を送ることが困難なため、その生活を支えるための介助やサービスが中心となります。例えば、着替えや食事、入浴といった日常生活動作の介助、移動のサポートなどが含まれます。
この「自立支援」と「生活支援」という目的の違いは、ケアプランを作成する上での根幹となります。そのため、ご自身の状態や、どのようなサポートを必要としているのかを、担当のケアマネージャーにしっかりと伝えることが大切です。
| 区分 | サービスの主な目的 |
|---|---|
| 要支援2 | 自立支援（心身機能の維持・向上、できることは自分で行う） |
| 要介護1 | 生活支援（日常生活を円滑に送るための介助・サポート） |
「身体介護」と「生活援助」のバランス
「身体介護」と「生活援助」、この二つは介護サービスの内容を大きく分ける要素です。要支援2と要介護1では、この二つのバランスが異なります。
要支援2の場合、身体介護の必要性は比較的低く、生活援助が中心となる傾向があります。例えば、掃除や洗濯、買い物といった家事のサポートが中心で、入浴や食事の介助は、まだ自分でできることが多い、あるいは軽度な手伝いで済む場合が多いです。
- 身体介護：食事、入浴、排泄などの身体に直接触れる介助
- 生活援助：掃除、洗濯、調理、買い物などの家事のサポート
対して、要介護1になると、身体介護の割合が増えてきます。例えば、自分で立ち上がることが難しかったり、食事を自分でうまく食べられなかったりする場合、食事介助や排泄介助といった身体介護が必要になります。
もちろん、要介護1でも生活援助は重要ですが、身体介護の必要性が高まることで、サービス全体のバランスが変わってきます。このバランスは、個々の利用者の状況やニーズによって大きく異なります。
例えば、同じ要介護1でも、日中は自宅で過ごし、夜間は家族の介助がある方と、日中もほとんど介助が必要な方では、必要なサービスの内容も変わってきます。
「専門職」の関わり方の違い
介護保険サービスは、専門職が関わることで、より質の高い支援が提供されます。要支援2と要介護1では、専門職の関わり方にも違いが見られます。
要支援2の場合、主に地域包括支援センターのケアマネージャーや、地域の民生委員などが中心となって、利用者さんやご家族の状況を把握し、必要なサービスを繋ぐ役割を担います。訪問看護師やリハビリ専門職などが関わる場合もありますが、その目的は、あくまで心身機能の維持・向上や、自立に向けた支援です。
- 地域包括支援センターのケアマネージャー
- 訪問看護師
- リハビリ専門職
一方、要介護1になると、より専門的な知識や技術を持った介護職員や看護師などが、より日常的なケアに深く関わってきます。例えば、褥瘡（じょくそう：床ずれ）の処置や、経管栄養の管理、認知症の症状への対応など、専門的な知識が必要な場面が増えるため、医療・介護の専門職の役割がより重要になります。
また、要介護1では、医師や看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの多職種連携が、より密接に行われることが期待されます。それぞれの専門性を活かして、利用者の状態を多角的に評価し、最適なケアを提供していくことが重要となります。
このように、関わる専門職の種類や、その関わり方の深度も、要支援2と要介護1では異なってくるのです。
| 区分 | 主な専門職の関わり方 |
|---|---|
| 要支援2 | 自立支援に向けた相談・連携、心身機能維持・向上 |
| 要介護1 | 日常的なケアへの深い関与、専門的な知識・技術の活用、多職種連携 |
「限度額」と「給付」の違い
介護保険サービスを利用する上で、利用できる「限度額」と、それによって受けられる「給付」の違いも、要支援2と要介護1を理解する上で重要です。
介護保険制度では、要介護度に応じて、月々利用できるサービスの金額（支給限度額）が定められています。この支給限度額は、介護度が高くなるほど、金額も大きくなります。
- 支給限度額
- サービスの種類
要支援2の場合、支給限度額は比較的低く設定されています。これは、あくまで「支援」の範囲で、利用者の自立を促すことを目的としたサービスが中心となるためです。そのため、利用できるサービスの種類も、要介護者と比較すると限られています。
一方、要介護1になると、支給限度額は要支援2よりも高くなります。これは、より多くの、そしてより専門的なサービスを受けることが可能になることを意味します。例えば、身体介護の時間が長くなったり、専門的なリハビリテーションを受けたりする場合、それだけ費用もかかってくるため、限度額も増額されるのです。
ただし、支給限度額を超えてサービスを利用した場合は、その超えた分は全額自己負担となります。ですので、ご自身の要介護度で利用できる限度額を把握し、ケアマネージャーと相談しながら、計画的にサービスを利用することが大切です。
また、区分支給限度額内で利用できるサービスは、介護保険から9割（所得によって7割や8割の場合もあります）が給付されます。
まとめ：あなたの状況に合ったサポートを選びましょう
ここまで、「要支援2」と「要介護1」の違いについて、様々な側面から解説してきました。簡単にまとめると、要支援2は、日常生活の軽度な支援が必要な段階であり、自立支援を目的としたサービスが中心です。一方、要介護1は、より多くの場面で介助が必要な段階であり、生活支援や専門的なケアが中心となります。
要 支援 2 と 要 介護 1 の違い を理解することで、ご自身やご家族が、どのようなサポートを必要としているのか、そしてどのようなサービスが利用できるのかを、より明確に把握できるようになります。もし、ご自身の状況について不安がある場合や、どのようなサービスが適切か分からない場合は、お住まいの地域の地域包括支援センターや、ケアマネージャーに相談することをおすすめします。
介護保険制度は、利用者が安心して生活を送れるようにするための大切な制度です。この情報を活用して、あなたにとって最適なサポートを見つけてください。