「職業(しょくぎょう)」と「職種(しょくしゅ)」、似ているようで少し違うこの二つの言葉。就職活動(しゅうしょくかつどう)を始めるときや、自分のキャリア(きゃりあ)について考えるとき、この「職業 と 職種 の 違い」を理解(りかい)しておくと、ぐっと視野(しや)が広がるんです。一体、何が違うのでしょうか? 簡単に言うと、職業は「どんな仕事をするか」という大きな枠組み(わくぐみ)で、職種は「その中で具体的にどんな役割(やくわり)を担(にな)うか」という、より細(こま)かい分類(ぶんるい)だと考えると分かりやすいでしょう。
職業と職種:それぞれの定義(ていぎ)を深掘り(ふかぼり)!
まず、「職業」という言葉。これは、私たちが社会(しゃかい)で生計(せいけい)を立てるために行(おこな)う、ある程度(ていど)まとまった仕事の分野(ぶんや)を指(さ)します。例えば、「医療(いりょう)」、「教育(きょういく)」、「IT」、「製造(せいぞう)」といった、大きなカテゴリー(かてごりー)でイメージすると良いかもしれません。 この「職業」を理解することは、自分がどんな社会貢献(しゃかいこうけん)をしたいのか、どんな分野に興味(きょうみ)があるのかを見つけるための第一歩(だいいっぽ)と言えます。
- 医療 :医者、看護師(かんごし)、薬剤師(やくざいし)など
- 教育 :教師、保育士(ほいくし)、塾講師(じゅくこうし)など
- IT :プログラマー、システムエンジニア、Webデザイナーなど
- 製造 :工場作業員(こうばさぎょういん)、品質管理者(ひんしつかんりしゃ)など
一方(いっぽう)、「職種」は、その職業の分野の中で、さらに細かく分けられた仕事の内容(ないよう)や役割(やくわり)を指します。例えば、「医療」という職業の中にも、「外科医(げかい)」、「小児科医(しょうにかい)」、「放射線技師(ほうしゃせんぎし)」といった、それぞれ専門(せんもん)の異なる職種があります。
この二つの関係性(かんけいせい)を、以下(いか)のような表(ひょう)で整理(せいり)してみましょう。
| 職業 | 職種(例) |
|---|---|
| 医療 | 医師、看護師、薬剤師、理学療法士(りがくりょうほうし) |
| IT | プログラマー、Webデザイナー、プロジェクトマネージャー(ぷろじぇくとまねーじゃー) |
職業という大きな森、職種という個々の木
「職業」は、たとえるなら広大な森のようなものです。その森の中には、様々な種類の木が生い茂(しげ)っています。たとえば、 IT という森には、たくさんの木、つまり職種が存在(そんざい)しているわけです。
そして、「職種」は、その森の中にある一本一本の木にあたります。木の種類(しゅるい)が違(ちが)えば、その葉(は)の形(かたち)や幹(みき)の太さ、生(お)い立(た)ちも異(こと)なるように、職種が違えば、そこで求められるスキル(すきる)や知識(ちしき)、日々の業務内容(ぎょうむないよう)も変わってきます。
この「職業」と「職種」の区別(くべつ)を理解することは、自分の興味や適性(てきせい)に合った仕事を見つける上で、非常に重要(じゅうよう)です。 漠然(ばくぜん)と「IT関係の仕事がしたい」と思っているだけでは、具体的にどんな職種が自分に合っているのかが見えにくいですよね。
たとえば、ITという職業の中にも、以下のような様々な職種があります。
- システムエンジニア:システムを設計(せっけい)し、開発(かいはつ)の指揮(しき)をとる。
- プログラマー:設計書(せっけいがん)に基づいて(もとづいて)、実際にプログラムを書き(かき)作る。
- Webデザイナー:ウェブサイトのデザイン(でざいん)や使いやすさ(つかいやすさ)を工夫(くふう)する。
- データサイエンティスト:大量(たいりょう)のデータ(でーた)を分析(ぶんせき)し、ビジネス(びじねす)に役立(やくだ)つ情報(じょうほう)を見つけ出す。
キャリアパス(きゃりあぱす)を考える上での「職業」と「職種」
将来(しょうらい)のこと、つまりキャリアパスを考えるとき、「職業」と「職種」の理解はさらに大切になります。同じ「職業」の分野でも、目指(めざ)す「職種」によって、必要な経験(けいけん)やスキル、学習(がくしゅう)すべき内容(ないよう)は異(こと)なってきます。
例えば、教育という職業で、教師を目指すのか、それとも学校の事務(じむ)職員(しょくいん)を目指すのかでは、当然(とうぜん)、取るべき道(みち)は変わってきます。
キャリアアップ(きゃりあっぷ)を考えていく際(さい)には、
- まずは自分の興味のある「職業」の分野を絞(しぼ)る。
- その中で、具体的にどんな「職種」に携(たずさ)わりたいのかを考える。
- その職種に就(つ)くために、どんなスキルや経験が必要なのかを調(しら)べる。
というステップを踏(ふ)むのが効果的(こうかてき)です。まるで、目的地(もくてきち)が決まってから、そこまでの地図(ちず)を読(よ)むようなイメージですね。
企業(きぎょう)が求める「職種」とは?
会社(かいしゃ)が求人(きゅうじん)を出すとき、多くの場合(ばあい)、募集(ぼしゅう)しているのは特定の「職種」です。例えば、「営業職(えいぎょうしょく)」、「事務職」、「エンジニア職」など、具体的な仕事内容(しごとないよう)が明記(めいき)されています。
「この会社で働きたい!」と思ったとき、その会社がどんな「職業」の分野で、具体的にどんな「職種」の採用(さいよう)をしているのかを調べることは、応募(おうぼ)書類(しょるい)の作成(さくせい)や面接(めんせつ)の準備(じゅんび)において、とても重要(じゅうよう)になります。
企業が求める職種は、その会社の事業内容(じぎょうないよう)や組織(そしき)の役割(やくわり)によって様々です。
- 営業職 :顧客(こきゃく)に商品(しょうひん)やサービス(さーびす)を提案(ていあん)し、契約(けいやく)を結(むす)ぶ。
- マーケティング職 :商品(しょうひん)やサービス(さーびす)の企画(きかく)や広告(こうこく)戦略(せんりゃく)を立(た)てる。
- 人事(じんじ)職 :社員(しゃいん)の採用(さいよう)や育成(いくせい)、労務管理(ろうむかんり)などを担当(たんとう)する。
企業は、自社のビジネス(びじねす)を円滑(えんかつ)に進(すす)めるために、それぞれの職種に専門性(せんもんせい)を持(も)った人材(じんざい)を求(もと)めています。
新しい「職業」と「職種」の誕生(たんじょう)
世の中(よのなか)はどんどん変化(へんか)しているので、新しい「職業」や「職種」も次々(つぎつぎ)と誕生(たんじょう)しています。例えば、数年前(かずねんまえ)にはあまり聞(き)かなかった「SNS(えすえぬえす)インフルエンサー(いんふるえんさー)」や「eスポーツ(いーすぽーつ)プレイヤー」なども、今では立派(りっぱ)な職業(しょくぎょう)として認識(にんしき)されています。
これらは、テクノロジー(てくのろじー)の進歩(しんぽ)や社会(しゃかい)のニーズ(にーず)の変化(へんか)によって生まれた、比較的新(ひかくてきあたら)しい職種と言えるでしょう。
新しい職種について調(しら)べる際には、
- その職種がどんな「職業」の分野に属(ぞく)するのか?
- 具体的にどんな業務(ぎょうむ)を担(にな)っているのか?
- 将来性(しょうらいせい)はあるのか?
といった点(てん)を考(かんが)えることが大切です。
「職業」と「職種」の壁(かべ)を越(こ)える
近年(きんねん)、企業(きぎょう)の垣根(かきね)を越(こ)えた協業(きょうぎょう)や、個人(こじん)が多様(たよう)なスキル(すきる)を活(い)かす場面(ばめん)が増(ふ)えています。そのため、「この職業だから、この職種しかできない」といった固定観念(こていかんねん)は少(すこ)なくなってきています。
例えば、もともとはエンジニア(えんじにあ)だったけれど、コミュニケーション能力(のうりょく)の高(たか)さを活(い)かしてプロジェクトマネージャー(ぷろじぇくとまねーじゃー)になったり、デザイン(でざいん)の経験(けいけん)を活(い)かしてプロダクトマネージャー(ぷろだくとまねーじゃー)になったりするケース(けーす)もあります。
この「職業」と「職種」の壁(かべ)を越(こ)えるためには、
- 常に新(つねにあたら)しい知識(ちしき)やスキル(すきる)を学(まな)び続(つづ)けること
- 自分の得意(とくい)なこと、苦手(にがて)なことを理解(りかい)すること
- 様々な経験(けいけん)を積(つ)むこと
が大切になってきます。柔軟(じゅうなん)な考(かんが)え方(かた)が、これからの時代(じだい)には求(もと)められるのかもしれません。
「職業」と「職種」の違いを理解することは、自分の進路(しんろ)やキャリア(きゃりあ)を考える上で、とても役立(やくだ)ちます。この記事(きじ)を読(よ)んで、漠然(ばくぜん)としていたイメージ(いめーじ)が、少(すこ)しでもクリア(くりあ)になったなら嬉(うれ)しいです。ぜひ、自分(じぶん)の興味(きょうみ)や適性(てきせい)に合(あ)った「職業」と「職種」を見つけて、充実(じゅうじつ)した社会人生活(しゃかいじんせいかつ)を送(おく)ってくださいね!