知っておきたい!動脈血 と 静脈 血 の 違い と その役割

私たちの体の中を絶えず流れている血液。その血液には、大きく分けて「動脈血」と「静脈血」の2種類があります。この二つの違いを知ることは、自分の体の仕組みを理解する上でとても大切です。今回は、この「動脈血 と 静脈 血 の 違い」について、分かりやすく解説していきます。

色と酸素の量の違い

動脈血と静脈血の最も分かりやすい違いは、その「色」と「酸素の量」です。動脈血は、文字通り動脈を流れる血液で、肺で酸素をたくさん取り込んだばかりで、鮮やかな赤色をしています。一方、静脈血は、体中に酸素を届け終えた後の血液で、二酸化炭素を多く含んでいるため、暗赤色をしています。 この酸素の量の違いこそが、私たちの生命活動を支える上で非常に重要なのです。

  • 動脈血 :
    • 色: 鮮やかな赤色
    • 酸素の量: たくさん
    • 二酸化炭素の量: 少ない
  • 静脈血 :
    • 色: 暗赤色
    • 酸素の量: 少ない
    • 二酸化炭素の量: 多い

この酸素を運ぶという役割が、私たちの体の細胞一つ一つが元気に活動するために不可欠なのです。まるで、体中に酸素のガソリンを届けているようなイメージですね。

流れる場所の違い

動脈血と静脈血は、それぞれ体内の特定の血管を流れています。動脈血は主に「動脈」を流れ、心臓から全身へ酸素を送り出しています。心臓は、肺で酸素をたっぷり吸い込んだ血液を、力強く全身に送り出すポンプの役割を担っているんですよ。

  1. 心臓が血液を送り出す
  2. 動脈を通って全身へ
  3. 体の組織で酸素を渡す
  4. 静脈を通って心臓へ戻る

一方、静脈血は「静脈」を流れ、酸素を使い終えた血液を心臓へ戻します。静脈は、全身を巡って集めてきた、いわば「使い終わった」血液を回収するトラックのようなものと言えるでしょう。

血管の種類 流れる血液 主な役割
動脈 動脈血 心臓から酸素を全身へ運ぶ
静脈 静脈血 全身から二酸化炭素を心臓へ戻す

このように、動脈と静脈が協力し合うことで、血液は常に体中を巡り、私たちの生命を維持しています。

「体循環」と「肺循環」での流れ

血液の流れは、大きく分けて「体循環」と「肺循環」という二つのルートを回っています。動脈血と静脈血は、これらの循環の中で役割を変えながら流れているのです。

体循環 では、心臓から送り出された動脈血が全身の組織に酸素と栄養を届け、二酸化炭素や老廃物を受け取って静脈血となり、再び心臓に戻ってきます。このルートは、まさに私たちの体全体を元気にするためのメインルートですね。

一方、 肺循環 では、体から戻ってきた静脈血が肺へと運ばれます。肺では、新鮮な酸素を取り込み、二酸化炭素を外に吐き出すという大切なガス交換が行われます。そして、酸素をたっぷり吸い込んだ動脈血となって、再び心臓へと戻ってくるのです。肺は、血液をリフレッシュさせるクリーニングステーションのような役割を果たしています。

pH(水素イオン指数)の違い

血液のpH、つまり酸性やアルカリ性を示す値にも、動脈血と静脈血ではわずかな違いがあります。一般的に、動脈血の方が静脈血よりもわずかにpHが高い(アルカリ性に近い)とされています。

これは、動脈血が酸素を多く含み、二酸化炭素を少ない状態だからです。二酸化炭素は水に溶けると酸性を示す性質があるため、二酸化炭素が多い静脈血は、動脈血よりもpHが低くなる傾向があるのです。

  • 動脈血: pH 7.40~7.45 程度(弱アルカリ性)
  • 静脈血: pH 7.35~7.40 程度(弱アルカリ性)

このpHのバランスが保たれていることが、体内の様々な化学反応がスムーズに進むために重要です。体の健康を維持するためには、血液のpHも一定に保たれる必要があるのです。

二酸化炭素の運搬

動脈血と静脈血の大きな違いの一つに、二酸化炭素の運搬能力があります。先ほども少し触れましたが、静脈血は動脈血に比べて二酸化炭素の濃度が高くなっています。

これは、体内の細胞が活動する際に発生した二酸化炭素を、静脈血が回収して肺へ運ぶ役割を担っているためです。二酸化炭素は、体にとっては不要なものなので、肺から外に排出する必要があります。静脈血は、この「老廃物回収」という重要な仕事をしています。

  1. 体の細胞が二酸化炭素を発生させる
  2. 静脈血が二酸化炭素を受け取る
  3. 静脈血が心臓へ戻る
  4. 心臓から肺へ運ばれる
  5. 肺で二酸化炭素を排出する

まるで、体中のゴミを回収して、処理場(肺)へ運ぶトラックのようですね。

酸素の解離曲線

動脈血と静脈血の酸素のやり取りを理解する上で、「酸素解離曲線」というグラフが役立ちます。これは、血液中のヘモグロビンというタンパク質が、どれだけ酸素と結合できるかを示したものです。

動脈血は酸素をたくさん持っているので、ヘモグロビンは酸素としっかりと結合しています。一方、静脈血は酸素が少なく、ヘモグロビンから酸素が離れて、体の組織に酸素が供給されている状態です。

状態 ヘモグロビンの酸素結合率 酸素の供給
動脈血(肺) 高い 十分
静脈血(組織) 低い 供給後

この酸素解離曲線を見ると、体内の状況(酸素の濃度やpHなど)によって、ヘモグロビンが酸素を離したり、くっつけたりする性質が変化することが分かります。これは、体が必要な時に必要な場所へ、効率よく酸素を届けるための体の仕組みなのです。

まとめ

動脈血と静脈血の違いは、色、酸素や二酸化炭素の量、流れる血管、そして体循環と肺循環での役割など、多岐にわたります。これらの違いを理解することで、私たちの体がどのように生命活動を維持しているのか、より深く知ることができます。この知識は、健康を保つためにも、また病気になった時の理解を深めるためにも、とても役立つはずです。

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