知っておきたい!代表取締役と代表取締役社長の違い、まるわかり解説

「代表取締役」と「代表取締役社長」、この二つの役職、何が違うのか、実はよくわかっていない人も多いのではないでしょうか?この二つの違いを理解することは、会社の仕組みを知る上でとても重要です。今回は、この「代表取締役と代表取締役社長の違い」について、分かりやすく解説していきます。

代表取締役と代表取締役社長:それぞれの役割と権限

まず、基本的なところから確認しましょう。「代表取締役」とは、会社を代表する権限を持つ取締役のことです。会社法で定められた役職であり、会社の意思決定機関である取締役会において、会社の業務執行に関する重要な決定を行います。また、会社を代表して外部との契約や訴訟などを行うこともできます。 この代表権を持つことが、代表取締役の最も重要な役割です。

一方、「代表取締役社長」という役職は、法律で定められたものではなく、会社が独自に設けている役職名です。多くの場合、代表取締役を務める人物が、社内での最高責任者として「社長」という肩書も兼任しています。つまり、「代表取締役」は法的な資格であり、「社長」は社内での呼称や地位を示すものと考えると分かりやすいでしょう。

具体的に、権限の面では以下のようになります。

  • 代表取締役
    • 会社法上の代表権を持つ
    • 取締役会での議決権を持つ
    • 会社を代表して対外的な契約や訴訟が可能
  • 代表取締役社長
    • 社内での最高指揮権・統括権を持つ
    • 会社によっては、代表取締役の権限を補佐する役割
    • 社外での挨拶や、メディア対応などを担当することも多い

「代表取締役」という役職の重要性

「代表取締役」という役職は、会社の経営において非常に重要な意味を持っています。なぜなら、この役職に就いている人が、会社の最終的な責任を負うことになるからです。会社の経営が悪化した場合や、不祥事が起きた場合など、法的責任を問われる可能性も少なくありません。

代表取締役は、会社の顔とも言える存在です。そのため、その人物の資質や能力が、会社の将来を大きく左右すると言っても過言ではありません。

代表取締役が持つ主な責任は以下の通りです。

責任の種類 内容
対外的な責任 会社を代表して契約を結んだり、訴訟に対応したりする際の責任
対内的な責任 取締役会での決定に基づき、会社の業務を適正に執行する責任
法令遵守 会社法をはじめとする各種法令を遵守し、会社を運営する責任

「社長」という呼称が持つ意味合い

「社長」という呼称は、社内における最高責任者であることを示唆しています。従業員から見れば、日々の業務の指示を出したり、会社の方向性を示したりする、最も身近で、かつ最も影響力のある存在です。そのため、社長には、単に経営を指揮するだけでなく、従業員のモチベーションを高め、組織をまとめるリーダーシップも求められます。

社長は、しばしば会社の「顔」として、外部との関係構築においても重要な役割を担います。取引先との交渉や、業界内での人脈作りなど、会社の信頼を高めるための活動も期待されます。

社長に求められる能力は多岐にわたります。

  1. 経営戦略の立案・実行能力
  2. 組織マネジメント能力
  3. コミュニケーション能力
  4. リーダーシップ
  5. 決断力

代表取締役と社長の兼任が一般的である理由

多くの場合、代表取締役と社長は同一人物が兼任しています。これは、会社の意思決定と執行をスムーズに行うための合理的な選択と言えるでしょう。代表取締役が会社の代表権を持ち、社長として日々の業務を指揮することで、迅速かつ的確な経営判断が可能になります。

もし、代表取締役と社長が別々の人物だった場合、意思決定のプロセスが複雑になり、時間がかかる可能性があります。また、責任の所在が曖昧になるリスクも考えられます。

兼任のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 意思決定の迅速化 :代表権を持つ人物が直接指揮することで、スピーディーな判断が可能になります。
  • 責任の明確化 :代表権と最高執行責任者が一致するため、責任の所在が明確になります。
  • 効率性の向上 :二つの役職を兼任することで、組織運営の無駄を省き、効率を高めることができます。

代表取締役が複数いる場合の権限

会社によっては、代表取締役が一人とは限らず、複数いる場合があります。この場合、それぞれの代表取締役が持つ権限は、基本的には同等です。しかし、会社によっては、代表取締役同士で担当分野を分けたり、特定の事項についてのみ代表権を行使するように取り決めを設けていることもあります。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 担当分野の分担
    • 代表取締役A:営業・マーケティング担当
    • 代表取締役B:開発・技術担当
    • 代表取締役C:経理・人事担当
  • 代表権の限定 :特定の金額以上の契約については、複数の代表取締役の連名が必要、など。

このような取り決めは、会社の定款や取締役会で定められます。

代表取締役と取締役会長の違い

「代表取締役」と「取締役会長」も、混同しやすい役職です。取締役会長は、取締役会を招集し、その議長を務める役職です。一般的には、会社の創業者や、経営から一線を退いたベテラン経営者が就任することが多いです。代表取締役が会社の「代表」として対外的な窓口となることが多いのに対し、取締役会長は、会社の「最高顧問」のような立場として、経営陣に助言や指導を行う役割を担います。

会長の主な役割は以下の通りです。

  • 取締役会の議長を務める
  • 経営方針に関する助言・指導
  • 会社全体の円滑な運営への貢献

代表取締役とCEOの違い

「CEO(Chief Executive Officer)」は、アメリカなどで一般的に使われる役職名で、「最高経営責任者」を意味します。日本の株式会社においては、CEOは法律上の役職ではなく、会社が独自に設ける役職名です。多くの場合、日本の「代表取締役社長」が、実質的にCEOの役割を兼ねています。つまり、CEOは、会社の日常的な業務執行を統括し、経営戦略を実行する責任者と言えます。

CEOに求められる資質は、経営戦略の立案・実行、組織の統括、イノベーションの推進など、多岐にわたります。

CEOの主な職務をまとめると以下のようになります。

  1. 会社のビジョンと戦略の策定
  2. 事業運営の全体的な監督
  3. 重要な経営判断の実行
  4. 株主や投資家との関係維持

このように、「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いは、法的な位置づけと、社内での実質的な役割分担にあると言えます。どちらの役職も、会社の経営において非常に重要な役割を担っています。この違いを理解することで、会社の組織や意思決定の仕組みが、よりクリアに見えてくるはずです。

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